「水と油の関係・・・」
お互いに決して、
“混じり合わない”
ことが知られています。
水に溶けやすい醤油の中に、ラー油をポトリと落としてみる。するとラー油は表面に浮いてしまう。
醤油もラー油も、決して混じり合おうとはしないものなのです。
それはお酢と油も同じで、お互いに反発し合うばかりなのですが、そこに卵黄を加えてみるると、どういうワケだか
「混ざり合う!」
この原理を使った調味料が『マヨネーズ』。卵黄にはレシチンといわれる界面活性効果のある物質が含まれていて、本来混じり合わないはずのお酢と油。
これらを混然一体に、混ぜ合わせてしまう力があると説明されるのです。この混ざり合わないものを混ぜ合わせてしまう作用が『界面活性力』。
石鹸にもこのチカラが備わっているのですが、それは正直言って強くない。でも、石油由来の合成界面活性剤を使えば、その力は強力なものとなる。
そして私たちの多くはキッチンにバスルームに、お洗濯に、この後者の強力な方を選んで使ってしまっている。
バスルームでいえば、皮脂汚れがクスミやニオイを発する原因になるから、これをきちんと洗浄しよう!
それは脂のカタマリなのだから、水やお湯で洗っただけでは落とすことが難しい。強い界面活性力を備えた石油系合成洗剤で、根こそぎ洗い落とす必要がある。
こうしてシャンプーやボディソープなどが盛んに宣伝されているのです。
合成界面活性剤の強力な作用で、忌まわしき皮脂汚れを
“根こそぎ洗浄!”
それこそが清潔の定義である。私たちはこのように思っているのです。
■不測の事態だけ!
確かに人の体から出る皮脂汚れは、脂っぽい感じがあります。
だから強力な洗剤を使って洗い落としたくなるのは人情というもの。
でも、この皮脂汚れといわれるものは、化学的には
「ミセル状」
といわれる形態をしていることが分かっています。
ミセル状とは、水に馴染む水様性の物質が『外』。油に馴染む脂溶性の物質が『内』。いわば、
“鬼は外~福は内~”
みたいな形で皮脂は分泌されている。
水溶性物質が外側を包んでいる形になるので、水で洗えばカンタンに落とせてしまうもの。お湯ならばさらによく落とすことができると解説されるのです。
皮膚からの分泌物は強力な洗浄力のシャンプーやボディソープなんかを使わなくたって、カンタンに落とせるはずのもの。
お湯に浸かって、鼻歌の1つでも歌っている間に
「キレイになってしまう」
『患者よ、医者から逃げろ』(光文社新書)の中で夏井睦医師は、シャンプーやボディソープが必要なケースを解説し、以下のように述べています。
「天井からゴマ油が降ってきて頭が油まみれとか、脂でギトギトのラー油の瓶をつかんで手がベタベタしているとか、煙もうもうの焼き肉屋で頭髪が臭い、などの不測の事態だけである」
と解説するのです。体にも頭にも、強力な洗浄力のシャンプーなどは一切不要。もちろん無添加の石鹸なんかもイラナイ。
湯シャンで充分であると説明しているのです。
また合成洗剤には脂質破壊作用があるため、皮膚をコーテイングしている皮脂。さらに角質層を破壊するといった強力な洗浄力があるため、皮膚のバリア機能を根こそぎ壊してしまうといった結果を招きやすい。
そうなると、酸素との接触を嫌う嫌気性菌の皮膚常在菌たち。健康と美肌の守り神であるはずの常在菌たちがお肌に住めない環境へと傾いてしまう。
皮膚常在菌が居なくなれば、その空白地帯に入り込むのは決まって、外来菌や外来病原菌。
夏井氏は、
「シャンプーやボディシャンプーによって、皮膚は雑菌だらけの不健康な状態になり、皮脂を失って乾燥するのだ」
と解説するのです。
要するに毎日、お風呂で合成洗剤を使うような行為は、明らかにやり過ぎで洗い過ぎ。こういうことになるのです。
■主と従の関係
思えば、日本人は世界に類例がないほど、過剰清潔の国といわれています。
でも、その過剰清潔は昔からそうだったのかといえば、まったく以ってそうではない。
日本人が毎日お風呂に入る習慣が身に付いたのは、1970年代に入ってからで50年程度の歴史しかないことがいわれているのです。
つまり日本人は長いこと、ほとんど風呂に
“入っていなかった”
第二次大戦前の日本人の入浴頻度は東日本で3日~5日に2回程度。西日本で1カ月に1~2回程度だったことが言われています。
