偶然の使いどころ 2 | 小説の書き方教えます

小説の書き方教えます

現役プロの小説家「子竜 螢」が、文学賞受賞へと導きます  KEI SHIRYU 

※添削をご希望の方は、必ず「添削希望の方へ

お読みになった上で、お申し込みください。

作品の枚数もご記入願います。


文学賞突破マニュアル」をご希望の方も、タイトル

下の項目をお読みください。


今回は、前回の記事にコメント質問をいただきましたので

その回答です。




作品の最後に主人公へ良い偶然を使えばよいのでしょうか。


そういう趣旨の質問をいただきました。




結論から申しますと、主人公に対する良い偶然は、いかなる

場合でもダメです。絶対に禁止です。


とくに、結末の部分で使いますと、読者の気持ちはこんなふう

なものになるでしょう。


なんだ馬鹿馬鹿しい、今までハラハラしながら読んできたのは

いったい何だったのだろうか。


と、こんな感じで怒り出すでしょうね。




主人公に使っていいのは、悪い偶然のみ。


というより、積極的に使うべし、ですね。


悪い偶然によって主人公が現状から脱出しようと試みる。しか

し、方法は間違っていないのに、パートナーのミスからさらに

事態が悪化する。


こういう作品を読まされたなら、読者冥利ですよ。久しぶりに

面白い小説に出会ったとばかり、すぐにあなたのファンになって

くれることでしょう。




でも、最後に良い偶然のおかげで助かってしまったなら、反対

にファンが一気に離れてしまいます。わかりますよね。


とくに、プロがこれをやると致命的です。買ってくれる人がいな

くなってしまうばかりか、出版社からの執筆依頼すらも来なく

なってしまうのです。




誰のために小説を書くのか。


もちろん読者のためです。作者自身のためではありません。


そういう正しい意識さえ持っていれば、偶然の使いどころも

自然にわかるはずなのです。