アメリカ大統領就任式。アマンダ・ゴーマンさん。The Hill We Climb。アメリカ国歌 America National Anthem。星条旗 The Star-Spangled Banner。The Power of the Dream。America The Beautiful。プリンスさん。ホイットニー・ヒューストンさん。セリーヌ・ディオンさん。アメリカ・ザ・ビューティフル。ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ。スーパーボウル。ソメイヨシノとハナミズキ。

 

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各コラムで紹介した曲目リストは、「目次」で…

  

あの曲や動画はどこ… 音楽家別作品

 

*今後の予定曲

 

音路(12) 言葉のチカラで丘を登る



◇アメリカ大統領就任式

前回コラム「音路(11)Between…間は大事」では、人と犬、空と君、言葉と心、建物と人、月と街など、何かと何かのあいだに生まれるものを描いた楽曲などについて書きました。

今回の「音路シリーズ」は、アメリカ(米国)のことを歌った楽曲について書きたいと思います。

* * *

さて、先般2021年1月20日(米国時間)、米国の首都ワシントンで、第46代アメリカ大統領の就任式が行われました。
その人物は、民主党のジョー・バイデン大統領です。
アイルランド系の家庭に生まれ、ジョン・F・ケネディ元大統領以来、二人目のカトリックの大統領です。

そして、カマラ・ハリス氏が、アメリカ初の女性・アフリカ系・アジア系の副大統領に就任しました。
ハリス氏の父親はジャマイカ出身のアフリカ系黒人で、母親はインド出身です。


◇連邦議会議事堂乱入の歴史

就任式の少し前、1月6日に、トランプ前大統領の演説をきっかけに、多くの支持者や便乗組が、連邦議会議事堂に乱入し、破壊行動を行い、死者まで出てしまいました。
世界中が衝撃に包まれた出来事でしたね。
私も、日本の戦国時代、明治の動乱、昭和の戦前の動乱を、目の前で見ているような衝撃を受けました。
この数十年、先進国でこのような光景は記憶にありません。

* * *

ちょっと気になったので、過去の議事堂での乱入事件を調べてみました。

1814年、米英戦争時、英国軍部隊が乱入し放火。
1835年、ジャクソン大統領狙撃暗殺未遂。なんと大統領が犯人に反撃し確保。
1856年、奴隷制廃止を唱える議員に、別の議員が襲撃。
その後も1915年、1954年、1971年、1983年、1998年(死者2名)に事件が起きています。

そして、2001年9月11日のあの同時多発テロ事件で、ユナイテッド航空97便が墜落しましたが、この航空機が向かおうとした先が、この議事堂かホワイトハウスだったといわれています。

100年くくりでいえば、1800年代に3回、1900年代に5回、2000年代に2回となります。
2000年代は、あと80年ほどありますね。


◇ちょっとだけ…アメリカ史

このブログ「歴音 fun」は、歴史・音楽・映像の読みものですので、歴史のお話しを少しだけ…。

1776年7月4日のアメリカ合衆国の建国以来、245年あまりと、ヨーロッパやアジアなどの数千年の歴史を持つ国々と比べたら、まだまだ若い米国です。

コロンブスがアメリカ大陸周辺の島に到着したのが1492年ですから、米国が独立国になるまで284年もかかっています。
前述の建国から現在までの245年という年月は、それよりも短い期間です。
日本の江戸時代がおよそ265年間ですから、それよりも短い期間です。

江戸幕府が開府してから20年後に、オランダ人が、今のニューヨークのマンハッタン島を1626年に先住民から買取りました。

* * *

1700年代中頃まで、北米地域は、英国とフランスによる壮絶な奪い合い、中米はスペインが占拠。
先住民のインディアンたちは「英仏の両にらみ」といったところ。

その頃の日本は、八代将軍 吉宗で、江戸幕府の安定期でしたね。
少し前の1702年、赤穂浪士討ち入り事件がありました。

この頃の北米大陸は、まさに日本の戦国時代のような様相にも見えてきます。
英国vsフランスは、言ってみれば、徳川家康vs羽柴秀吉、武田信玄vs上杉謙信に似ているかもしれません。
勝ったり負けたり、英国とフランスの支配域が目まぐるしく変わります。