関東と関西で結構な差があるのですが、これは江戸・東京の人口密度が高かったため、「銭湯」が比較的身近にあったことがいわれています。
人口が多かった銭湯の経営も充分に採算が採れた。水を張り、お湯を沸かすことは当時かなりの高コスト。関西では採算が採れなかったことが理由と説明されているのでます。
1920年の『家庭百科全書』には、
「40年も50年も髪を洗ったことがない人が月に1度くらいは必ず髪を洗うようになった」
と記されているし、1965年のシャンプーの広告では、“5日に1度”は髪を洗うようにと促しているとのです。
日本人が毎日お風呂やシャワーに入り、髪を毎日洗う習慣が定着したのは、1980年代半ば頃からと前出の夏井氏は指摘しています。
毎日の入浴は今では当たり前のようになっていますが、実はかなり歴史が浅いものでもある。
現在の乾燥肌やアレルギーなどの増加状況を思うと、洗剤のあり方も含め、いま一度入浴のあり方を考えて直してみたい。
そして私たちは洗剤会社などから体も衣服も、汚れを落とすのは洗剤である。このように洗脳され続けているのですが、洗う主体はあくまっで
「水である!」
もしくはお湯であることを忘れてはならない、こう思う次第です。洗う主役は水であって、シャンプーなどの洗剤類はどこまで行っても、『従の位置』。
幹は水、洗剤類は枝葉に過ぎない。
こうした当たり前の関係性を取り戻したいと私は思うのですが、あなたはいかが思われるでしょうか?
■ハミガキ注意!
生活用品の中で、合成界面活性剤が使われている商材はたくさんあるのですが、
「歯磨き粉」
これには、ぜひとも注意を払って頂きたいと思います。
お皿汚れに使っている洗剤と歯を磨く歯磨き粉の成分は基本的に同じ。私たちは、お皿を洗うかのように毎日何度も、歯を磨いてしまっている・・・。
そこには当然リスクがあるといわねばならないのです。
歯磨き粉を使った怖い実験結果があるのですが、『病気が健康をつくる』(現代書林刊 堀内良樹著)の中で、その実験の模様が紹介されています。
「ラウリル硫酸ナトリウム」
こうした名前の合成界面活性剤があるのですが、これはシャンプーや台所用洗剤、そして歯磨き粉にもよく使われる薬剤になります。
歯を磨いた際のブクブク泡、それはラウリル硫酸ナトリウムの作用といわれているのですが、被験者に普通に歯を磨いてもらい、その後8回ほど口の中を漱いでもらう。
その後、口内にどれだけこのラリウル硫酸ナトリウムが残留しているか?それを調べた実験結果が紹介されているのです。
水道水の残留基準値は、0.2ppmと定められているのですが、実験結果は何と!
“4.1ppm”
水道水の基準値、その20倍もの残留が認められたというのです。
著書の中で、川魚のアユに0.45ppmの濃度の合成界面活性剤を混ぜてみたところ、半分は死んでしまったそうなのです。
歯磨きで残留する濃度はといえば、その約10倍・・・。
この実験においては、口をすすぐ行為を8回した後で測られているのですが、通常、そんなに入念にすすがないように思われます。
2、3回すすいで、それでオワリ。特に小さな子供はその回数がもっと少なくなるのではないかと思うのです。
そうなると残留濃度は、さらに上がってしまう危険性は否めない。
皮膚には10~15層といわれる角質層が備わっているのですが、口の中には角質層は存在しません。
いわば皮膚バリアのない場所が口腔内になるのですが、それは有害物を吸収しやすい場所といえるのです。
口の中の細胞膜もカンタンに破壊されてしまう。それどころか、味覚探知に重要な、
「味蕾細胞」
までをも壊してしまう。若者に味覚障害が多いのは、日々の歯磨きに原因がある。こう指摘する声も少なくないのです。
歯磨き粉などを使わなくても、ブラッシングで充分キレイになるものです。どうしても何かをつけなくては気が済まないのなら、塩を代用品にすれば良いのです。
歯磨きはエチケットとして、朝晩二回、毎食ごとに行う人もいるようですが、本当に要注意!なので、心当たりのある方はぜひ参考にしてもらえればと思います。
■参考文献
■無肥料無農薬米・自然栽培と天然菌の味噌・発酵食品の通販&店舗リスト
■自然食業界キャリア15年のOBが綴る