過保護な主人公 | 小説の書き方教えます

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現役プロの小説家「子竜 螢」が、文学賞受賞へと導きます  KEI SHIRYU 

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今回は、ストーリーの根幹となる主人公の取り扱い方についてです。




主人公を作者の分身と考えている人の作品に多いのですが、

主人公を甘やかして過保護にしてしまう傾向があります。


困り事が発生しても、助言してくれる人が運よく現われたり

恋愛の強力なライバルが転校してゆくなど、作者のご都合

主義的なストーリーを組み立てますと、読者にバカにされて

しまいます。


実際に過保護にされている子供を見たとき、可愛いと思うより

も先に、バカと感じてしまいませんか。親も含めてですよ。




主人公を甘やかしてはいけません。


良い偶然は絶対にダメで、悪い偶然をガンガンぶつけます。


たとえば、友人に裏切られた事件から立ち直ろうとしていた

矢先に、今度は恋人に裏切られる、とか、資金繰りに困って

いる会社経営者がさらに詐欺にあうなど、悪い偶然を重ね

て主人公を追い込むのです。


読者はさぞかしハラハラしながら読んでくれることでしょう。


このとき大切なことは、あらかじめ解決策を用意しておいて

はいけません。




解決策が準備されている災難なんて、読者にとってもすぐ

にピンときてしまう程度のものなのです。


作者ですら解決策がわからないからこそ、読者も先のストーリー

が予測できません。




でも、心配はご無用です。


あなたが主人公と同化して共に悩むなら、問題解決の手段は

必ずあります。


子竜は以前に、3巻編成の作品の中で、第一巻の終わりのと

ころで主人公にとんでもない無理難題を押し付けたことがあり

ました。


解決策にまで思い当たらないまま出版社へ原稿を提出したの

です。


もちろん、次の締め切りまでに解決策を考えて、原稿に反映

させなくてはいけません。


その一方で読者からの反響は大きく、出版社を通じて多くの

問題解決のアイディアや予想が寄せられました。


当然、ちょっとばかり話題となりまして、その頃には珍しく高い

売り上げを記録したのです。




あなかじめ準備されているストーリーなんて、読者にとっては

退屈さそのものなのです。先が予想できてしまう物語なんて

最後まで読む価値がないと判断されてしまうことでしょう。


ならば、読者のために予想のつかないストーリーに仕立てて

あげなくてはいけません。


それを可能にするのが、先日お話をしました大幅に改編する

覚悟とボツにする覚悟なのです。


かくして名作が誕生するのです。