英国の将軍はブラドック将軍。
ワシントンは、若き部下。
ブラドック将軍が戦場で戦死したのち、ワシントンが率います。

1763年には、北米での欧州各国軍どうしの戦闘はほぼ終了し、英国とスペインが北米を支配します。
ただ、フランスは、北米地域にさまざまなものを残していきましたね。
フランスは、その後フランス革命に突き進みます。

* * *

この北米での戦争の頃に、世界では「天然痘ウイルス」が蔓延し、たいへんな犠牲が出ました。
この新型ウイルスを、軍が生物兵器として使ったなどの話しもあるくらいですが、よくわかりません。
先般、テレビを見ていましたら、どこかの学者が、「人間が唯一、撲滅できたウイルスは天然痘だけだ」と語っていましたが、通説になってはいますね。

* * *

1776年7月4日、英国の13の北米植民地が、独立宣言を発して、「アメリカ合衆国」を誕生させました。

この頃の日本は江戸幕府による「鎖国」の時期で、その知らせは入ってきません。
黒船もまだ来ておらず、そんなことは無縁の日本でした。
幕末の日本開国後に、日本はそれを容認しました。

1775年から1783年のアメリカの独立までの動きを、米国では「アメリカ独立革命」、英国や日本では「アメリカ独立戦争」と呼びます。
とはいえ、英国がすんなり受け入れるはずもなく、米英での戦争が開始します。
そこに、かつて北米で英国に敗れたフランスが、アメリカの味方になって戻ってくるという流れです。

1783年、英国は、アメリカの独立を容認します…、そこは、やっパリ「パリ条約」。
アメリカ、英国、フランス、スペインで和平が成立。
オランダは、英国に戦争で敗れ、北米支配地を手放します。

1789年、ワシントン初代大統領誕生です。
1700年代の北米の「戦国時代」は、これで終了しました。

* * *

1800年代前半は、あきらめない英国がインディアンたちと手を組み、アメリカと戦争。
1800年代後半は、まさに豊臣政権の中にあった徳川家康が、豊臣家を滅ぼしたように、北米の南北の両陣営が「南北戦争」を行います。
自由貿易・奴隷制・農業の「南軍」に対して、保護貿易・奴隷反対・工業の「北軍」といえるかもしれません。
1865年、北軍勝利で戦争は終結します。

北米は、1700年代の戦国時代とアメリカ独立、1800年代のアメリカ国内での二大陣営の戦いと決着。
まさに、戦って、自由、権利、平和を勝ち取ってきましたね。

* * *

一方、日本にアメリカ海軍のペリーの黒船がやって来たのが1853年。
このあたりから、日本は幕末の動乱期に怒涛のように突き進みます。
日本国内でも、中央政権からの脱却と独立運動が開始されます。

幕末から明治初頭にかけての「戊辰戦争」では、このアメリカの南北戦争で使われた中古兵器が大量に入ってきます。
時代劇ドラマでは、よく、連発可能なガトリング銃が登場しますが、これはアメリカで開発中の新兵器です。

旧幕府側についたのがフランス、薩摩長州の明治政府側についたのが英国です。
ここでも、この両国です。
今現代の世界でも、この両国は、各地の紛争に絡んで積極的に行動しますよね。
もちろん、その他の大国も関与してきます。
今、世界各国は、中国の大市場をにらんで行動をとったりしますが、幕末の日本も同じような目で見られていたのかもしれません。

幕末の日本では、フランスではなく英国の勝利です。
ですが、そこは戦いなれた明治政府…そうそう外国の軍隊を本国には入れさせませんでしたね。

* * *

1800年代後半、アメリカでは、大陸横断鉄道が開通、「自由の女神」像がフランスから独立100周年記念として贈呈、先住民族との戦闘終了などがあり、その後の1900年代に、大発展・戦争・暗黒を経て、短期間に超大国へと駆け上がっていきました。
日本も、明治政府による近代化に始まり、そして戦争、復興大成長へと突き進みます。

