中島みゆきさんの「空と君のあいだに」。小田和正さんの「言葉と心」。クリストファー・クロスさんの「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」。日本盲導犬協会のテレビCM。佐々木蔵之介さん。捨て犬の十戒。大河ドラマ「麒麟がくる」。渡辺篤史の建もの探訪。映画ミスター・アーサー。ライザ・ミネリさん。
各コラムで紹介した曲目リストは、「目次」で…
あの曲や動画はどこ… 音楽家別作品
音路(11) Between… 間が大事
◇御礼
今、このブログ「歴音 fun(れきおんふぁん)」では、歴史、音楽、映像を三本柱に、この三つの間を行ったり来たりして、コラムを書いています。
最近、音楽を扱う「音路(おんろ)シリーズ」を書き始めたところ、音楽好きの方々にも、本ブログを読んでいただけるようになり、たいへんうれしい限りです。
誠にありがとうございます。
歴史好きの方々には、「大河ドラマ『麒麟がくる』がもうすぐ終わる。歴史ものを早く書け…」と催促されておりますが、今回のコラムの次に「麒麟シリーズ」を書きますので、少しお待ちください。
ともあれ、「歴史」と「音楽」をどうして同時に書いているのかと申しますと、私は、その両者には共通する部分がたいへん多いと感じるからです。
「楽譜」と「歴史史料」は、まるで同じだと感じます。
小難しい話しは、ここでは よしておきます。
今回のコラムは、「音楽」と「歴史」の「間(between / ビトウィーン)」のような内容を書きたいと思います。
◇麒麟がくる
NHKの大河ドラマ「麒麟がくる」の放送は、あと2回しかありません。
まだ、大事件が盛りだくさん…入りきるのか…。
それにしても、明智光秀は、信長と天皇、信長と将軍、正義と忠義など、いろいろな「間(between)」に苦悩していますね。
おそらく、あと2回分のドラマの中でも、まだまだ悩み続けるのでしょう。
徳川家康の妻子のことだけでなく、鞆の浦(とものうら)の将軍 義昭のこと、荒木村重(あらき むらしげ)のこと、毛利家と秀吉の関係なども、ドラマ中では相当に短くした内容でしたので、コラム「麒麟シリーズ」のほうで、おいおい書いていきます。
私も、「麒麟シリーズ」と「音路シリーズ」の間で苦悩するのか…?
◇世間の誤解
さて、今回の大河ドラマ「麒麟がくる」では、俳優の佐々木蔵之介(ささき くらのすけ)さんが、豊臣秀吉を演じておられます。
私も、大好きな俳優さんです。
ひとりで、いろいろな台詞口調ができる、演技力の優れた俳優さんですね。
この大河ドラマの中でも、得意の「ひとり芝居」のような、口調を変幻自在に変えるシーンが数多く見られ、非常に楽しめました。
この佐々木さんは、今、テレビやラジオの日本盲導犬協会のCMで、盲導犬の声を関西弁で披露されていますね。
なんとも味わい深い口調です。
佐々木さんは、京都のご出身です。
ある盲導犬が、「うん? 世間の誤解にほえさせてもらいますわ」としゃべる、あのテレビCMです。
私は、そのテレビCMの犬の顔を見るたびに、どうも、秀吉の顔を思い出してしまいます。
日本盲導犬協会のサイト
* * *
今、このテレビCM内容に、何かと意見が寄せられていると聞いています。
肯定派と否定派、それぞれに言い分はあるようです。
どこかのニュースで見ましたが、実際に盲導犬を利用する方々にも複雑な思いがあるようで、両派の言い分もそれぞれに理解できるという、彼らの意見がありました。
たしかに、両派それぞれに、犬への「愛情」を感じますが、その愛情の内容が両者で異なっているような気がします。
音楽でいえば、ひとりは「楽器愛」の話しを、ひとりは「音楽愛」の話しをしているようにも感じます。
あるいは、ひとりは「クラシック音楽愛」を、ひとりは「演歌愛」の話しをしているのかもしれません。
まずは広く「音楽愛」として、それぞれの愛をどのように上手に伝え合うのか…、社会に活かすのか…、ということで折り合いをつけるしかないのかもしれません。
明智光秀のように、「本能寺の変」で、どちからに決着をつけられるわけではありませんね。
いずれにしても、それぞれが語る「問題点」が、社会の表に出てくるのはいいことだと思います。
「動物虐待」、「動物の飼育放棄」などの社会問題と同様に、この問題も、社会全体で理解を深める大切な内容だと感じます。
* * *
動物全体ではなく、犬や猫に限定するとして、人間が、ペットとして、家族の一員として、社会の重要な役割としてなど、犬たちを愛するかたちには、人それぞれに「かたち」があると思います。
犬たち自身だって、飼い主に対して、その思いは、みな一様ではないでしょう。
自分の犬を愛する飼い主であれば、犬の表情や仕草から、犬の気持ちはわかるのだろうという気がします。
ひょっとしたら、人間よりも犬のほうが、わかりやすいのかもしれませんね。
犬のほうも、飼い主の気持ちを、相当にわかっていますよね。
* * *
