「六分の勝利」
戦国の名将・武田信玄が常に心掛けていたと言われます。
勝ち過ぎてはならない。勝ち過ぎれば、味方の損耗も多くなる。
常に、
“コチラのダメージ”
も計算に入れる。そんな戦い方を常にしたと伝えられます。
このことは、なるべく自然でムリのない生き方を志す、私たちにも
「含蓄深い」
私たちはついつい100%の勝利を目指してしまう、こうした面があるからです。
そこで今回は、「完全」を考えることで、医者を遠ざけ、クスリを拒む。
そんな生き方の秘訣について考えてみたいと思います。
■無差別攻撃!
「完全な健康」
そんなものがあるのでしょうか?
完全を目指してしまうからこそ、思わぬ事態を招いてしまう。
こうした面だってあるからです。
例えば、抗生物質や抗ガン剤。
菌やガン巣を“目の敵”にして徹底的に殲滅するものですが、
確かに抗生物質を使えば、悪い菌を殺せるのかも知れません。
でもそれは同時に、私たちの健康にとって欠かせない人体常在菌をも同時に
殺し弱めてしまいます。
抗ガン剤にしてもガン細胞を叩くには有効なのかもしれませんが、正常な細胞にも
「同時に攻撃」
を加えてしまうものなのです。
食べものにおいても、
「食物繊維」
の重要性が叫ばれます。体の毒素を繊維が吸着して、外に出してくれるから良いといわれるのです。
でも、食物繊維が毒素だけを体の中で探し回って、それだけを都合よく出してくれるとは限りません。
体に必要なモノまで
“一緒に排出”
してしまう、こうしたデメリットだってあるからです。
■最善の努力!
「合目的」
医学の世界でいわれる事がらです。
体は、生命を維持するために、
“最善の努力を怠らない”
ことを言い表した言葉です。
ウイルスや外来菌が入れば、私たちの体は体温を上げようとする。菌やウイルスが
熱に弱いことを熟知
しているからです。
悪いものを食べれば、下痢を起こす。それにより体外に排出しようとするからです。
体は常に最善は何か?を考えて、体内のあらゆる資源を導入して元の自然な状態に戻そうとする。
人体には崩れたバランスを
“病気の症状をあえて起こす”
ことで、元に戻そうとする。
病気の症状とは、それそのものが治癒に向かうプロセスでもある。これが、
「人体恒常性」
の発動です。
治癒とは“台風一過”のような面もあるのです。
体がすることにはすべて目的があってのことなのに、その症状だけを捉えて、スグにクスリを使って対処してしまう。
良い・悪いで判断してしまうと、治癒に必要な反応までをも止めてしまうのです。
イタイ、カユイ、ツライ、それらは心配で不愉快なモノではありますが、
体は合目的のもとに
「反応しているんだな」
そう症状を捉える、心の余裕も同時に欲しいと思うのです。
■ハレとケの思想
健康不安を背景に、さまざまな
「食養術」
の重要性が叫ばれたりもしています。その大切さを否定するものではありませんが、
真剣に取り組めば取り組むほど、
極端に走ってしまう
こうした傾向だって否めないのです。
日本人の体を養う食品として、
お米や野菜、発酵食品の重要性
は言うまでもありません。
タンパク質なら魚を少量食べることも、遺伝因子から見ても自然でムリのないことなのでしょう。
乳製品や卵、肉などを敵視して徹底的に排除しようとしてしまいがちですが、
食べものは体を養うだけのものではない。食べることによる、
「喜び!」
だって無視できない大切な要素であるからです。
ケーキを食べたいのにムリにガマンを続けたり、
肉を食べたいと思うのにひたすらその気持ちを封じ込めたり。
それでは、
“心にストレス”
を抱えてしまうことにもなりかねません。ストレスが溜まれば体内に活性酸素が過剰となり、
正常な細胞にまで攻撃を加えてしまう。その結果、ガンやアレルギーを引き起こす原因にもなってしまうのです。
「体を養う食と心の健康のための食」
どちらも欠かせない食のあり方ではないか?と感じます。
普段はなるべく体を養う食をメインにして、たまのご褒美や楽しみとして、
少量の乳製品や肉、お酒なども嗜好品として楽しむ。
“ハレとケ”
の発想です。
時に思いっきりおしゃれをして外食なども楽しむことだって、
人生を豊かにする大切なことではないかと考えます。
日本人なら米・味噌・野菜を食卓の軸としてしっかり整える。そして後は適度な楽しみも忘れない。
こうした余裕を持ちたいものです。
何ごとも完全を求めればその先に待っているのは、
「ストレスと挫折」
です。
ただしどちらの場合も、農薬や添加物などの使用状況はしっかり確かめることは大切であろうと思います。
■自然食業界キャリア15年のOBが綴る