AC/DC「ホール・ロッタ・ロージー」。男のアホさ。許されない女性蔑視 差別発言。兄弟愛のツインギター。男たちの異様な熱気。アンガス・ヤングさん。エルヴィス・プレスリーさん。サミー・ヘイガーさん。ザ・キングさん。


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各コラムで紹介した曲目リストは、「目次」で…

  

あの曲や動画はどこ… 音楽家別作品

 

*今後の予定曲

 

音路(18)男って アホですね~、あんたはプレスリーじゃない!

今回は、「男って アホですね~」をテーマに、男性のアホな一面を、音楽で少し掘り下げてみようと思います。
男性の方々に愛と敬意を込めて、女性目線での声をタイトルにしてみました。
コラム中のミュージシャン個人名の敬称は、便宜上、略させていただきます。


◇困ったものです…

今に限ったことではなく、昔から、何度も何度も、一部の政治家や経営者、一般の方々も含めて、男性による女性やジェンダーへの差別発言が繰り返されています。
発言した事実は反省しても、その思想を反省することはありませんから、何度も何度も繰り返されます。

本ブログは、歴史コラムでもありますので少し書きますと、これはその時代だから…、そういう年齢の世代だからという傾向はまずありません。
歴史的に考えると、それは個人の思想や見識の問題だと感じます。

昭和時代の戦前の教育は、極端な男尊女卑と管理教育が行われていましたね。
昭和生まれの男性の中には、今現代以上に不条理な性差別、貧困、階級、経済格差などによる多くの女性たちの苦難の姿を、実際に目のあたりにしてきた人も多く、女性たちのことを理解し同情している男性もたくさんいます。
むしろ今現代の、苦難の歴史を知らない若者の男性たちのほうが、少し心配ではあります。

今現代の日本でも、さまざまな場面や法律の上で、女性への意味のない規制が残っていたりしますね。
教育や法改正、外圧などで、その思想や規制に変化を与えられることを期待しています。

* * *

世の中には、あきれた発言が山ほどありますね。
男性による、どうにも同調や共感できない女性蔑視差別発言もたくさんあります。

同じあきれた発言ではあっても、その中に、悪意や差別心ではない、愛情や恩情があったり、どうにもならない ひたむきな想いなどが込められていると、それは何か責め立てる気にはならない場合もあります。

そうした場合であれば、多少は「酌量の余地あり」ですね。

今回のコラムでは、いくら時代が変わっても、変わることのない、あきれた男性の姿を、音楽を通して少しだけご紹介します。
さて、責め立てるほどの内容なのか? あきれた内容なのか?

* * *

古今東西、流行歌の歌詞の中にも、あきれた歌詞は山ほどありますね。
あきれ具合も、ピンからキリまでありますが、今回のコラムでは、トップ級のアホさ加減の歌詞の曲を、あえてご紹介します。

実は世の中には、この「あきれ」が非常に大きな役割を果たすこともあるのは事実です。
「あきれ」が反省と是正につながるのなら、それは役割を果たしたことになるのかもしれませんね。

その曲の歌詞には、何となく同情できそうな、男性の愛すべき「アホさ」や「あきれ」も少しだけ感じられます。
この曲は、アホな歌詞にも関わらず、世界でトップ級の知名度の曲であり、一部の女性たちにも愛されているという不思議な側面があります。

どれだけ、男がアホな生きものなのか、ここから書いていきます。
私は、同性として自戒を込めて、男性にも女性にも、ジェンダーにも敬意を込めて書きたいと思います。


◇あんたはプレスリーじゃない!、ましてキングじゃない!

まずは、下記の音楽動画をご紹介します。

♪ホール・ロッタ・ロージー

 

♪ホール・ロッタ・ロージー

 

この動画を見て、あの名歌手エルヴィス・プレスリーが歌っている動画だと勘違いしてしまった人もいるかもしれません。

プレスリーが亡くなったのは 1977年(昭和52年)で、この楽曲が世に発表されたのも 1977年です。
同じ年だったとはいえ、実際にプレスリーが歌えたはずはないと思います。
ですから、これは作られた合成映像です。

ただ、これは誰かをだまそうとして作られた音楽動画ではないと思います。
動画を見る側が、よくよく考えれば、すぐに判断できると思います。

これは「ザ・キング」という歌手が歌った音楽に、過去のプレスリーの映像を組み合わせたものです。
この動画は「ザ・キング」が作った映像でもないと思います。

* * *

プレスリーは、当時「キング・オブ・ロックンロール」と呼ばれ、単に「キング」とも呼ばれていました。
マイケル・ジャクソンは「キング・オブ・ポップ」と呼ばれますが、単に「キング」とは呼ばれませんね。
ロック界の「ボス」は、ブルース・スプリングスティーンのことです。

