肺炎で入院中の私の父親。齢83歳。
先日、担当の医師から電話がかかって来ました。
内容はといえば、その後に詳細な精密検査を行った結果、肺に
「影」
が見つかったとのこと。もちろん手術で腫瘍部分を取り出し、ガンかガンでないかを正式に調べる「生検」。
生検を行わない限り、正確な診断を出すことはできない。そうであるが故に診断名は、
"肺ガンの疑い"
このように告げられてしまった次第です。
影のある場所は手術をしにくい場所であるとのことで、医者としても今後の治療のあり方で迷っているとのこと。
徹底的に治療を尽くす方向か?それとも緩和治療を施しながらの療養か?
どちらかを本人、及び家族である私に選んでもらいたい。こうした内容の電話だったというわけです。
以上の経緯で面会に赴いたのですが、父は開口一番、
「手術はしない」
そうキッパリ私に告げました。無治療で命が尽きればそれで構わない、私にそのように話すのです。
父は自分自身に対する投資を惜しまないタイプの人間で、先進医療特約、ガン治療特約、終身医療特約。
こんな感じで何種類もの医療保険に加入し、いずれにおいても手厚い特約保証を結んでいる。
そのことから当然、生検を行い、その上でガンと診断されたのなら徹底的に治療を行っていく方向なのかと思いきや、意外な答え。
私としましても反対する理由はどこにもないので、その旨を担当医に伝えた次第です。
入院中の父は毎日14種類ものクスリを飲まされ続けているようで、軽いせん妄状態だったのですが、この件については明確に自分の意志を表明するに至りました。
体には点滴の針を刺され続け、口には酸素マスクで心身の自由を奪われ続けている。
おそらく今回の肺炎の入院で医療のあまりの反自然なあり方やムゴさ、理不尽さを骨の髄まで感じ入ったのではなかろうか?
そんな風に推察した次第です。
ガン治療に向かってしまえば、身も心もボロボロにされ、最後はお払い箱にされてしまうのがオチ。
2500人以上の末期ガン患者を診てきた小野寺時夫医師は、
「一番悲惨なのは、抗ガン剤をあれこれ打たれてボロボロになってホスピスに来て間もなく亡くなる患者さんです。
衰弱しきって、人生の大切な最終章を身のおき場のない倦怠感、手足のしびれ、砂をかむような味覚障害などに打ちのめされて、うめきながら逝かなければならない。痛まし過ぎます」
と感想を述べているのです。
父は今回の肺炎で、とても賢明な選択をすることができたのではなかろうか?
そんなことを強く思った次第です。
「ガンは切ると暴れる」
ことがいわれています。
ガンの進行速度は、通常はかなりスロー。体内で生まれたガン細胞が、1センチ前後にまで育つまでには、5年~20年くらいの時間がかかると解説されるのです。
潜伏期間は10年が相場だなんて言われたりもしますが、でもそこに手術などの介入行為を行ってしまうと、進行速度が一気に加速していく。
こうしたことも指摘されているのです。
以前もこのブログでお伝えしましたが、私たちの体の中の臓器群は、切られて空気に晒される。
こうした事態を一切想定していません。
※参考:『手術で犠牲にならないための確認事項・思わぬリスクと回避法を簡単チェック!』
手術で臓器を酸素などに晒してしまえば、細菌などが憑りつきやすくなってしまうのです。
特に病院の手術室や集中治療室は、抗生物質耐性菌(MRSA)の宝庫ともいえる場所なので、手術によって感染し、術後の
『合併症』
を起こしやすくなる。こうしたことが言われているのです。
また繰り返しになってしまいますが、胃や腸などは、ヌルヌルとした臓器のため上手に縫い合わせることが難しい。
「縫合不全」などのトラブルが起きやすいことも指摘されています。
なかなかつかみにくいものを最適な強度と狂いのない最適な位置に縫い合わせる必要があるのですが、どうしたって狂いが生じやすい。
こうした事実も厳然としてあるのです。
縫い物の達人であったって、ヌルヌルのイカやウナギを上手に縫い合わせることは難しい。どうしたって、手元が狂ってしまいやすい。
このことからも、たとえどんな名医であっても、縫合不全をゼロにすることは
"不可能!"
といわれるほど、臓器の縫合は難しいものでもあるのです。
糸の結び方が弱ければ、スグにほころびてしまいます。反対に強く結んでしまえば、血流障害を起こして細胞壊死などが起こりやすくなります。
繋ぐ位置がほんの少しズレただけで、その後に深刻な合併症を起こしやすくなる。
手術にはこうしたリスクが付きまとうものなので、手術を受けるなら受けるで、術後の事態も覚悟した上で決断を行う必要がある。
そうでないと思わぬ事態を招き寄せてしまう。こうしたリスクだってあるのです。
親からもらった大切な体をカンタンに切り刻まれないためにも、これらを忘れてはならない。
このように思うのですが、どうでしょうか?
■暴走の理由は?
ガン細胞自身も成長するためには、臓器の中の
「毛細血管」
ココから栄養をもらう必要があります。
でも手術などで臓器を切り取ってしまうと、私たちの体はダメージを受けた臓器を元の状態に戻そう!
こうした再生に向けた力が働くことが分かっているのです。
具体的には、これまで以上に無数の毛細血管を張り巡らせようとする。
私たちの体は太い血管を新たに作り出すことはできないけれども、毛細血管ならばいくらでも伸ばせるし、状況に応じて伸ばすことができてしまう。
多くの血液を送り込むことで治癒を図ろうとするのが、体の自然な治癒力。
でもそこにガン細胞が残っていたり、新たに生まれたりしてしまえば、たくさんの栄養源を毛細血管から容易に頂戴できてしまう。
それによりガンが
"急成長"
し、瞬く間に臓器を覆い始めていく。こうしたまさかの事態を起こしやすくしてしまう。
手術で切ると、ガンが「暴れる」といわれる由縁は、このようにも説明されるのです。
故・近藤誠医師は、切るか切らないかで迷う患者を前に、以下のように話しかけていたそうです。
「半年くらいで亡くなる方もいますが、5年、10年と生きる方も少なくないので、そちらを目指しましょう」
「治療を拒否して、その後何年も元気な人をたくさん知っています。あなたもぜひ長寿記録を作ってください」
と。キ〇ガイに刃物だなんていわれますが、カンタンに医者の言うことなどを
"真に受けない"
"鵜呑みにしない"
このことが自分や家族を守るための大切な術になると私は思っているのですが、あなたはいかが思われるでしょうか?
■参考文献