* * *

世界各国のそれぞれの歴史の経過から考えると、アメリカは猛烈な速度で、自国の歴史が展開していったことがよくわかります。
とはいっても、それは英国やフランスなどの他国の影響を相当に受けながら、その中で戦いながら独立を勝ち取っていったということかもしれません。
それだけに、激しい紆余曲折が、短い期間に起きましたね。

相当にざっくりとアメリカのことを書きましたので、ご興味のある方は、お調べください。
「切り開く国」、「突き進む国」、「若いエネルギーに満ちた国」…、歴史を振り返ると、そんな印象を私は持っています。


◇アマンダ・ゴーマンさん

毎回、就任式での大統領演説は、見事な内容が多く、世界トップクラスのスピーチライターがまとめているのだろうと感じます。
今回の大統領演説は、反対勢力を刺激しないように、あえて自制した、今までよりも少しおとなしめの内容にしたのかもしれません。

そうしたこともあり、別の人物の感動的なスピーチが、非常に注目されることになりました。
それが、ハーバード大学卒業の22歳の女性詩人、アマンダ・ゴーマンさんの散文詩のスピーチです。

これまでの大統領就任式では、老練のベテラン詩人が詩のスピーチをすることが常だったのですが、大抜擢といえますね。
とはいえ、彼女は若いながらも、大きなセレモニーなどで詩のスピーチをこなしてきた方だそうです。

この詩は、前述の議事堂乱入事件の夜に一気に書き上げたそうです。

* * *

この詩が高い評価と注目を浴び、一躍、世界中に、その名が知れわたることになりました。
就任式で彼女が着ていたプラダの服も人気なのだそうです。

ちなみに、就任式会場でサンダース上院議員が身に着けていた、手づくりで昔ながらの、かわいい毛糸の手袋も話題になっているそうです。
それにしても、彼は、地味な服装でしたね。

アマンダ・ゴーマンさんは、これから行われる、2月6日の米国アメリカンフットボールの最終決戦「スーパーボウル」での詩の披露も予定されています。

* * *

大統領就任式やスーパーボウルでは、歌手による歌がいつも注目されますが、今、詩の朗読の持つ大きなチカラが再認識されているようです。

詩のチカラ、言葉のチカラ、表現のチカラ…。
人は、人の言葉で心を動かされる…。

まさに、建国の精神が思い出されるような現象にも見えてきます。
それがアメリカという国なのかもしれません。


◇私たちの登る丘

大統領就任式でのアマンダさんの詩のスピーチが下記のものです。

アマンダさんの詩(英語のみ)

 

この英語の詩を、アメーバブログのブロガーで、米国在住の「ソラ」様が和訳してくれました。
かたぐるしい言葉表現ではない、私たちの心に素直に響いてくる、素晴らしい和訳だと思います。

詩のタイトルは、「The Hill We Climb(私たちの登る丘)」です。
その和訳ページがこちらです。

ソラ様の記事(詩の和訳)

 

この度のコラムリンクにつきまして、ソラ様のご協力に深く感謝申し上げます。


◇ザ・パワー・オブ・ザ・ドリーム

このコラムは、音楽を紹介する「音路(おんろ)シリーズ」のひとつでもありますので、今回の詩に音楽を添えてみたいと思います。
私が、この詩に触れて、直感的に頭に浮かんだ二曲です。

* * *

まずは、1999年の米国でのアトランタ・オリンピックのテーマ曲だった、「ザ・パワー・オブ・ザ・ドリーム」です。
歌手は、セリーヌ・ディオンさんです。

夢の炎は永遠…。
夢の持つチカラが、私たちをその場所へ導いてくれる…。
夢のチカラは、見えないものを見えるように、信じられないものを信じられるようにしてくれる…。
恐怖を勇気で包み込み、それぞれの自身の夢の場所へ…。
夢のチカラにどうか気づいて…。
夢のチカラを信じて…。

私のまとめ意訳ですが、そんな夢と希望とパワーの歌です。

下記映像は、1996年の米国アトランタ・オリンピック開会式です。
♪ザ・パワー・オブ・ザ・ドリーム

 


◇ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

もうひとつの楽曲は、映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の中の「デボラのテーマ」です。

この映画は、1900年代の米国の人間たちを描いた映画で、デボラとは重要な女性の名前です。
映画の内容は、ここでは書きませんが、アメリカという国が持つ一面や歴史を感じることができます。

