偶然の使いどころ | 小説の書き方教えます

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現役プロの小説家「子竜 螢」が、文学賞受賞へと導きます  KEI SHIRYU 

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今回は、偶然の使いどころについて解説しましょう。




事実は小説よりも奇なり、という言葉がありますよね。


現実の世界では、物凄い偶然によって人生が左右さ

れる場面が少なくありません。


偶然街で出会った異性の同級生と結婚することになっ

たとか、なにげにく買った雑誌に懸賞が掲載されていて

応募したなら当たったとか。




しかし、小説の中では禁止事項です。


なぜなら、主人公にとって良い偶然は、読者の興味を

殺いでしまうからです。


たとえば、超貧乏な家庭に育った主人公が、成人した

ときに立身出世を目指して決意するとします。


その決意に打たれて、一人の老人が資金提供を申し

入れたとしたなら、あなたは感動できるでしょうか。


都合よすぎる、と感じますよね。




つまり、良い偶然は絶対に使ってはならないというこ

となのです。


逆に、悪い偶然ならいくら使ってもいい。


いや、むしろ積極的に使っていただきたいのです。




前述の立身出世を決意した主人公が、無一文から

始めた便利屋で、ある程度の成功を収めたとしましょう。


街で偶然に出会った旧友が職探しをしていることを知って

自分のところで働かせるのですが、せっかく順調だった

会社のお金を持ち逃げしてしまいます。


おまけに、あとから友人が担当した顧客からのクレーム

の嵐、なんていうストーリーですと、読者はハラハラしま

すよね。


結末はどうなるのか、と絶対に最後まで読んでくれます。




このように、偶然の使いどころを間違えますと、名作にも

愚作にもなりますから、注意してください。


主人公にとって良い偶然は絶対に使わないことです。

ライバルへの良い偶然はどんどん使いましょう。