ナレーションの愚かさ | 小説の書き方教えます

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現役プロの小説家「子竜 螢」が、文学賞受賞へと導きます  KEI SHIRYU 

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今回は、ナレーションを入れることの愚かさについて解説しましょう。




ナレーションとは、テレビドラマなどでよく使われる、登場人物とは

別の語りでもって解説している部分のことですね。


NHKの朝の連続ドラマなどが代表的なものですが、あれをそのまま

小説に使っている人が多いのです。


しかし、文学賞の選考では完全にアウトなのです。


以下に、その理由を述べましょう。




まず、ストーリーを予告しているものは論外ですね。


この出会いが、後々佐和子の運命に大きくかかわってくるのである。


これは、愚かさの見本です。


これから面白くなりますよ、と言っているつもりでしょうけれど、逆に

ここまでは面白くないと白状しているようなものです。




次の例は、背景などを解説しているものですが、これもアウト。


昭和20年8月15日、日本は連合国との戦争に敗れて国土は焦土

と化していた。人々は生きる希望を見失いながらも、戦争の終焉

を喜び、そして命の尊さをあらためて認識するのであった。


なぜアウトなのかといえば、背景を解説しているからなのです。


主人公をその場面に立たせて、焦土を描写させたり心理を語らせ

るのが小説です。


この例文ですと、まるで歴史文献のようにみえませんか。




さいごに、ナレーションを絶対に使ってはいけない最大の理由を

お伝えしておきます。


そもそも、ナレーションの部分は、登場人物の視点で描かれてい

るのではなく、作者の視点で描かれているのですから、異世界

の物語の中へ現実世界の人間が割り込んでいることになります。


作品の中へ作者が顔を出してはいけない、という最大の禁止事項

を破っているのです。


そして、禁止事項を破っていることも、視点が作者視点へとブレて

しまったことにも気づかないのですから厄介なのです。


とにかく、ナレーションは禁止、と覚えておきましょう。