「デフレとインフレ」
よく耳にする言葉です。
日本は今、デフレスパイラルの状況下にある!そう騒ぎに騒いで、日銀の量的緩和。その名も、
“黒田バズーカー!”
そんな奇妙な名前をつけて、異次元の金融緩和を行ったのがアベノミクスと呼ばれる愚作、もとい政策。
それが発表されたのが2013年の春のことだったと記憶しております。
日本経済低迷の元凶は、デフレにこそある。その解消を胸にバズーカーをブチかましてから、ほぼ10年。
残念ではありますが、肝腎のデフレ状況は一向に解消されないまま。
掛け声と気迫、そしてヤリ口ばかりはスゴかったけれど、実際に起っているのは当初よりも深刻な
「所得格差」
持つ者と持たざる者との間が、開きに開き続けてしまっているのが現在の状況・・・。
こうした事実が白日の下に晒されてしまっているのです。
私たち庶民の側は、深刻なデフレ状況を100円ショップや100円バーガー、激安牛丼、さらには業スー。
これらを駆使することで厳しい状況を凌ぎに凌ぎ続けてきた。今は確かに苦しいけれども、それでもいつかは良くなっていく!
自公政権、その中核の自民党清和会。さらにはバズーカーの打ち手である日銀の黒田総裁。
こうした頼もしき面々に全てを任せておけば、いつの日か必ず報われる!
『欲しがりません、勝つまでは!』
こんな感じで苦境を耐え忍んできたのです。
でもそれだって、もはや過去の出来事になりつつあります。100円ショップに行ってみると、全部100円!だなんてことはあり得ない。
300円、500円、それ以上、そんな高額商品が結構な割合で並べられている・・・。
看板に偽りアリ!これが現在の状況ではないでしょうか?
■苦の連鎖・・・
言うまでもないことですが、100円ショップなどは国を跨いだ
「所得格差」
これを利用した業態といえるのでしょう。賃金の安い国で、その国の労働者を使って商品を作り出す。
そして世界最強の通貨『円』の為替差益を駆使することで、商品を日本に輸入してくるといった業態。
現地の労働者への支払い、それがいつまでも安いままなら良いのかもしれませんが、その国だって経済成長するのは自明の理。
いつまでも安く買い叩くことは難しいのが現状です。
さらに為替レートがいつまでも円高基調であれば良いのでしょうが、1年前までは1ドル100円前後だったドル円相場は、今日現在では、
“114.78円”
仕入れ価格は1割強も高くなっているのが現状です。
そしてこれらの業態が扱う品物はプラスチックなどの石油関連品が多いため、原油価格高騰はあまりに強烈なダメージとなってしまう。
さらにコロナという意味不明な騒動によって、世界の工場稼働率は著しい低下を招いている。現地で労働者を雇うためには、さらなる賃金の支払いも余儀なくされる。
デフレ経済が生んだ庶民の味方!であったはずの100円ショップは、
「原油高・円安・物価高」
に見舞われ、これまでのようにはいかなくなってしまっている・・・。
それは同時に、私たちの生活がさらに厳しくなることを指し示しているいるのです。
■底なし沼へ・・・
デフレとは、継続的にモノやサービスの値段が下がっていく現象のことをいいます。
お金に対して、モノの価値が低くなるのがデフレ現象。このように言えるのでしょう。
モノの値段が継続的に下がっていくわけだから、お金をたくさん持っている人が
「断然有利!」
お金をあまり持たない、もしくはほとんど持たない。そんな働く私たちの側は圧倒的に不利な立場に追い込まれやすい。
カネの力が強いのだから、日々労働に勤しむ私たちは安く!安く!と買い叩かれてしまうのです。
またモノの値段が下がり続けるのだから、何か欲しいものがあったとしても、
“今はヤメておこう・・・”
もうちょっと待てばさらに安くなるかも。こんな感じで買い控えなどが起こりやすくなっていく。
商品をなかなか買ってもらえないわけだから、企業の収益はさらに悪化の一途を辿っていく。
そうなると真っ先に削られてしまうのは、働く私たちの
「給料」
賃金カット、シフト制限、早期退職、ダブルワーク、トリプルワーク・・・。
こうした事態を余儀なくされるのは当然の帰結。まさに底なし沼にハマり込んでしまうのです。
デフレ下において、最も得!をすることになるのは、「お金持ち」。こういうことになるのでしょう。
そもそもたくさんのお金を持っているのだから、満員電車に揺られて息苦しいマスクを四六時中つけさせられ、底意地の悪いイヤな上司にイビられながら日銭を稼ぐ。
そんな必要などは、どこにもない。悠々自適にデフレ生活をエンジョイ!満喫・謳歌できてしまう・・・。
黒田バズーカーは掛け声ばかりは大きかったけれども、そもそも鼻からデフレ解消などを目指していなかった。
私にはそのようにしか思えないのですが、いかがでしょうか?