今回のテレビCMは、さまざまな反発が起きることはあっても、ある一定の狙いと意図にしっかり絞って、明確なメッセージにしたようには感じます。
両派の「間(between)」も、上手いこと意見の折り合いがつけばいいですね。
ワンちゃんたちは、知ってか知らずか、両派の間(between)に立って、しっぽをフリフリ…。
◇ご主人さま…
さて、この犬に関係の深い「between(間)」の楽曲のことを書きたいと思います。
歌手の中島みゆきさんの「空と君のあいだに」という楽曲です。
これは、テレビドラマ「家なき子」の主題歌として作られた楽曲です。
このドラマは、1994~95年放送で、主演は安達祐実(あだち ゆみ)さんです。
「同情するなら金をくれ」の流行語を生み出したヒット作でしたね。
このドラマの主人公は、不遇で孤独な女子小学生で、この少女には愛犬がついているのです。
この楽曲の歌詞は、その愛犬が、飼い主の少女にむけた言葉なのです。
* * *
私は、最初に、その歌詞が、愛犬から飼い主への言葉であることを知り、たいへん驚き、感動しました。
さすが、中島みゆきさんです。
もちろん、人間と犬という間だけでなく、人間どうしの間の歌詞内容ととらえることもできます。
ここでいう「空」とは、「希望」であり、「未来」であり、「愛」のことであるのかもしれません。
それらと、飼い主の少女の「現実」の間には、さまざまな困難があり、この愛犬がしっかり立ちふさがり、少女を守るということなのかもしれません。
ようするに、「愛するあなたを守るためなら、何でもするよ…。あなたの笑顔のためなら、悪者にだってなる…」という内容です。
まさに、犬が、大切な「ご主人さま」の飼い主に抱く、強い「思い」を表現した歌詞でもあります。
もし、あなたの飼い犬が、人間の言葉で、こんな台詞を語ったら、あなたはどのように感じますか…。
きっと、多くの犬たちが、同じような言葉を飼い主の「ご主人さま」に語るのではないだろうか…、私はそんな気がします。
前述の盲導犬たちは、はたして どんな言葉を言うのでしょう…。
素晴らしい楽曲だと思います。
今回は、中島みゆきさんの歌唱ではなく、絢香(あやか)さんがカバーした音楽動画をご紹介します。
あなた自身が、愛犬になったつもりで、ご主人さまを思って、どうぞ聴いてみてください。
♪空と君のあいだに【公式】
◇言葉と心…
中島みゆきさんに続いて、もうひとり、日本が誇る大物ミュージシャンの「between」曲を紹介します。
かつて、バンド「オフコース」のリーダーで、ソロになってからもヒット曲連発の、「小田和正(おだ かずまさ)」さんです。
小田さんの楽曲に「between the word & the heart(言葉と心)」というものがあります。
ひょっとしたら、別の意味で、その歌を知っている方も多いかもしれません。
人気長寿テレビ番組「渡辺篤史の建もの探訪」の主題歌です。
* * *
この番組は、俳優の渡辺篤史(わたなべ あつし)さんが、一般の方の新築の家を訪問し、その建物の構造や内部、魅力を、視聴者に紹介する番組です。
私は、この楽曲の歌詞が、番組制作者側から小田さんに、「建物訪問」という番組内容を事前に伝えて、それに合わせて書かれたものかどうかは知りません。
ですが、そう感じさせるように、この歌詞が書かれたと考えても、まったく不思議はありません。
この楽曲も、前述の中島みゆきさんの歌詞と同様に、建物のことなど忘れて、人間どうしのやり取りと考えても、まったく違和感はありません。
とはいえ、新築の家も、よくよく考えてみると、何かの「between(間)」という異空間にも感じられますね。
建物と人間、暮らす人間どうし、それまでの過去の暮らしの時間と新しい暮らしの時間…、そこには、希望や思いがつまった「between(間)」があるのかもしれません。
* * *
この大ベテランの重鎮のお二人の音楽家は、何とも、いろいろな「間(between)」にある世界を、上手に、感動的に描き出してくれますね。
このお二人は、突き抜けたトップ領域の歌詞を書かれる方であるのは間違いありませんね。
この二曲の歌詞は、ここでは書けませんが、ネット検索などをすれば、すぐに見つかるはずです。
どうぞ読んでみてください。
それから、この曲の公式音楽動画がネット上に見つかりませんので、たいへん恐縮ですが、アマゾンの楽曲販売ページに試聴データがありましたので、冒頭部分だけですが、ここにご紹介します。
「あっ、この曲 知っている」という方も多いと思います。
言葉と心の間、それは…
♪言葉と心
◇都会と月のあいだ…
最後に、「between」曲を、もう一曲…。
外国曲で、歌手クリストファー・クロスさんの大ヒット曲「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」です。
原曲の英語タイトルよりも、はるかに素晴らしい邦題だと、もっぱら評判の曲ですね。
♪ニューヨーク・シティ・セレナーデ(和訳付き)