ともあれ、この動画は、プレスリーが生き返って、まさに往年の姿でカッコよく歌ってくれているように感じてしまいます。
私は、この動画を見て、プレスリーに再会できた気がして、とてもうれしい気持ちになりました。
この「喜び」は、どこからくるのでしょう…。
心の憶測に、何かの「男の願望」がよみがえってきたのかもしれません。

* * *

ミュージシャン「ザ・キング」のほうの音楽動画は下記の内容です。

♪ホール・ロッタ・ロージー


プレスリーの声によく似ていますね。
この動画の冒頭には、プレスリーが世に出てくる頃の音楽界の雰囲気も表現されていますね。
ゆったりとした品行方正な流行音楽の世界に、突如、ロックンロールを引っさげてプレスリーが華々しく出現してきた当時の雰囲気を表現しているのだろうと思います。

このテーブル席にいる金髪の女性は、この歌の歌詞の「ロージーちゃん」であるのは明らかですね。
実写版の人間のロージーです。

* * *

昔、プレスリーのような迫力ある低音の声を出せる一般男性は、たいがいプレスリーのモノマネをしていましたね。
女性からも、男性からも、老若男女から、モテまくりです。

今の現代社会でも、時折、とてつもない低音美声の男性がいますね。
声が良すぎて、話しの内容が耳に入ってこないときもあります。
今の内閣のあの男性大臣…、皮肉ではなく、マジで声が良すぎて…。

プレスリーのような低音美声で、プレスリーのような黒づくめの衣裳とリーゼント頭、そしてあのアクションと歌い方…、男性は、これが「無敵」だとついつい感じてしまいますね。
これが「キング」だ…!

音楽動画の中の金髪のロージーちゃんも、最初はあきれ顔でしたが、まんざらでもない表情…。
でも本当は、「あんたは、プレスリーじゃないのよ…」かもしれませんね。

ロージーちゃんの肩には、しっかり「ザ・キング」の文字が…。
この「ザ・キング」は、おそらく本物のプレスリーのほう…。

アホな男たちは、みな勘違いしてしまう…。
自分が本物のプレスリーじゃないことを、つい忘れてしまう…。

「あんたは、本物のプレスリーじゃないのよ!」
「まして、キングじゃない!」

* * *

この「男性目線」の音楽動画にあきれた女性たちも多いかもしれませんね。

「これこそが、モテる男の姿だなんて、聞いてあきれるわよ…、あんた、まだまだね」。
今の時代なら、そんな女性たちの言葉が聞こえてきそうです。

そもそも、この「キング」という名称付け、格付けという行為こそが、男性的なハラスメントの臭いが漂いますね。
男は、「キング」という言葉の響きが、昔から大好き!

女性たちが、男性たちの目を覚まさないと、男性はいつまでも自分がキングだと思い込んだまま…かもしれませんよ。

男性のアホさを、さらに深めたいと思います。


◇ ロージーちゃんの歌

この楽曲「ホール・ロッタ・ロージー」の歌詞は、超ド級のアホ歌詞です。


ちょっとキツい言い方なので、男性目線で同情して言い換えます。
「男たちの男たちによる男たちのための、偉大なアホ歌詞」です。

もし、プレスリーが生きていて、この曲を歌うとなったら、間違いなく歌詞を変更させたでしょう。

* * *

この楽曲は、ひょっとしたら国によっては、テレビやラジオで放送禁止かもしれません。
私の記憶では、この曲を日本のラジオ放送でも、一度も耳にしていない気がします。

世界には、いろいろな事情で、自身の曲を、日本で放送することを禁止している歌手がいます。
超有名曲でも、やっと流せるようになったものもありますね。
日本は、太平洋戦争での敗戦国でもありますので、まだまだ、さまざまな制限の中にあります。

歌詞のアホさのせいで、世界各国で放送禁止になっている楽曲も少なからずあります。
もし、人種差別、性差別を助長するような歌詞内容であったなら、今は放送禁止かもしれません。
一度 世に出た楽曲に、発言撤回などありませんから、その楽曲は、歴史的に反面教師となるような作品として残されるのかもしれません。

