「高い・安い・・・」
モノを買うときの判断基準。
安いモノは素晴らしくて、高いモノは間違っている。
若干、変わりつつあるとはいえ、多くの人がこのように思っています。
“企業努力の賜物だ!”
“この店は消費者の味方よ♪”
“良いものをより安く販売せよ!”
生活不安が覆う中、安いものはスバラシイ。
そう思うのも当然なのかもしれません。
でもその一方で、賞味期限や品質表示の問題なども頻りに報じられています。
それはひとえに
『安く仕上げるため!』
そこに原因があることも事実なのです。
廃棄寸前の食材には、旨みも香りも鮮やかな色彩も、当然ながらあったものではありません。
でも、安く食べものを提供するためには、どうしたってこうした食材を使わざるを得ないことも事実。
古今東西、儲けを生み出す方程式は、安く仕入れて高く売る。
捨てる間際の食材などは、この方程式を充分に満たすものといえるのです。
味が劣るモノには、「化学調味料や酵母エキス」。
これらを使えば、そこそこの味にゴマかすことができてしまう。
香りが失われていれば、香料を何種類か駆使してしまえばそれで済む。
色の悪さには着色料。腐る寸前のようなモノであっても、『保存料』を使えば品質を長めに保持できてしまう。
このようにして現在日本人は年間に
“8キロ”
もの食品添加物を摂取しているといわれているのです。
食べたものが血となり、肉となっていくのだから食べものをできるだけ自然なものに変えていく。
これは病気予防の基本中の基本、このようにいえるものなのでしょう。
暴飲暴食を繰り返して、健康のままであり続ける。
それはなかなか困難なことと言わねばならないのです。
私たちは、高い・安いという判断基準から脱して、
『適正か否か?』
このモノサシを別に用意しておく必要を感じます。
お買い物の際にはこの点をしっかり確認できるだけのまなざしを養う必要を思うのです。
そこで今回は、「適正」について考えることで、医者を遠ざけ、クスリを拒む。
そんな生き方のヒントについて述べてみます。
“ステーキ580円!”
こんな看板を見かけることがあります。
『激安価格!』そういうことになるのでしょうが、でもこれはやっぱりオカシイですよね。
肉とは本来高いもの、これが当たり前であるからです。
例えば「肥育期間」。肉質を良くするためにかかる時間のことですが、
牛なら最低10ヶ月、豚なら約半年、鳥は2ヶ月。
このように長い肥育期間がかかるもの。
この時間だけを見ても、安い値段で売れるはずがない。
それにはどこかにマヤカシが潜んでいる、こう考えるのが自然といえるのです。
高いはずのものを安く売る。それを可能にする魔法の妙薬が、
“食品添加物”
添加物を駆使することで高いものを廉価で販売できるようになる。
そして私たちの周りにはこうした食材ばかりになりつつあると感じている次第です。
例えば、「牛肉」。
牛肉の旨味を決定づけるのは、脂になります。この脂の濃厚な味わいが加わると、
“牛肉を食べた!”
という満足感を演出できるようになります。
サシの入った牛肉を美味い!と感じる理由も、肉か脂か分からないくらいの大量の牛脂の為せるワザというわけです。
牛脂さえ肉に混ぜ込んでしまえば、どんな肉でもウマイ肉へと変身させることができてしまう。
そこで重宝されるのが
「国産牛の脂身」
脂身の切れ端を大量に集め、これを紛れ込ませれば良い。
こうした次第になるのです。
■加工の工程は?
「クズ肉や内臓肉」
これらは本来、とてもステーキで食べられるようなものではありません。
でも、上手に加工さえすればウマイ肉へと変身させ、安価で提供できるようになる。
そこでまず最初に使われるのが肉を柔らかくするための
“軟化剤”
と呼ばれる添加物。これを使えば、カタい肉でも柔らかくできてしまうのです。
そこに国産牛の脂身を混ぜていく。脂と肉とが上手に混ざり合わないと、ゴマかすことは不可能になります。
特に一度冷凍された牛を素材に選んでしまうと、どうしたって結着力が弱まってしまうのです。
それでは肉と脂が分離してしまい、明らかに不自然な肉となってしまう。
そこで使われるのが、“魔法の添加物!”とまで呼ばれている
「リン酸塩」
ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタン酸ナトリウムなどの重合リン酸塩と呼ばれるグループ。
別名、『結着剤』といわれる添加物を混ぜていく。これを使えば、肉と肉、肉と脂とが上手に混ざり合っていく。
一見、普通の霜降り牛!そんな姿に見せかけることができるのです。
リン酸塩は本当によく使われる添加物で、ハムやソーセージ、ベーコンなどにも欠かせない薬剤となっています。
さらに良いことに使用量の制限が設けられていない。
どれだけ使ってもOK!粗悪な材料をそこそこの味に仕上げるためには
“欠かせない!”
そんな添加物といえるのです。
ちなみに冷凍エビなどにもかなりの確率で使われている添加物で、これを使えばプリプリ感を人工的に作り出すことができます。
安い天丼なのに、プリプリ!それはリン酸塩の為せるワザ。
こう考えておいて間違いは少ないのです。
さらに安い牛肉の味を調整するプロセスへと進んでいきます。
味と食感と色、これらを良くするために使われるのが
“植物性タンパク、乳タンパク、卵タンパク、ビーフエキス、アミノ酸、カラメル色素”
こうしたさまざまな食品添加物が次々に加えられていく。
こうして見栄えも味も整い、晴れて580円!なんていう値段で安く提供されていく。
これが
「成型肉」
といわれるものになるのです。
本来、高級品であるはずの牛肉を安価で食べることができるのは、薬剤の力のお陰といえます。
調整の妙!を利かせた結果といえるのです。
■外食・弁当は要注意!
