中尾彬、池波志乃、北村総一朗、ねじねじ、ネジバナ、福ちゃん、昭和、俳優、追悼。
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天まで ねじねじ…文質彬彬
(追悼:中尾 彬さん)
今回のコラムは、俳優の北村総一朗さんのブログ記事をリブログするかたちで、書かせていただきます。
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2024年(令和6)5月、俳優の中尾彬(なかお あきら)さんが、ご逝去されました。
1942年(昭和17)生まれの 81歳でした。
映画や、テレビドラマ、バラエティ番組、テレビCMなどで活躍された俳優さんでしたね。
時代劇のいかにも悪者面の悪役や、迫力の武将、現代の怖い方々、いかにも名人級の職人、企業の絶大な役員クラス、実はやさしい頑固オヤジ などなど、あの目ヂカラと美声、堂々たる風格で、さまざまな役をこなされましたね。
バラエティ番組でのコメンテーターなどでも引っ張りだこでした。
俳優として、あまりにも演じられた役柄が多く、皆さまひとりひとりにより、思い浮かべる役柄が異なるかもしれませんね。
とはいえ、もっとも強く思い浮かべるのは、やはり、あの「ねじねじ」のファッションをした中尾さんではないでしょうか。
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90年代に、たまたまインドネシアの布製品「パティック」をねじって使用したのがきっかけだったそうですが、中尾さんのあの独特な「ねじねじファッション」は、2000年代に入り、お茶の間の人気になりました。
それ以降、中尾さんといえば、あの「ねじねじ」のファッションになりました。
近年放送中のテレビCM「福ちゃん」シリーズでも、しっかりピンク色の「ねじねじ」をされています。
後でご紹介します。
下記動画は、中尾さんが、出身地である千葉県木更津市での子供時代のお話しをする映像です。
故郷の話をする時の、うれしそうな表情が素敵ですね。
◇交差点で…
実は、私は、中尾彬さんとの初めての出逢いが、非常に衝撃的であったため、忘れられない俳優さんになりました。
これは、「ねじねじ」のファッションが生まれる前の時代のお話しではありますが、すでに時代劇ドラマでも映画でも大スターになられていた中尾さんでした。
私は、たまたま自動車を運転し、東京都内の ある撮影所の前の交差点で、先頭車両として停車しました。
私の目の前の横断歩道を、髪の短い かっぷくのよい男性が、私のほうを見ながら渡り、その直後に、私が乗る自動車の窓を、手でコンコンと叩いてきました。
撮影所の前であったことと、それよりなにより あの「目ヂカラ」と美声ですので、私は、すぐに俳優の中尾彬さんだと認識しました。
私は、初対面でしたが、窓を開けながら、「あれまあ、中尾さん…」と声を発しました。
そして中尾さんが、こう おっしゃられました。
「そうなんだけどね。あなたの乗っているクルマは、いったい何というクルマですか?」
中尾さんの、あの「目ヂカラ」と、響く低音の美声で、思わず、テレビのドラマシーンを見ているような錯覚になったことを憶えています。
普段の言葉遣いまでが、まるでドラマのよう…。
そして私は、「(クルマは)〇〇です」と答えました。
ちょうど、信号が青になり、後続車がクラクションを鳴らしたため、中尾さんが「ほう、そうかい!ありがとう!」と言って、そこで会話は終わりました。
「ほう、そうかい!ありがとう!」の言葉…ドラマでの中尾さんの台詞を想像してみてください。
まさに、そのとおりでした。
そして、目ヂカラいっぱいの、ニヤリとした「男の笑顔」が そこにありました。
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東京に暮らしていると、芸能人と、さまざまな機会で、偶然に出逢うことは少なくありませんが、私にとって、自動車の窓を叩いてこられたという経験は、中尾さんだけです。
少し経ってから、二度目に、これまた、たまたま お会いした時に、その話をしましたら、「あの時の黄色のクルマの方でしたか。いや~」と言って、首の後ろに手をあて、素敵な笑顔で笑っておられました。
ドラマの中では、強面(こわもて)の厳しい表情が多い中尾さんですが、多くの皆さんは、彼のあの笑顔も、同時にたくさん思い出されることと思います。
強面も笑顔も素敵な、中尾さんでした。
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昭和の時代に大活躍されたベテラン俳優の中には、本当に気さくに、見知らぬ人にもしゃべりかける方が少なくありません。
一瞬一瞬の、見知らぬ人との出逢いを大切にされる方も多くいます。
そして、何事にも非常に好奇心が強く、知りたいことを すぐに聞いてくる方も少なくありません。
タレントさんが成功するには、強い好奇心や、ものおじしない度胸が、必須の条件かもしれませんね。
お会いすると、昭和人の何かの「強さ」と「すがすがしさ」を感じさせてくれた中尾さんでした。
昭和のスターは、覚悟も、度胸も、一枚上手なのかもしれませんね。
忘れられない、中尾さんとの自動車の思い出に…。
キャロル(ボーカルは矢沢永吉さん)
…映像内の演奏は、プロとしてのゲスト出演です。
♪ファンキー・モンキー・ベイビー
◇こびないやつ
中尾彬さんを思い出すとき、あの「ねじねじファッション」はもちろんですが、あの美声と、突き上げてくるような、決め台詞のような、語り口調も忘れられませんね。
私が、中尾さんで好きなテレビCMを少しだけ…。
日本酒「黄桜」のCMシリーズでは、いろいろな名台詞がありましたね。
私が、一番好きだったのは、下記の「こびない奴ほど、味がある」でした。
中尾さん…そのとおりの方だったと私は感じます。
俳優の江守徹さんとの、「こんぶ、こんぶ、こんぶつゆ…」の歌も、忘れられない歌ですね。
前半CMは「昆布つゆ」、後半CMは「黄桜」。
辛口一献!
