野菜をたくさん
「食べなさい!」
子供のころ、よく言われました。
子供といえば、甘いもの。お菓子にジュースに、アメにチョコ。
子供はアリンコと
"大差ない!"
程度の差こそあれ、どの子にも、このような傾向がみられるのです。
お菓子などの甘いものばかりを欲して、野菜などには見向きもしない。
そんな様子を見ていれば、親としては当然、心配が募ってしまうものなのでしょう。
野菜をたくさん食べる子は、褒められる。そうでない子は、叱られる。
これが親子間の相場になるというわけです。
とかく私たちは、子供は未熟で幼いからこそ、甘いものばかりを欲している。
このように思ってしまいがちなのですが、実際はそうではありません。
未熟だからというよりはむしろ、エネルギーシステムの違い。ココにこそ、本当の理由が潜んでいる。
大人と子供とでは、使うエネルギーのタイプが異なっている。こう言うことだってできると思うのです。
■大人と子供
子供が甘いものを求める理由は、体に必要な糖分が不足しているから。
甘いものばかりをしきりに食べたがる子供は、糖分ギレを起こしている。こう考えた方が、自然でムリがないのです。
子供は実にエネルギッシュな生きものです。
そこら中を走り回るわけだし、大声で騒いだり、奇声を上げたり、全身を震わせて全力で泣いたり。
寝ている間を除いては、ひと時も静かにジッとしていることがない。
そんな激しい動きを子供は繰り返すわけなのです。
実際に、大人が子供の動きをマネすれば、心肺機能は破綻してしまうことがいわれています。
これだけの激しい活動量を支えるエネルギー源は、
「糖!」
たくさんの糖分・ブドウ糖を燃料にして、子供は日々野山を駆け巡る。
そんな生きものであると言えるのです。
子供が執拗に甘いものを食べたがる理由は、エネルギー不足を引き起こしているからと解釈できます。
"チョコ食べたい!"
"アメ玉舐めたい!"
"ジュースちょーだい!"
このように執拗におねだりをしてくる理由は、活動量に対しての燃料が不足しているから。
アメやチョコそのものを食べたいというよりはむしろ、必要な量の糖分を補給したいだけ。
未熟なわけでも、ワガママなわけでも決してなく、
「ガス欠」
を起こしている可能性がすこぶる高い。このように理解してあげることが大切ではないかと思うのです。
とかく、子供は一度にまとめてたくさん食べることが苦手な面があります。1回の食事で必要な量を大人のようには摂るのは不得手。
だから、どうしたって間食が必要になってしまう。これはご高齢の方も同じというわけです。
老化により、必要な量の糖分を食事から摂取しにくい。高齢者におやつで糖分を補給してあげることは、理に適ったものといえるのです。
子供に対して、野菜をもっと食べなさい!なんて思わず言ってしまうのですが、子供に必要となるのは野菜というよりはむしろ
「お米」
です。米は糖分のカタマリでもあるので、良質なお米をしっかり食べてもらうことは、間食での甘いものを減らすための切り札になる。
毎食の献立に頭を悩ます人は多いのですが、おかずはどこまで行っても副菜に過ぎません。
それは体のエネルギー源である糖分をしっかり食べさせるための呼び水に過ぎないものといえるのです。
副菜は主食のお米をたくさん食べてもらうためのもの。野菜を食べるように促すのではなく、お米を食べるように促すことの方がずっと大事。
このように意識を変えるだけで、子供への接し方も変わってくるのではないかと思うのです。
ちなみに日本人の体質は、「糖質⇒タンパク質⇒脂質」の順番で分解されやすいことがいわれています。
間食に脂質まみれのポテトチップスなんかを与えてしまうと、分解がスローであるためいつまで経っても満腹感が得られにくい。
食べても食べても、一向に手が止まらない。これが
"やめられない・止まらない"
のメカニズムになるというわけです。
ポテチなんかは、ご飯三膳分のエネルギー量といわれているので、ますます食事が疎かになってしまいやすい。
日本人の間食は今も昔も、「お煎餅」。せんべいバリバリ、これが一番理に適っているのだと私自身は思っているのです。
■2つのシステム
私たちの体は60兆といわれる細胞から構成されています。
それぞれの細胞は、食べものから栄養をもらうことで、必要なエネルギーを生み出し、それを活動源にしています。
細胞がエネルギーを生み出すシステムは2種類あって、
1つ目が、解糖系システム
2つ目が、ミトコンドリア系システム
この2つのエネルギー創出システムを使って、私たちは生きているのです。
解糖系システムとは、文字通り、糖分を材料にエネルギーを作り出すあり方といえます。
お米などに含まれるデンプンを消化器官と分解酵素とが最小単位のブドウ糖にまで分解していく。
それを小腸の壁から血液に流し込み、各細胞へと供給されていく。
ブドウ糖を受け取った細胞は、これをビルビン酸に分解して、その後乳酸へと変換させていく。
このようにして、活動に必要なエネルギーは作り出されているのです。
解糖系とはブドウ糖を材料に無酸素で作り出されるエネルギーのことで、主に
「瞬発系」
の力を発揮するためのものであると解説されます。
一瞬の力を発揮する際に優れたエネルギーなのですが、その反面、疲れやすいといった特徴だってあるのです。
もう一方のミトコンドリア系とは、ブドウ糖・タンパク質・脂肪・紫外線・野菜のカリウムなどを原材料に作り出されるエネルギーになります。
酸素を使って効率よく生み出されるエネルギーで、持続力を発揮する際に使われるものと解説されるのです。
私たちは、瞬発系と持続力系との2つのエネルギーを上手に使い分けることで、命を運営し続けている。
そして幼児から成長期までの子供は、主に解糖系エネルギーを使っていることが指摘されるのです。
解糖系エネルギーは細胞の新陳代謝を激しく繰り返すといった生命力旺盛なエネルギーで、子供がグングン成長していく理由は、このエネルギーシステムにあり!
