少し前に、
マーガリンやショートニングの問題について報告させて頂きました。これらは、
「食べるプラスチック」
だなんて呼ばれているもので、私は決して口にしない!そんな記事を書かせて頂きました。
※参考:『食品表示はどこを見る?反自然物を見極めるための最低限はこの2つ!』
でも、食べるプラスチックはこれ以外にもたくさんあって、特に問題だなと思うのは、お米。
古米・古々米をあたかも新米であるかのように見せかけるのが可能な
“精米改良剤”
外食や市販の弁当などでよく使われていることがと言われていますが、主食のお米までもがもはやプラスチック化されてしまっている。
※参考:『コスパ思考と経済オンチ・明日の日本を未来するナチュラル経済学!』
私たちは毎日石油製品を食べものから、クスリから、サプリから。そしてシャンプーなどの洗剤類から。
色んな経路で体の中に入れてしまっているのです。
石油から作られる人工の化学物質は、脂溶性の物質になります。
脂溶性物質とは、水に馴染みにくく、脂に馴染みやすい。こうした性質があるものなのです。
体の中に入った脂溶性の人工の化学物質は、皮下脂肪に随時蓄積されていく。
それらがジワジワと体を蝕んでいくことが問題視されているのです。
脂溶性毒の恐ろしさは、脂肪組織のカタマリともいえる私たちの大切な
「脳」
にまで容赦なく及んでいきます。それがさまざまな悪影響を及ぼしていくことは、想像に難くはないと思うのです。
人工の化学物質を探知すると、吐き気やめまい、嘔吐や発疹などを繰り返してしまう。
そんな現代の難病中の難病が『化学物質過敏症』になります。
そしてこの化学物質過敏症を発症する人の約8割が、
“女性である”
といわれているのです。理由は男性に比べて、脂肪が多いからと説明されています。
人工の化学物質を遠ざけるには、この物質を生活シーンから少しでも排除することが最高かつ最大の対策になります。
農薬添加物まみれの食材を可能な限り、無農薬・無添加のものに変えていく。クスリやサプリは可能な限り使わない。
そしてシャンプーを改め、湯シャンにチェンジしていく。
私たちは暮らしの中から人工の化学物質を減らしていく。この努力を決して怠ってはならないと思っているのです。
■陰に隠れて
農業は自然産業といわれていますが、今ではすっかり
「汚染産業」
このように言わねばならないのでしょう。
農薬の問題は言うまでもありませんが、その影に隠れて常に盲点になりやすいのが
“肥料の問題”
田畑で使われる肥料からの環境汚染。これが近年、クローズアップされているのです。
稲作における肥料はかつて、最初に撒いて、その後に追肥。そしてまた後で追肥する。こんな感じで収穫までに4~6回。
その都度ごとにまかれていたものですが、それではかなりの重労働。同時に手間ひまが当然かかってしまうもの。こうした理由から今では、
「一発肥料」
一度まいたら、それでオシマイ。いわば省力・カンタン、お手がる肥料。このようなモノへとサマ変わりし、すっかり定着しているのが現状です。
一説によると、6~7割の稲作農家がこの一発肥料を使っていると説明されるのです。
稲作の栽培期間は、田植えから長くて半年で刈り取り、その後精米作業になりますが、農家の実労働日数はわずか20日間程度。
1ヶ月にも満たない作業によって、今の一般的なお米は作られているのです。
昔は“八十八手かかる”といわれた重労働が、極端なまでに軽減されている。
それを可能にしたのが、トラクターやコンバイン、精米機といった機械類になるのですが、それに加えて細胞浸透系農薬とこの一発肥料。
これらも稲作の省力化に大きく貢献し続けている面だってあるのです。
■ツケの清算
一発肥料は化学肥料のみならず、有機肥料においても使われ始めているのが現状になります。
この肥料の何が問題であるのかといえば、そこに使われている成分。
「プラスチック」
に大きな問題があるのです。1粒1粒、ツブ状に仕上げた肥料成分に、薄いプラスチックの殻を覆い被せていく。
このプラ殻の中に田畑の水分が浸透するにつれ、殻が破れていく。すると破れた個所から肥料成分が作物に向かって流れ出ていく。
