防災の日2023 | ~ファインダー越しの365日~

~ファインダー越しの365日~

新潟県三条市で運営を行っている社会福祉法人しただの事業所での日常や働く職員の声をお届けするブログです

この夏も異常気象や台風の影響で

各地で甚大な被害が出ています。

 

被害にあわれた方のお見舞い申し上げます。

 

当施設も2011年の夏、

線状降水帯などという言葉もなかった頃。

新潟・福島豪雨の影響で大きな被害を受けました。

そのようなこともあり、これらのニュースを見るたびに

他人事には思えません。

 

少しだけ当時の画像でふりかえります。

 

降り続く大雨の影響で施設裏の山で土砂崩れが発生しました。

夕方前に撮ったものですが、当然この後、夜を迎えます。

土砂が施設にどれだけ近づいてくるのか、全く見えない恐怖。

 

日中は土砂が崩れるたびに響く職員の悲鳴。

大人の本気の悲鳴です。

今のところ、本気の悲鳴を聞いたのはこの日が最後です。

 

ついに排水しきれない泥水が施設に流入しました。

流入量は大変な量でした。

そして、ここでは、お伝えきれない水の音。

この音が職員のメンタルを追い込みます。

 

1階の玄関ホール。これでも水が引いたあとの様子。

 

和室。

 

こちらは事務室職員やケアマネージャーが

入居されている方の夕飯を作っている様子。

 

全員が最上階へ避難したものの

食事を食べるにもテーブルや椅子まで移動できる余裕がなく

ご飯を食べやすいように小さくおにぎりを作っていました。

 

ちなみに、この日出勤していたほぼ全員が

施設で一晩を過ごすことに。

 

まだまだ貴重画像もあるのですが、今回はここまでとして…。

この日を境に

・この経験を後輩たちに伝えること、

・災害に備えること(災害物品はもちろん、職員個々の災害へ意識向上)

などを目的として施設独自の防災の日を設け、毎年、

災害に関する取り組みを行っています。

 

あの夏から10年以上の月日が経過し残念ながら

この経験をした職員も少なくなってきました。

 

そして、今年の防災の日。

来年から義務化されるBCPへの準備を

全職員で実施しました。

 

義務化されるBCP、

Business Continuity Planの頭文字をとった略称。

日本語でいうと業務継続計画。

 

内容を簡単にまとまめますと、

“大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、 サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化 など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、また は中断しても可能な限り短い時間で復旧させるための方針、体制、 手順等を示した計画”となります。

 

有事に求められる瞬時での正しい判断。

その時、本当に優先すべきことは何か。

状況次第では出勤できる職員も限られてしまう可能性もある。

その中で優先すべき業務を、どんなやり方で行うか。

 

グループに分かれ、被災を知る職員主導のもと、

シミュレーションを行いました。

 

幸いにも2011年に被災した際は入居者、職員全員無事で

それなりに不便こそあったものの、

どうにか乗り越えることができました。

 

普段は車いすで生活されている施設の入居者の方。

被災時は、歩いて階段で避難していました。

避難の最中なのにも関わらず職員は二度見…え?歩けるの!?

そんな光景が思い出されます。

 

当時は個々が必要と思うすべき事を率先して行った結果が

小さな奇跡となり、その集合体が全員無事という結果に繋がりました。

あくまで結果論であり、次にそうなるとは限りません。

 

有事の際の計画を立てておくは必須ですが

その有事の際に計画を見ている余裕がないのも現実。

 

今はインターネットで何でも調べられる時代になりました。

ほとんどのことは答えが出ています。

しかし、2011年の私たちの取った行動は正解だったのか。

答えはありません。

何度も起こる奇跡は奇跡とは言いません。

 

それを知っているからこそ、

平時における準備や研修で有事への共通認識を持っておくこと。

それらを実践できるように繰り返し訓練をすること。

 

それが今言える正解…ではないかと思います。