こういうことになるのです。
解糖系エネルギーは低体温で活性化する特徴があるので、真冬でも
「半そで・半ズボン」
大人から見ればゾッとするような姿で、子供が毎日学校に通える理由は、使っているエネルギーシステムの違いによるもの。
糖分が不足した状態のままでは、子供の健全な成長の足かせとなってしまいやすい。
このキケンがあるので、野菜やおかずばかりに心を奪われるのではなく、しっかりお米を食べさせる!
この必要があるといえるのです。
■美しく・若々しく!
幼少期は、解糖系システムが優位の時期といえます。
でも成長期が終わりに差し掛かるのに従い、体のエネルギーシステムは徐々に変化していくことがいわれます。
それは解糖系からミトコンドリア系へのシフト。このように解説されるのです。
ミトコンドリア系は細胞の新陳代謝がスローで少なく、酸素を多く使うシステムです。
ブドウ糖やタンパク、脂質などを材料にエネルギーを生み出すもので、冷静で、落ち着いた
「大人の世界」
のエネルギーシステムといわれているのです。
幼少期におてんば娘だった女の子が思春期を迎えるにつれ、エレガントで落ち着いたレディーに変化していく理由は、エネルギーシステムの転換によるもの。
解糖系が低体温で活性化するのに対して、ミトコンドリア系は37℃以上の体温で活性化すると解説されます。
“解糖系からミトコンドリア系へ”
年齢によって切り替わるのが体の自然なのですが、それは男女の違いによっても強弱が出ることが分かっているのです。
男性の精巣にはミトコンドリアが極端に、少ない。反対に女性の卵巣にはミトコンドリアが極端に、多い。
男性は解糖系優位で、女性はミトコンドリア系優位。性別によるこのような違いもあるのです。
ミトコンドリア系は体温が上がると活性化するので、体を温めることで体調は良くなり、肌のハリや潤いを維持しやすくなると説明されます。
成人女性に冷えは
"大敵!"
このように言われる理由は、ミトコンドリア系が優位だからと説明されるのです。
一方、男性の方は、あまり温め過ぎてしまうと、男らしさが失われてしまうことが指摘されています。
ボクシングなどの格闘技のラウンド間のインターバルで、セコンドが選手のトランクスを引っ張り、冷たい水を股間に流すシーンをよく見かけます。
あれが何であるかといえば、精巣を冷やすことで、低体温を好む解糖系エネルギー呼び覚まし、
“瞬発力・爆発力・戦う魂”
を再度、覚醒させるためのものと解説されるのです。
女性の冷えは禁物、男性の温め過ぎも禁物。このような違いがあるので、女性の皆さん!
パートナーに男らしくいつまでもあり続けてもらいたいなら、過度の温めは控えるようにするのが得策です。
また男性の筋骨には、一定の負荷をかけることも必要といわれています。
なるべく重いものを持ってもらったり、時には『お姫様抱っこ』。
それなんかも良いのかもしれません。やり過ぎて嫌われてしまっては元も子もありませんが、そこは上手にやる。
愛を持って少々冷たく・厳しく接することも、男性には必要なことなので、愛しているからといって甘やかし過ぎてはなりませんね。
解糖系エネルギー優位の成長期においては、背はグングンと伸び、お肌はツヤツヤしています。
でも、大人になるに従い身長が止まり、やがてお肌の
"曲がり角"
を迎えていく。それは、ミトコンドリア系エネルギーが優位になるためと説明されます。
肌のハリや潤いが失われていくのはエネルギーがシフトした証であるともいえるのです。
肌を若々しく、美しく保つには、時には解糖系エネルギーを
「全開!」
にすることだって大切。
皮膚を温める一方だと、皮膚細胞のミトコンドリアが活性化し、皮膚が弱ってしまうのです。
昔から“寒風摩擦”が良いとされる理由は、寒風に肌を晒し、刺激を与えられるからと説明されています。
解糖系エネルギーを活性化させることは、皮膚細胞を活性化させることにも繋がっていく。このように推察できるのです。
女性は基本、温い方が調子も良く、肌にも良いわけなのですが、それ一辺倒はやはり禁物。
時に自らを千尋の谷に追い込むことだって、大切な事がらになるのです。
温めてばかりで動かないままでいると、お肌のハリも潤いも下降の一途を辿ってしまいます。
たまにはハメを外して、幼児のように叫んだり、屋外を走り回ったり。
カラオケで飛んだり跳ねたり、大爆笑したり号泣してみたり・・・。
瞬発系の運動を繰り返し、解糖系のエネルギーを活性化することも大切になりますね。
■参考文献