「ユキちゃん!久しぶり!俺が上京して以来だから2年ぶりかな?」
「…ユキちゃん。聞いたよ。村の生贄に選ばれたんだって?」
「そっか。ユキちゃん…綺麗だから」
「雨が降らなくなって今日でもう3か月らしいね」
「あのさ!あっ、…ごめん。…あ、うん先言っていいよ。何?」
「怖い?生贄になることが?」
「そっか。確かにこれまで生贄になった人たちは誰も帰ってこなかったもんね」
「…あの…実は俺…ユキちゃんに話したことがあって来たんだ」
「今日で最後だからこの気持ちを伝えたくて」
「あの…俺…ユキちゃんにお勧めしたい死亡保険がるんだけど」
「うん。死亡保険。いや、告白じゃなくて勧誘」
「あっ、言ってなかったっけ?実は俺東京で保険の勧誘やってるんだ」
「これまで、何度も色んな家に行って保険の勧誘してきたんだけど全部断られてさ」
「会社で一人だけノルマ達成できなくて毎月毎月上司に怒られててさ」
「何もかも嫌になって村に戻ってきたら、今年は幼馴染のユキちゃんが生贄になるって聞いてね」
「最初に聞いたとき、これ以上ない営業チャンスだと思ったよ」
「さっそく保険の内容なんだけど」
「え?どうかしてる?」
「僕が?」
「ハハハ。本当にどうかしてるのは、雨が降らないってだけで若い娘を生贄にしようとしてるこの村と、生贄になる自分に自己陶酔してる君の方じゃないか」
「まぁ、とはいえ、こんな村で育ってるんだ。僕も君もまともな倫理観なわけないだろ?」
「で、話を戻るけど、保険の内容は二種類あってね」
「一つは、安心安全無駄死にプランってやつ」
「これは、従来の死亡保険と基本は同じなんだけど、死亡理由が村の生贄とか、そういうどう考えてもそれ無駄死にだろっていうケースの場合、保険金プラスなんと」
「え?帰ってくれ?」
「…ユキちゃん。よーく考えるんだ。これは、ユキちゃんの人生で人の役に立つ最後のチャンスなんだよ!」
「君が保険に加入してくれれば僕は契約を取ったことになり上司に怒られずに済むし、君のご両親も君の事は失うけど、代わりに洗剤を得ることができるんだ」
「どうだろう?村のために犠牲になるわ!って生贄になることを決意したときの自己犠牲の精神ってやつを、もう一度思い出してくれない?」
「思い出した?じゃあ、改めて聞くけど、保険加入しt」
「雨…降って来たね」
「生贄にならずに済んだね!」
「まぁ、それはそれとして、…とりあえず、ハンコ押そっか」
完
どうすかね?ありがちな設定です。正直これをライブでやろうとは思いません。
https://twitter.com/ashigaru_yamato