「月とニューヨークの街の間に」ということです。
この楽曲は、1981年の米国映画「ミスター・アーサー」の主題歌で、世界中で大ヒットしました。
今でも、ニューヨークでの大きなイベントとか出来事の映像のバックで使われたりする、ニューヨークを代表する楽曲ですね。
ニューヨークという街が持つ、オシャレ感、富裕感、格差感、先進感、成り上がり感、演劇の華やかさ、そして愛があふれるロマンチック感…この曲には、これらすべてが詰まっていますね。
ニューヨークを代表する楽曲のひとつといわれるのも、よくわかります。
* * *
この映画「ミスター・アーサー」は、大富豪の若い男性後継者の御曹司と、ショービジネスをめざす貧乏娘の恋愛のストーリーです。
内容はここまでにしますが、大方、予想はできますよね。
この男性は超大富豪で、いわゆる悠々自適な「遊び人」です。
この映画の中で、彼は、ある女性に出会ったことで、いろいろなものの「間(between)」で苦悩します。
それが、この歌詞に表現されています。
「ニューヨークの街」とは、現実の自身の経済力、成功、約束された地位などの意味であろうと思います。
「大富豪」と「遊び人」という彼の一面も意味していますね。
そして「月」とは、それとは対極にある世界のことでしょう。
でも、そこには、夢や希望があり、美しい愛があります。
さあ、彼は、この両者の間に立ち、どのような選択をするのでしょう…。
「ワンちゃん」だったら、その選択は決まっていますね。
* * *
たしかに、大都会に浮かぶ「月」というのは、何か不思議な魅力が加わります。
都会では、街なかで、恋人どうしのカップルを相当な数で見ることができます。
特にクリスマスなどは、都会のビルと、夜の満月の間の空間に、愛の風船がたくさん浮かんでいるようにも感じます。
恋人どうしの「愛」というのは、何かの「間(between)」の中から生まれてくるのかもしれませんね。
この「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」の歌詞…、月と都会の「between(間)」には、「ちょっと、やられた」感じがします。
誰かに甘い吐息を、そっと耳に吹きかけられたような気分で、ちょっと、くすぐったい…。
♪ニューヨーク・シティ・セレナーデ(映画シーン付き)
この映画のヒロインは、なんと、あのライザ・ミネリさんです。
映画の中では、貧乏娘というより、もはや風格あり過ぎ…。
主人公のアーサー役とは、富豪の立場が逆だろと、ちょっと、つっこみたいところですが、主人公の見た目は完全な「間男(まおとこ)」の「遊び人」…。
* * *
いずれにしても、「between(間)」には、良いものも、悪いものも含めて、いろいろなものが生まれてきますね。
音楽にも、歴史にも、「間」は重要!
やっぱり、このブログ「歴音 fun(れきおんふぁん)」には、歴史と音楽の「between(間)」が大事ってこと…ですね。
◇捨て犬の十戒
さて最後に、日本ヒューマン&ペット協会のサイトに書かれています「捨て犬の十戒」をご紹介して終わりにしたいと思います。
捨てられたワンちゃんたちの言葉です。
ノルウェーのブリーダーの「犬からご主人への11のお願い」が変化した、英文の詩「犬の十戒」がありますが、参考にして、この「捨て犬の十戒」が作られたのかもしれません。
「見捨てられる者」の思いが、ひしひしと伝わってきます。
* * *
下記に、その「捨て犬の十戒」の半分だけをご紹介します。
◆僕を迎えてくれた時の事は決して忘れません。
暖かい家族の中で幸せでした。
ご主人様との楽しい思いでは決して忘れません。
◆ご主人様が望んでいるようには振る舞えなかったかもしれません。
僕はあまり可愛らしくなかったかもしれません。
でも、ご主人様に喜んでもらいたくて、精一杯頑張ったことだけは本当です。
◆ご主人様がいなくなっても、きっと迎えに来てくれると思って待っています。
側にいられなくなった訳は良くわからないけど… 僕を嫌いになったからじゃないと自分に言い聞かせています。
◆ご主人様、早く僕を迎えに来てください。
そして今度こそずっとそばに置いてください。
それだけが僕の願いです。
◆ご主人様、これだけは覚えておいてください。
僕だって生きているということを。
心だってちゃんとあるということを。
天に召される最後の時まで、ご主人様に尽くしたいと思っていることを。
全文は、こちらです。
「捨て犬の十戒」
英文詩「犬の十戒」の日本語訳のほうは、ネット検索をされましたら、多く見つかると思います。
今日は「戌(いぬ)の日」…、ワンちゃんとご主人さまの間に、いつも以上の「ごちそう」を…。
ワンワン!
* * *
コラム「音路(12)言葉のチカラで丘を登る」につづく
2021.1.26 天乃みそ汁
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