殻は少しずつ破れていくので、肥料効果が長持ちする。作物の成長に合わせて、肥料成分が供給されていく。
一度使えば何度もオイシイ、こういう感じで瞬く間に広がっていったのが経緯になります。
でも、便利なモノにはその反対のデメリットだって存在するもの。
収穫後に田畑に残されたプラ殻が用水路などを経由して、川に流れ込み、それが海へと流れ出ていく。それが深刻な
“海洋汚染”
の原因になっていると問題視されているのです。
プラスチックは雨や風、紫外線や海に流れ出た後の波などによって小さな破片と化していきます。そして5㎜以下に砕けたプラスチックは
“マイクロプラスチック”
と呼ばれているのです。
プラスチックは分解されにくいため、小さく目に見えないほどのサイズになっても半永久的に海を漂い続けます。
海に出てしまえば回収は極めて困難。マイクロプラスチックは自然分解されにくいので、どんどん増えていく一方・・・。
こうした事態に陥ってしまうのです。
また、プラスチックの表面には細かなデコボコがあるため、有害な化学物質を吸着しやすい。
海などに漂う環境中の有害物を引きつけてしまうといった性質があるのです。
現在1年間に、4億トンものプラスチックが全世界で生産されているといわれますが、その内の重量にして約7%。
約800万トンは紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤などの人工の化学物質であると説明されるのです。
それらが魚や貝などの体内に紛れ込み、消化液などを通して溶解していく。プラスチックの破片が小さくなればなるほど、化学物質は染み出やすくなってしまう。
そしてその魚介類を私たちは食べることになる。
カナダのトロント大学の生態学者で、マイクロプラスチックの魚への影響を研究しているチェルシー・ロックマン氏は、
「これは、我々が自ら出したごみを食べているということを示しています。管理を誤ったツケが、夕食の皿の上に戻ってきたのです」
と述べているのです。
■食文化や地産地消
農業においては、土の保温や雑草対策。
こうした目的のもと、マルチシートなどがよく使われています。
野菜などのタネに使われるコーテイング剤も同じなのですが、マルチもプラスチック製品で風雨や紫外線、地熱などの影響でマイクロプラスチック化していくことがいわれているのです。
それが生態系や陸地の生物全般に長期にわたって影響を与えてしまう・・・。
さらに最近では、極小化した破片を作物が吸収してしまい、それを含んだ野菜などを私たちが食べてしまっている。
そんな研究結果も報告されているのです。
※参考:『畑で育つ野菜からもマイクロプラスチック粒子を検出』
問題はほとんどの農家がこうした汚染をほとんど意識することなく、あまりに安易に使ってしまっていること。
作業軽減・効率優先のもとに、私たちの食べものや地球環境。そこにマイナスの負荷があまりにかかり過ぎてしまっている。
それは今生きている私たちはもとより、負の遺産として未来の人や生きものにまで影響を及ぼしてしまうのなのです。
最近は、食育の重要性、伝統食の大切さ、地産地消のススメなど、こうしたことが盛んにいわれています。
“食文化を守れ!”なんてスローガンもよく見かけますが、食文化の前にまずは食材が
「先にありき!」
であるはずのもの。食材そのものをきちんと語らずしての食文化などはあり得ない!私はこのように思っているのです。
思えば、消費とは評価。それは清き一票と同じ行為といえるのでしょう。
「何を育て、何を改めていくのか?」
「何を支持し、何を支持しないのか?」
それは日々の私たちの暮らしの中で決定されるものでもあるのです。
誰もが当たり前に本来の食べものを手にできる社会を実現していくために。そして真面目に努力する作り手が
“バカを見ない”
そんな世の中を作り出していくために。私はそう思っているのですが、あなたはいかが思われるでしょうか?
■参考文献
・『プラ肥料殻流出、難しさ浮き彫り 国や農業者ら議論 対策まとまらず』
■無肥料無農薬米・自然栽培と天然菌の味噌・発酵食品の通販&店舗リスト
■自然食業界キャリア15年のOBが綴る