米国も、古い歴史を持つ他の国々と同様に、これから多くの苦悩や挫折を乗り越えながら、長い歴史を積み重ねていくのでしょうね。

ここは、2CELLOS(トゥチェロス)のハウザーさんのチェロ演奏動画で…。
広大な荒野の中で、ひとりで演奏するその動画映像は感動的です。
作曲は、有名なエンニオ・モリコーネさんです。

♪デボラのテーマ

 

映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の映像にあわせて…

♪デボラのテーマ

 


◇アメリカ・ザ・ビューティフル

もう少し、アメリカを感じる楽曲を紹介します。

米国には、祖国を象徴する、あるいは賛美する代表的な楽曲がたくさんありますね。
これだけの質と量は、他の国では、なかなかありません。
それだけ多くの人が、今も昔も、アメリカに関する楽曲を作っているということだと思います。
他国の音楽ファンとしては、ちょっとうらやましい…。

その中から、「アメリカ・ザ・ビューティフル」を紹介します。
米国アメリカンフットボールの最終決戦「スーパーボウル」でも、アメリカ国歌斉唱の前に歌われるのが慣例になっています。

 

この楽曲は、盲目の黒人歌手 レイ・チャールズさんの歌唱でも知られていますが、彼は、黒人差別と真っ向(まっこう)戦った人物でしたね。

下記の動画の合唱団が歌う光景は圧巻です。

♪アメリカ・ザ・ビューティフル

 

* * *

ここで、「アメリカ・ザ・ビューティフル」の歌詞をご紹介します。

「アメリカ・ザ・ビューティフル」の和訳歌詞

 

この歌詞の中に、「America! America! God shed his grace on thee」という言葉が出てきます。
和訳意味は、「アメリカ! アメリカ! 主は汝に恩恵を与えたもう」だそうです。


◇プリンスさんの「アメリカ」

惜しくも数年前に亡くなってしまった、ロック・ミュージシャンのプリンスさんも、この歌詞「America! America! God shed his grace on thee」を盛り込んで、「アメリカ」という楽曲を作りました。
ネット検索すれば、その楽曲の歌詞和訳が見つかると思います。

* * *

私は、このロック曲を聴いて、別の意味で、忘れられない曲となりました。
この楽曲の後半に、次のような歌詞部分が出てきます。

ちなみに下記の「Boom」には、流行や景気を意味するような「ブーム」の意味や、棒状の形状のものなどの意味もありますが、砲弾や雷などの炸裂音を意味することもあります。
この曲の場合は、砲弾の炸裂音の意味だと思います。

日本なら砲弾の炸裂音は「ドーン」「バーン」「バンバン」「ババババ」「ドカーン」あたりでしょうか。

Boom! Boom! Boom! Boom! (Oh Lord, oh Lord)
And the bomb go
Boom! Boom! Boom! Boom!
And the bomb go Boom!
Teacher, why won't Jimmy pledge allegiance?

ドーン!ドーン!ドーン!ドーン!(あぁ主よ、あぁ主よ)
砲弾が炸裂する!
ドーン!ドーン!ドーン!ドーン!
砲弾が炸裂する!
先生…、ジミーはなぜ忠誠を誓わないの?

そんなような和訳になるでしょうか。

* * *

私は考えてしまいました。
この楽曲のような歌詞は、今の日本では生まれてくるのだろうか…?
ジミー少年とは、どのような少年なのだろうか…?

前述の「Boom」とは、明らかに爆弾や砲撃の音です。
それも、楽器音や効果音ではなく、プリンスさんら人間の声で表現されていますが、それでもまさに、戦場の光景を思い浮かべます。
このドーンという炸裂の感覚は、この楽曲を貫いています。

冒頭のプリンスさんのギターソロは、まるで、ジミ・ヘンドリックスの、あの有名なアメリカ国歌の演奏を思い起こさせます。
さらに、「アメリカ・ザ・ビューティフル」の一節をそのまま使っています。
そして、アメリカ国歌に登場します砲弾炸裂場面も表現されています。