たしかに、中尾さんも辛口!
あきらかに「The 昭和の男」!
株式会社REGATE は、この「福ちゃん」CMの放映継続を決めたそうです。
ご逝去後も、テレビで中尾さんご夫婦の顔を見ることができ、うれしいのと同時に、さみしさも…。
日本中の、愛称「ふくちゃん」の方々が、色めきだったとか!?
ペットの犬の「フクちゃん」も…。
皆さん、どうぞ低音で…「ふくちゃんだね!」
◇いい旅だったよ
ご夫婦でテレビCMに出演することの多かった、中尾彬さんと、奥様の池波志乃さんでしたね。
私は、下記のCMも大好きでした。
CMの最後では、中尾さんが「いい旅だったよ」と言いながら、「ねじねじ」を若者に巻いてあげる場面があります。
何とも、いいシーンですね。
中尾さんの多くのCMでは、ドラマのような映像シーンが本当に多かったですね。
俳優さんが演じるテレビCMは、そうであってほしい!
◇まだまだ いい旅を!
今回は、やはりスター俳優の北村総一朗さんのブログをリブログするかたちで、中尾さんの追悼記事を書かせていただきました。
北村さんのブログ記事でも語られていましたが、私たち昭和生まれの世代にとっては、中尾さんも、北村さんも、混沌とした昭和の時代をともに生きてきた方々…。
共演したことのある俳優同士であれば、まさに昭和の戦友・同志のような心境なのかもしれませんね。
昨今、次々に昭和のスターが旅立っていかれることは、理解はできても、心が、なかなか ついていけません。
「♪同じ風に吹かれて、同じ時代を生きてるんだ…」
MOEKA
♪たしかなこと
北村総一朗さんには、「歴音fun」も、過去にリブログしていただくなどで たいへんお世話になり、誠にありがとうございます。
北村さんの今回のブログ記事では、「私は、もう少し頑張ってみるよ。 生きてる事は、素晴らしいから。」と結ばれています。
北村さんも…、私も…、そして昭和生まれの多くの方々も…、
自分の順番は、まだまだ先…、たぶん、きっと、どうかお願い…!
「いい旅だったよ」という台詞は、もう少し先に、とっておきましょう。
北村さんも、どうぞ元気に がんばって!
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人はみな、天から、一定の時間と場所、役割と仕事を与えられていますね。
前述のCMでの中尾さんの台詞「いい旅だったよ」と同じように、私たちも、人生の最期にクチにできたら、どれだけ うれしいことか…。
中尾さんの美声のつもりで、皆さまに…
「どうぞ、まだまだ いい旅を! 全国の善男善女の福ちゃんたち!」。
「やっぱり、みんな… 福ちゃんだね」。
◇文質彬彬
「論語」に由来する四字熟語に「文質彬彬(ぶんしつひんぴん)」というものがあります。
外面(そとづら)である「文」が意味する「美しさ」や「教養」と、内面(うちづら)である「質」が意味する 無用な飾りのない「質朴さ」が、ほどよく調和(彬彬・ひんぴん)していることを意味しています。
外面と内面がともに素晴らしく、なおかつバランスのとれた調和をみせているということです。
中尾彬さん自身のこと、中尾さんが描いた絵画のことを表現しているようにも感じますね。
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中尾さんは、映像作品だけでなく、私たちの心の中に、思い出の中に、素晴らしいものを、たくさん遺してくださいました。
本当にありがとうございました。
心より謹んでお悔やみ申し上げます。
天まで届け… ねじねじ。
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さて、釘(くぎ)は まっすぐに打ち込まれますが、「ネジ」は回転しながら深く押し込まれますね。
どちらも、スタイルは違っても、深くしっかり根元を安定させます。
「文」も「質」も兼ね備えているのが、釘とネジですね。
コラムの冒頭写真は、植物の「ネジバナ」です。
ねじねじ形状に、茎(くき)を巻きつけ、がっちりと、しっかりと花を咲かせる植物ですね。
ネジバナは、ねじねじしながら、天に向かって まっすぐに伸び、花を咲かせます。
中尾彬さんも、「ねじねじ」しながら、凛々しく、笑顔で、まっすぐに天に昇ってくれたのだろうと思っています。
きっと「ねじねじ精神」をしっかり受け継いでいってくれる俳優さんも出てくるのでしょう。
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♪五月に、先にゆかれた… 中尾さん…
私も いつか天にゆくときは、例の自動車とは別の自動車で向かいます。
天国の交差点で、また お会いしましょう!
その時にまた、自動車の窓ガラスを叩いてください!
…「今度は、何というクルマだい?」
一青 窈(ひとと よう)
♪ハナミズキ
これを書く「きっかけ」をくださった北村総一朗さんに感謝申し上げます。
さあ、私たちも、まだまだ続く「長旅」に備えて、ねじねじ!
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2024.5.26 天乃みそ汁
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