* * *

このコラムでも、この楽曲の歌詞は、さすがに紹介しません。
タイトルだけご紹介します。
「ホール・ロッタ・ロージー」が英語のタイトルです。

もし、このタイトルを日本語に訳すとしたら…
「ムチムチ、むっちり、ロージーちゃん」あたりでしょうか。

 

ロージーとは女性の名前です。
これを歌うロックバンドのライブコンサートでは、グラマーな巨大人形として登場します。

前述の「ザ・キング」の音楽動画では実写版の女性として登場しましたね。

* * *

この「ムチムチ、むっちり、ロージーちゃん」という意味のタイトルからして、歌詞はご想像のとおりです。
いや想像以上かもしれません。
よく、まあ、こんな歌詞を作ったものです。

ですが、ですが…、この曲がライブ会場で、男性たちに、どれほど受けることか…。
異様な熱気に包まれる曲なのです。
この歌詞だったからこそかもしれません。
後で、どれほどの熱気なのかご説明します。

* * *

この曲を作ったロックバンドは、1973年のデビューで、前回コラムで書きました名ロックバンドのレッド・ツェッペリンの影響をかなり受けていると思います。

レッド・ツェッペリンには「ホール・ロッタ・ラブ」という大ヒット曲があり、その日本語タイトルは「胸いっぱいの愛を」です。
この楽曲も、男性からのハラスメント色がにじみ出た歌詞内容です。
ある女性の不倫相手の男性による、男性目線の強気の歌詞です。
結構ギリギリの色っぽい歌詞内容ですが、「ホール・ロッタ・ロージー」のような「アホさ」は感じません。
「ホール・ロッタ・ラブ」のほうは、歌詞内容のわりには、むしろ妙に高尚な雰囲気を漂わせています。
レッド・ツェッペリンのファーストアルバムの中には、「ロージー」という女性が登場する楽曲もあります。
この楽曲「ホール・ロッタ・ロージー」が、レッド・ツェッペリンとつながりがないとは思えません。

* * *

実は、さらにさかのぼると、1957年に、有名なロック歌手のジェリー・リー・ルイスが、「ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン」というヒット曲を出しています。

歌詞内容は、前述の2曲と同じ方向性にあります。

ただしロージーちゃんは登場しません。

この曲は、その歌詞のため、当初、ラジオ放送禁止でした。

この3曲は、同じ「ホール・ロッタ・〇〇」で、歌詞も若干、似た方向性にありますが、相当に印象が違う曲ですね。

歌詞内容は、時代を経ながら、どんどんエスカレートしています。
私は3曲とも大好きです。

* * *

昔、映画監督で風俗レポーターでもあった山本晋也さんの流行語に、「すごいですね~」、「ほとんどビョーキ」、「バカですね~」というものがありました。
まさに、男性のアホな行動をさした表現でしたね。
この「ホール・ロッタ・ロージー」…、山本監督でしたら、笑いながら「男たちって、バカですね~。ほとんど病気!」と言いそうですね。


◇ AC / DC

この曲を作詞作曲したのは、世界的な人気ロックバンド「AC / DC(エーシー・ディーシー)」です。
オーストラリアが生んだ、超有名な世界的ロックバンドです。

このバンド「AC / DC」のアルバム「バック・イン・ブラック」は、マイケル・ジャクソンの「スリラー」に次いで、世界で二番目に多く売れたアルバムです。

このバンドのギタリストのアンガス・ヤングは、テクニックの確かな、世界的ギタリストとしても評価されています。
まさに彼が、このバンドの中心人物です。

このアンガスのステージ以外での姿は、まさにお寺の住職のような落ち着いた雰囲気で、今は、ゆっくりとした語り口調の初老紳士に見えます。
この人物が、ひとたびステージに登場した瞬間、とんでもない別人格に変わります。

世界中の人々が、彼の姿を思い浮かべる時、それは「小学生」のアンガス・ヤングです。
彼のステージでの格好はいつも決まっています。
それは、外国の小学生の格好です。

ネクタイとブレザー、そして半ズボン(あえて半ズボンと書きます)、外国様式の大きなランドセルを背負い、野球帽をかぶっています。
これは、もちろん小学生の姿そのものです。
彼の演奏風景を見ていただくと、すぐにわかりますが、彼の独特の仕草が、まさに小学生の仕草なのです。


◇ギターが上手な、ぶっ飛んだ小学生

アンガスの、チャック・ベリーばりの「ダック・ウォーク」と呼ばれるかわいい足の運び…、全身の動きから感じる小学生の雰囲気…、低い身長とキャシャな身体つき…、これが「小学生キャラ」につながったのだろうと感じます。