アメリカ国歌の歌詞の中にある砲弾の炸裂場面は、まさに星条旗が戦場でたなびく様子を描いています。
まさに「Boom」であり、「星条旗」そのものに感じます。
後で、この光景について、もう少し書きます。

* * *

アメリカ建国当初、自由や権利は限られた人たちのものでしたが、歴史の中でそれは広がっていきましたね。
やはり、歌詞にあるジミー少年とは、黒人のジミ・ヘンドリックスをイメージした人物なのでしょうか。

アメリカのことを歌ったポピュラーソングは山ほどありますが、このプリンスさんの楽曲「アメリカ」も、よく練られたトップクラスのクオリティのアメリカ曲だと感じます。
ただのカッコいい、ロック曲ではありませんね。

♪アメリカ(ライブ動画)/ プリンス【公式】

 


◇アメリカ国歌

先ほど、詩人のアマンダ・ゴーマンさんが、これから開催される「スーパーボウル」で、詩を朗読すると書きました。
このスーパーボウルでは、毎回、素晴らしい歌手たちが、アメリカ国歌を歌いますね。

ここで、何でもかんでもランキングにするサイトの動画を紹介します。
下記に、過去のスーパーボウルのアメリカ国歌のランキングと、多くの歌唱映像があります。

国歌歌唱ランキング

 

 

ランキング上位5人だけの名前を書きます。
レディ・ガガ、マライア・キャリー、ジェニファー・ハドソン、ビヨンセ、ホイットニー・ヒューストンの5人です。

このサイトによる私的なランキングですので、異論はあるかもしれません。
ここで書いてしまいますが、1位は、歌手ホイットニー・ヒューストンさんです。

私は、この1位には、まったく異論はありません。
1991年の彼女のこの熱唱から、何か、アメリカ国歌の女性歌唱の路線が変わった気がします。

* * *

私も、当時、ナマでテレビ中継を見ていて、彼女の歌を聴いて、感動して泣きそうになってしまったことを憶えています。
私は外国人として、こんなアメリカ国歌を、それまで聴いたことがなかった気がします。

アメリカも、日本も、世界中も、直後から、この熱唱が話題になり、大絶賛の嵐が吹き荒れたことを憶えています。
今のように、ネット上に動画サイトはなく、誰か録画していないのかと探しまわり、なかなか音源が見つかりませんでした。

昔の映像ですので、音質的に迫力が足りませんが、ナマでテレビを見ていた時の感動といったら、たいへんなものでした。

下記に、そのテレビ映像をご紹介します。

♪ホイットニーさんのアメリカ国歌(スーパーボウル)


彼女以降も、女性歌手の素晴らしい熱唱はたくさんありましたが、みな想像の範囲内のせいか、このホイットニーさんの衝撃を越えるものは、私にはありません。

彼女は、1999年、女性版NBAのオールスターゲームでも、別のバージョンのアメリカ国歌を歌っています。
彼女は、与えられた曲、そこにある曲を、そのまま音楽として伝えるのではなく、歌うという事の中にさまざまなものを盛り込み、それをしっかり伝えることのできる歌手だということが、よくわかります。

♪ホイットニーさんのアメリカ国歌(WMNBA)

 


◇国歌と国旗は、アメリカそのもの

アメリカ国歌の歌詞には、自由と独立を勝ち取る戦闘の中、ずっとはためいていた雄々しい旗のこと…、砲弾が炸裂する中でもその勇気は揺るがないこと…、その星条旗は自由と勇気の証し…、そしてその旗を降ろすことは絶対にないという決意…、その他、すさまじいパワーが込められた国歌ですね。

このアメリカ国歌は、フランシス・スコット・キーさんという詩人・弁護士(米英戦争時は守備隊兵)が、書き残した詩をベースに、歌詞に作りかえたようです。

1812年からの米英戦争の中、彼は1814年に英国海軍に捕虜となっているアメリカ人の問題について話し合うため、英国軍艦に乗り込みます。
その交渉の最中の1814年9月、アメリカ軍の「マックヘンリー要塞」に向けて、英国軍の猛攻撃が開始されます。
彼は英国軍艦内に抑留され、英国軍艦の中から、想像もしていなかった光景を目にすることになります。