また赤身の肉に注射を打つ。 そのことで、一晩で
「霜降り牛肉」
を作り出す方法も広く使われています。
それが“インジェクション牛肉”といわれるものになるのです。
これはカタい赤身の肉の筋肉の繊維に脂を注入することで、柔らかく、香り高い霜降り牛肉に変身させる方法です。
ピックル液という油の液体を肉に刺すだけのシンプルなものですが、その液体の中身を見てみると、
「水、国産の牛脂、水あめ、食塩、寒天、乳たんぱく加水分解物、複合エキス、発酵調味料、調味料(アミノ酸等)、安定剤(加工デンプン)、増粘多糖類、pH調整剤」
このような添加物のカタマリ。これを100本くらいの針がついた機械で注射していく。
水と脂を馴染ませるために使われるのが「合成界面活性剤」。
シャンプーや化粧品でお馴染の薬剤になのですが、食品で使われる際には、“乳化剤“と言葉が巧みに変えられている。
イメージを良くするための措置と思われます。
乳化剤を使えば、肉が柔らかくなり、かつ肉の量を 増量できる。
こうした一石二鳥の効果をもたらしてくれるのです。
注射針を打ち込んだ肉は赤身からみるみる内にピンク色に変色していく。
そして一晩冷凍庫で寝かせておけば、脂は流れることなく、肉に混ざり合う。
こうして、安くてカタい部位の肉が霜降り牛肉に変身するわけです。『牛脂注入肉』と呼ばれたりもします。
肉に対して加工を施した場合、スーパーなどの小売りでは、
「成型肉」
と表記する義務が食品衛生法で定められています。
でも、外食やお弁当などではそれを買う側に知らせることなく、売られているケースが少なくない。
「ステーキ680円!ステーキ弁当580円!」
このような値段で販売できる理由は、こうしたカラクリがある。
知った上で外食やお弁当やお惣菜を買うか否か?の判断をする必要性がある。
このように感じている次第です。
■過度の食味追及
それならば、本物の霜降り牛ならばそれで良いのか?
こうした問題も別にあります。
以前、『高級牛の作り方』という映像を見たのですが、その光景はちょっと・・・。
想像を絶するような光景が映し出されていたのです。
牛は草を食む生きもの。
でも、草だけを与えていれば、肉質は赤身となり、サシはほとんど入らない。
それでは霜降り牛にはなれないので、まずはエサを
「変えていく」
高タンパク・高エネルギーの大豆カスやトウモロコシの茎などを1日3回、十数キロも食べさせるのです。
もちろん自然の牛は大豆カスなどを自ら進んで食べることはありません。
エサを反自然なモノに変えることで、脂身をつけさせようとするのです。
また、牛が自由に動き回れる環境ならば、肉質は硬く
“筋肉質”
になってしまいます。
それでは口に入れた瞬間にトロける!こうした食感には決してならないものなのです。
そこで、狭い牛舎の中にに閉じ込めて一切の運動を禁じてしまう。
こうして歩くことも、抵抗することもできないくらいにまで肥え太らせていくのです。
本来のエサを奪われる。さらには歩くことさえもすら許されない。
そんな牛舎の中の牛たちは当然、病気がちになってしまいます。
そこで、エサには
「抗生物質」
が混ぜられる。
抗生物質は病気予防という面もありますが、与えれば速く生育することも畜産業では常識となっています。
そのため必要以上の抗生物質がエサの中に混ぜられているのです。
さらに肉質を良くするためにと、ビールを飲ませたりもするのですが、牛は本来ビールなど飲むはずがありません。
身動きが取れない狭い牛舎の中で、懸命に首を振って、ビールを
“拒もうとする”
のです。
それを何人かで力づくで抑え込み、口からビールを流し込んでいく。
白目を剥いた牛の顔、それが今だに脳裏に残り続けているのです。
最後は増えすぎた体の重みで自分で立ち上がることができなくなってしまう。
こうして高級霜降り牛肉は作られているのです。
■2人に1人の現状は?
それは野菜も同じです。
消化できないまでの大量の肥料を与えられ、無理やり肥え太らされている。
そして虫や病気にやられやすくなり、何十回もの農薬を浴びせかけられている。
味噌や醤油を熟成させる発酵菌たちも、紫外線や放射線を浴びせかけられ、殺菌剤や化学薬品で分離培養されている。
肉も野菜も発酵菌も何も、皆同じやり方で作られていると感じる次第です。
こうした食材の汚染は私たちに体の不具合や不調という形で跳ね返ってきてしまいます。
現在、日本人の2人に1人はガンにかかり、何らかのアレルギーを持っているといわれていますが、
「食材に問題がある」
このように指摘する声は長く久しいものがあるのです。
自然の摂理に則して作られたものを体に入れる。
自然食の大切さを改めて感じています。
■参考文献
■無肥料無農薬米・自然栽培と天然菌の味噌・発酵食品の通販&店舗リスト
■自然食業界キャリア15年のOBが綴る