■有利と不利
デフレとは反対に、モノの値段が継続的に上昇していく状態がインフレになります。
インフレとは、モノの値段に対してお金の価値がドンドンと低下し続ける状態のこと。そうなると働く私たちの側はダンゼンに
「有利!」
になっていく。特に私のような国民にとっての必要不可欠。そんな農産物を手がける農家はすこぶる有利な状況が作られていく。
だってそうですよね、国民生活に絶対に欠かすことができないモノを育てているのですから。
インフレになると、即座に困ってしまうのがお金持ちになります。彼らは実際に働くことなく、タダお金を持っているだけ。
労働力を提供しない。タダそれだけの人々なのですから。
どれだけお金を持っていたところで、その価値は時間の経過で低下の一途を辿っていく。それに対してモノの価値は継続的に上昇し続けていく。
モノの値段が時間とともに上がっていくのだから、欲しいものがあるのなら今スグ
“即買い!”
企業は潤い、働く私たちの給料だって上昇していく。消費増税前の駆け込み需要、このことを思えば理解が早いのではないでしょうか?
デフレは金持ちに有利・インフレは実際に働く私たちの側の方が有利。緩やかなインフレ誘導こそが、大多数の国民を幸せにするための政策。
カネ持ちは絶対にインフレ状況を招きたくない!働く私たちの側はデフレなんて最低最悪!
こういう視点で眺めてみると、30年も続けられているデフレ不況の
「正体!」
これが明らかになって来るのではないでしょうか?
■超自然と反自然
世に存在するものは、
「減価していく」
これが自然界の法則なのでしょう。
お米も野菜も、時間が経てば食べられなくなるわけだし、家も車も、時間の経過で劣化していくはずのもの。
私たち自身だって、生まれた瞬間から“死”に向かって進んでいく。若いままでいたいから、
“時間よ、止まれ!”
いくらそう願ってみたところで、叶えられるようなものではない。自然の摂理とはこのようなものと言えるのです。
でも、ドイツの作家のミハイル・エンデは、この世において価値が減っていかないものが2つだけあると述べました。それが何であるかといえば、1つが
『神』
神にどれだけ祈りを捧げても、その価値は減っていくようなものではない。アナタの祈りは3回だけ、このようには決してならない。
祈れば祈るほど、豊かな恩恵を私たちにもたらしてくれる。エンデによると神は超自然の存在、こういうことになるのです。
1つ目が神なら、残りのもう1つは何であるのか?それは
『お金』
になります。お金はそのまま持っていても、いつまでもお金のままであり続ける。そしてそれだけに留まらず、お金は新たなお金を生み出していく。
金利や利息がつくことで、お金は無限増殖を繰り返していく。
「神は超自然、お金は反自然」
エンデはこのように指摘したのです。自然界のモノは劣化していくのが当たり前なのに、お金だけはそうはならない。
ココに私たちから時間と労力とを奪っていく、“時間ドロボー”の根源が潜んでいる。
エンデはこうしたこの世の不条理の正体を『モモ』という童話に込めて糾弾したというわけです。
生産と消費とを仲立ちする役割がお金であるのなら、お金にだって自然界の法則を当てはめることが大切。時間の経過で、
“減価させていく!”
このことが正しいあり方、エンデは作品を通じてこのことを呼び掛けていたのではないかと思うのです。
■金利とは?
世の中がインフレ基調にならないように。常にお金を持つ者が有利であり続けられるように。
『金利』はその目的のもとに設定されたといえるのでしょう。
常にインフレ率よりも高い金利を保たせるように。実質金利はいつだって
“プラス”
になるよう設定されてきた。お金のチカラやその価値を落とさないようにと、ごく一部の人間ばかりを守ってきたのがこの間の経緯。
日銀がインフレファイターと呼ばれる由縁は、こうした背景があるとフェア党代表の大西つねき氏は解説するのです。
※参考動画:『狂ったコストカット信仰』
本当のデフレ対策とはバズーカーをブッ放すことでも何でもなくて、常に実質金利をインフレ率よりも低くなるように制度化すること。
それよりも何よりも、金利という概念そのものを
“撲滅すること”
このことが真のデフレ対策であると大西氏は主張し続けているのです。
私は諸手を挙げて賛成なのですが、あなたはいかが思われるでしょうか?
■参考文献
■無肥料無農薬米・自然栽培と天然菌の味噌・発酵食品の通販&店舗リスト
■自然食業界キャリア15年のOBが綴る