この小学生の格好の彼が、演奏を開始し、ステージ演奏のある時に、その衣裳を少しずつ脱いでいきます。
これも彼らのステージの名物シーンです。
最後は、半ズボンと靴だけの姿になったアンガスが、とにかく小学生の動きでステージを走り回ります。

日本でもそうですが、小学生の男子は、「うん〇」とか叫んで、無邪気に走り回り大騒ぎしたりすることがありますよね。
まさに、それがステージ上のアンガスなのです。

ステージ上には、何人ものミュージシャンが立っていますが、おそらく全体時間の8割は、彼の姿を目で追うことになると思います。

* * *

このステージを客席やテレビで見ている大人の男性も、自身が小学生の頃だったら、こんな大きなステージに上がったとたん、興奮して走り回るだろうなと感じるかもしれません。
あるいは、自身の小学生時代を思い出しているかもしれません。
こんな小学生が演奏するのなら、エッチでアホな歌詞だって十分に「有り」です。

本物の小学生だったら大問題ですが、「中年オヤジ小学生」ならオーケー…。
先ほどのプレスリーといい、ここも本物の小学生でなくてよかった…。


◇男たちの異様な熱気

ロックの楽曲の、ロックギターの印象的な音楽の一部分を「リフ」と表現しますが、この「ホール・ロッタ・ロージー」の冒頭のリフが鳴り出したとたん、会場からは「アンガス!アンガス!」の大コールが起きます。
これも名物シーンです。
この曲を、彼らのコンサートからはずすことは、許されないのだろうと思います。

この「アンガス」コールと、ギターのリフが、何度か掛け合いを行った後に、あのロージーちゃんが巨大人形の姿であらわれ、この曲が怒涛のように開始されます。

この時のライブ会場の男性たちの頭の中は、「ムチムチ、むっちり ロージーちゃん」しかありません。
この楽曲が、このようなアホな歌詞でなかったら、ここまで盛り上がることはないでしょう。

この歌詞とサウンドのリフ、そしてロージーちゃん人形が、男性たちに一気に火をつけます。

アンガスが、「ダック・ウォ―ク」を開始すると、会場の男たちは半狂乱の盛り上がり…。
すさまじい男の熱気に包まれます。

男たちのアホな熱狂ぶりに興味がありましたら、どうぞ一度、下記の動画をご覧ください。
実に楽しそう…。
アンガス・ヤングは中央の半ズボン男です。

下記に、2009年のライブ演奏を紹介します。

♪ホール・ロッタ・ロージー(2009年ライブ)

 


◇親しみのわく、いじられキャラ

もちろん、男性とは反対に、女性たちが半狂乱で盛り上がるロックコンサートもたくさんありますね。
昔、私もそんな女性ファンだらけのライブ会場に出くわして、2~3日、耳の中に蝉(せみ)を飼っていたことがあります。
こういう現象は、男性ファンいっぱいのライブでは起きませんね。

いずれにしても、男たちのエネルギーが、悪事や戦いに向かうくらいなら、アホでも何でも、こっちのほうが平和かもしれません。
この突き抜けたアホ歌詞も、役に立つ、価値ある歌詞なのかもしれませんね。

* * *

ただ、これが許されるのも、アンガス・ヤングのこの「小学生キャラ」があってこそなのかもしれません。
実はアンガスの小学生キャラ…、「お姉ちゃんがそうしろというから」で始まったようです。
素直な弟ですね。

前述の2009年のライブ時、アンガスは54歳です。
54歳の小学生…、2021年は66歳の小学生…。
ロック音楽界、いや音楽界広しといえども、66歳の小学生キャラのミュージシャンは彼しかいないと思います。

ドラマでいえば、66歳のベテラン男優が、まさか小学生役を演じないでしょう…。
演じるとしたら、喜劇やお笑いのコメディアンたちでしょうね。

* * *

この小学生アンガスがまた、大物ミュージシャンたちと一緒にプレイする時は、素直で殊勝で、本当に「いい子」なのです。
まさに大物たちも笑顔で、彼を「いじられキャラ」として扱います。

でも、ギタープレイはスゴ技ですので、みな一目置いていますね。

* * *

ハードロックの雄である「ガンズ&ローゼズ」というバンドも、この曲をよく演奏し、アンガスらとの競演も多くあります。
「ガンズ&ローゼズ」のボーカルのアクセル・ローズの愛犬がロージーという名前で、愛犬の死の追悼でもこの曲を演奏しました。

この両バンドは、それぞれのメンバーの病気やケガの非常時の際に、助け合う仲です。
これも、ロージーちゃんが取り持つご縁…?