* * *

アメリカ軍の「マックヘンリー要塞」は、メリーランド州ボルチモアにある、上空から見ると星の形の重要な要塞でした。
1814年9月13日、マックヘンリー要塞は、英国海軍の艦砲射撃やロケット弾による猛烈な砲火を一晩中 耐え続けます。

25時間で1500発が撃ち込まれたそうですので、1時間平均で60発、1分に1発の計算です。
ものすごい砲弾の嵐ですね。

キーさんがあきらめかけた、次の日の朝、太陽の光が差し込みはじめる夜明けの光の中に、猛烈な砲火を浴びたはずの要塞で、「星条旗」がしっかり、はためいていたのです。
彼は、その光景に感動して詩を残しました。
それが、後に国歌の歌詞として生まれ変わります。
国歌そのものを、それまでの国歌と入れ替えました。

アメリカ国歌の歌詞


どの国の軍隊にも、軍旗にまつわるエピソードはたくさんありますね。
日本の戦国時代の武将たちの軍旗にも、たくさんの逸話があります。

アメリカでは、国旗、国歌、歴史、思想が、見事につながった図式がありますね。
国旗を見ても、国歌を聴いても、すぐにアメリカの持つ「世界観」を感じることができます。

この国歌の歌詞がある限り、この国は星条旗を降ろすことはないのだろう…、そんな気がします。


◇アメリカを探して…

昔、サイモン&ガーファンクルが、やはり「アメリカ」という曲を作りました。
その歌詞の中に、「All come to look for America」という印象的な歌詞があります。

みんな、アメリカを探しにやって来る…。

もちろん、表面的なアメリカという国を探しにやって来るという意味ではありません。
アメリカという国の中に息づいているものを求めて、世界中から人がやって来るということだと思います。
これも、アメリカだからこその楽曲だと感じます。

♪アメリカ / サイモン&ガーファンクル


たしかに、数千年の歴史を持つ国々は、歴史の中で生まれた「しがらみ」という呪縛をうち捨て、理想を追い求めて突っ走るようなことは、そうそうできません。
皆がそう思っていても、突っ走れません。

アメリカに行けば、何とかなる…、何かが見つかる…。
探す場所が、世界の中に残っているとしたら、それがアメリカなのか…。


◇「ソメイヨシノ」と「ハナミズキ」

最後に、アメリカを歌った曲ではありませんが、ある音楽動画をご紹介します。

日本には、戦争の歴史や、駐留米軍基地をふまえて、アメリカに複雑な感情を抱く方も少なくありません。
いつの時代も、国どうしの関係はむずかしいものです。

それだけに、同盟関係にある各国の軍隊の音楽隊は、毎年集まって、音楽交流会を行っていますね。
音楽によって、それぞれの理解を深めるのは間違いないと思います。

それを見ている者にとっても、同じオーケストラの中で、各国の演奏者が一緒に演奏している光景は、何かうれしい気分にもなります。
その音楽動画では、日本の歌手である一青窈(ひとと よう)さんのヒット曲「ハナミズキ」を、日米の歌手と演奏者が一緒に奏でます。

* * *

ハナミズキという植物は、米国のバージニア州と、ノースカロライナ州の「州花」になっていますが、アメリカ人が非常に親しみを持つ植物だそうです。

日本が、1912年(大正元年)に、それまでの幾度もの失敗にもめげず、アメリカに桜の苗木を贈り、ワシントンDCのポトマック川に根付いたことは、よく知られていますね。
1920年まで桜「ソメイヨシノ」は贈り続けられます。

アメリカは返礼として、ハナミズキを日本に贈るのです。
ハナミズキの花言葉のひとつに「返礼」が入っているのは、そのためです。

この曲「ハナミズキ」の歌詞「♪君と好きな人が、百年続きますように」のように、日本とアメリカのいい関係が、百年、千年続きますように…。

♪ハナミズキ


言葉のチカラ、音楽のチカラ…、それがあれば、一緒に丘を登り、並んで同じ景色を眺めることができるのかもしれませんね。

* * *

コラム「音路(13)あなたがいるから」につづく

 

2021.2.2 天乃みそ汁
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