「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」オリジナルサウンドトラック
血が騒ぎ 歌に酔いしれ 肉踊る
今でも脳みそから離れないのは「ジョアンナ」の歌。ああ、二度目の掛け合いで歌われる「ジョアンナ」をもう一度聞きたい。こりゃあ、やっぱオリジナル・サウンドトラックを入手するしかないかな。
そう思った私は、結局、このサントラを購入したのでありました。
この映画って、映像そのものがグロイ、そう思われやすいわけで、ならば殺戮関係者たちをどうしても受け入れられなければ、せめてジョアンナに純粋な思いを寄せるアンソニー・ホープ役のジェイミー・キャンベル・バウアーの歌に酔いしれなさるとよいのでしょうが・・・。
でもね、冒頭のパイプオルガンから始まる音楽は、映像とともに、むしろ、これから始まる狂気の世界の序章的美学を感じさせるくらい秀逸ですよね。もち、ストーリーも大事なんだけど、相当に音楽の重要性を意識しているのでしょうね。だからでしょうか、こてこてミュージカルにたまに見受けられる「早く歌終われ」みたいなまどろっこしさ、それが感じられません。むしろ、歌がみんな魅力的、もっと聴いていたい、そう思う箇所も。ストーリーテラーでもあるティム監督、そこんとこは、ミュージカルにありがちな、時に歌を謳歌するが故の話の中弛みには注意を払ったんでしょうね。
胸に復讐、目には狂気、そして手にはカミソリ。それを映像美学(視覚)と音楽美学(聴覚)の絶妙なコンビネーションで包み込む。CDはその聴覚だけだけど、聴いていると「ああ、あの場面」というふうに映像も甦ります。ジョニー・デップの本格的な歌声が思う存分聴ける幸せ。共演のヘレナ・ボナム・カーター、彼の歌声を「Johnny's singing voice is incredibly sexy.」と評したそうな。でも、ヘレナ・ボナム・カーターの歌声もなかなかどうして、とても魅力的ですよ。
映画そのものの感想文
でも、確か「オペラ座の怪人」よりも、この映画に軍配を挙げた私。ブロードウェイ畑でなく、映画畑のティムならではの創作意欲による華麗なミュージカル映画の結実でしょうね。
ついつい、映像やストーリーに走りがちだけど、音楽はもっとニュートラルであるべきでしょうね。ほら、ここで再現されている「ジョアンナ」の曲と歌声。テイム監督独特の色彩感覚と出演者たちの演技力に加えて、このCDでこうして再現されているジョニーとヘレナ・ボナム・カーターの歌声。ああ、贅沢です、私は。
そして、やっぱ、二度目の「ジョアンナ」の歌声。いいですね、ジョニーやヘレナ・ボナム・カーターたちの歌声が重なって掛け合う。このCDで私が待ち望んでいたのは、おそらく映像とは一味違った「ジョアンナ」をメインにした歌声を主題とした人生の様々な絡み合い、かもしれません。
そうそう、そう言えば、アンソニー・ホープ役のジェイミー・キャンベル・バウアーの歌もいいけど、このCDで、子役のトビーを演じるエドワード・サンダースが結構秀逸であることが分かりました。このCD1枚、私の記憶にさくさくと刻まれていきます。
はい、以上、サントラの感想でした。
映画そのものの感想は、こっちゃ→ http://ameblo.jp/shisyun/entry-10067409517.html
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