* * *

アンガスらは、ローリング・ストーンズや、エアロスミスとも競演していますね。
ストーンズのミック・ジャガーやキース・リチャーズ、エアロスミスのスティーブン・タイラーから見たら、この礼儀正しい中年オヤジの「小学生ギタリスト」は、まだまだ年下の「アヒルのひよっこ」ですね。

 

♪ヤング兄弟が、ストーンズのライブに参加した動画


上記のストーンズのライブ動画でも、黒色の半ズボンの小男がアンガスです。
ロン・ウッドとアンガスが、一緒に楽しそうに「ダック・ウォーク」しています。
さすがに、キースはしませんでしたね。本当はしたかった…?

結構、段取りを間違えるミック・ジャガーも面白い…、やはり小学生との競演は、さすがのミックも調子が狂ったか…。

* * *

アンガス・ヤングは、中年オヤジ顔であの髪なのに、仕草は小学生…、アホな歌詞なのに、ギターの腕はピカイチ…。
何だかよくわからない魅力が詰まったこのバンド「AC/DC」と、アンガス・ヤングのキャラ…、ついつい笑って、はまってしまいますね。

オーストラリア国内はもちろん、これだけ世界で愛されるには、何か理由がありますね。
あまり深く考えても、アホみたいなので止めます。


◇サミー・ヘイガーの「ホール・ロッタ・ロージー」

この楽曲は古い曲にも関わらず、今の若いプロや一般のバンドに、多くカバーされています。
そして、意外や意外、レディースバンドがこの曲を結構 演奏するのです。
どのような心理なのか、よくわかりませんが、こんな歌詞でも女性たちの一部に愛されるのはなぜ…?

* * *

この曲は、前述のロックバンド「ガンズ&ローゼズ」もステージでよく演奏しますが、それ以外のプロもよくカバーしています。

今のコロナ禍で、米国はロックダウンを行っていましたが、そんな中、ロック・ミュージシャンのサミー・ヘイガーも、この曲の演奏動画を、ネット上で披露しました。

サミー・ヘイガーは、「ヴァン・ヘイレン」の二代目ボーカリストでしたね。
昨年2020年時、御年73歳のサミーですが、その声量は衰えていません。
ものすごいボーカルを聴かせてくれました。
ロック界のレジェンドたち…、みな歳とっても、ものすごいエネルギーですね。
すご過ぎる、ジィジたち…。

♪ホール・ロッタ・ロージー


先頃、エドワード・ヴァン・ヘイレンが病気で亡くなってしまいましたが、彼が元気でいてくれたら、彼のことですから、きっとこのプロジェクトに参加して、超絶ギター演奏を見せてくれただろうと感じます。
残念でなりません。


◇兄弟愛のツイン・ギター

実は、この曲のオリジナルを歌うロックバンド「AC / DC(エーシー・ディーシー)」には、温かな一面があります。
リードギターのアンガス・ヤングには、同バンドで、もうひとりのギタリストである兄のマルコム・ヤングがいました。

ステージ上では、激しく走り回る弟のアンガスですが、反面、兄のアルコムはほぼ定位置から動きません。
まさに、地味に、ひたすらに、弟を支えている姿は、何とも感動すら覚えます。

* * *

世の中には、「ツイン・ギター(バンドの中心にギタリストが二人存在)」のロックバンドがたくさんいますが、意外とこのシステムは、バンドとして長続きしますね。

二人のギタリストが、対等の力量で、目立つ演奏場面をしっかり分けてあったり…、リードギターとリズムギターに役割分担してあったり…、片方があくまで引き立て役のような存在というのもあります。

でも、「ツイン・ギター」と言われるからには、しっかりとした技量の持ち主が二人そろっていると、世の中が認めている証拠です。
この「AC / DC(エーシー・ディーシー)」には、ヤング兄弟というツインギターが存在しており、それが、このバンドの音楽世界を支えていたのは間違いありません。

この素敵な兄のマルコムがいてこそ、小学生キャラの弟アンガスが光り輝いていたともいえますね。

* * *

アンガス・ヤングと、アルコム・ヤング(兄)の兄弟は、実はスコットランドの出身で、少年期に家族でオーストラリアに移住しました。

多くの成功したミュージシャンには、幼少期に移住した者も多くいますね。
家族の団結力も強く、音楽や楽器が、寂しい境遇や差別の環境の中で、何より「心の支え」となって育っていったミュージシャンも少なくありません。
ヤング兄弟も、そのような状況だったのかもしれません。

もし、この兄弟がスコットランドでそのまま暮らしていたら、彼らの音楽性は、もっと英国寄りのハードロックになったのかもしれません。
英国で、小学生キャラが登場したとは思えません。
あるいは、Tレックスや、デビッド・ボウイのようなグラムロック系に向かった可能性もあったかもしれません。

アンガス・ヤングの自然児の小学生キャラの登場は、オーストラリアの環境が誕生させたのかもしれませんね。

今、日本のスーパーマーケットでは、オーストラリア産の「アンガス牛」というビーフ肉をたくさん見かけるようになりました。
オーストラリアの「アンガス」といえば、この「アンガス・ヤング」と「アンガス・ビーフ」なのかもしれませんね。

* * *

ここで、前述の2009年のライブ演奏よりも古い、1991年のライブ演奏をご紹介します。
1991年時、アンガスが36歳、兄のマルコムが38歳です。

前述の2009年のライブの18年前で、この曲の演奏テンポがもっとも速かった時期です。
ドラムの前の薄い青色の地味なポロシャツのギタリストが、マルコム・ヤングです。
仕草も兄弟で少し似ていますね。
それにしても兄は、これだけの演奏力がありながらも、存在が地味です。

下記の演奏動画では、この兄弟のすさまじいツインギター演奏が聴けます。
「お兄ちゃんが支えてやるから、弟よ、自由に弾きまくれ…」ですね。

♪ホール・ロッタ・ロージー(1991年ライブ演奏)

 

兄のマルコム・ヤングは、2017年に若年性認知症で亡くなります。
ネット上で、オーストラリアでの葬儀の動画を見ることができますが、多くの人に愛されていたのがよくわかりますね。
この後、このバンドには、ヤング兄弟の親戚の叔父さんであるスティーブ・ヤングがギタリストで入ります。
やはり、この一族の絆は強い…。

ロックバンドはカッコよくありたいと考える当事者が多いものですが、「AC / DC(エーシー・ディーシー)」は、通常のそれとは違う気がします。
彼らの考える「カッコよさ」は別にある気がしますね。

* * *

このバンドには、過去に病気絡みの不幸が幾度もメンバーに襲い掛かりますが、その都度よみがえってきました。
アホな歌詞も含め、愛され小学生キャラも、困難に負けない不屈の姿も、多くの人に愛される要因なのかもしれませんね。


◇ホール・ロッタ・ラブ

この曲の歌詞は、アホ極まりない内容ですが、相当に世の中の役に立っている…、特に男性たちに何かの作用を及ぼしているのは間違いないだろうと感じます。

本コラム冒頭で書きました、多くの困った発言や暴言は、許されるものではありません。
世界はもちろん、もはや日本でも、時代や、世代のせいにして逃げきれるような話しでなくなったのは間違いないだろうと思います。

ただ、その誤った発言により、世の中が是正の方向に動き始めたのであれば、少しはその発言が、世の中の役に立ったのかもしれません。
何も動き出さず、多くの者が発言を控えるようになっていき、まったく世の中が変わらないというのが、もっとも恐れる事態だと感じます。

暴言や失言などの発言を聞く耳は持つが、その発言の責任はきっちりとってもらう…、是正もしっかり行う…、そうであってほしいものです。

* * *

「ホール・ロッタ・ロージー」のような歌詞の曲は、封印してはいけない曲なのだろうと感じます。
このヤング兄弟のように、しっかりとした心の支えと信念があれば、音楽の方向性を誤るものではないのだろうと感じます。
「中年オヤジ小学生」に教えられたのかも…。

 

男性には、こんな歌詞の、こんなノリの曲が、時に必要ですね。
アホな男たちには、ノリノリで、ご陽気に歌わせておくくらいが平和でいい!

多くの男性諸氏と、敬愛する女性やジェンダーの方々に、ホール・ロッタ・ラブ!

* * *

コラム「音路(19)酔うが如し~武将たちの酒場放浪記」につづく

 

2021.3.3 天乃みそ汁

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各コラムで紹介した曲目リストは、「目次」で…

  

あの曲や動画はどこ… 音楽家別作品

 

*今後の予定曲