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今回は、虚構の上手な扱い方についてです。
ほとんどすべての小説は、創作であり虚構の
塊です。
架空の街が舞台であったり、登場人物は実在
しない人ばかり。
発生する事件なども、実話をもとにしたものは
少なくて、ほとんどが作者による作り話です。
私小説といえどもどこかに虚構があって、全部
が現実という例は極めて珍しいでしょうね。
とはいえ、虚構ばかりが目に付きますと、読者
にとってはリアル感に乏しく、物語の中へ入り
にくくなってしまいます。
上手な虚構の混ぜ方こそ、大切となるのです。
昔、有名な詐欺師がこんなことを言っておりました。
上手な嘘をつくには、98%の真実の中へ2%の
嘘を盛り込むのだ、と。
これは、至極名言です。ほとんどの人が騙される
ことでしょう。
そうです。読者はうまく騙して酔わせてくれる作者
の登場を待っているのです。
架空の街ではなく、実在する街を描写したなら、
目に浮かぶような描写が可能です。
その中で一軒だけ違うお店を混ぜましても、読者は
虚構だと気がつきません。
たとえば、主人公が誘拐されたとしましょう。
誘拐事件など滅多にありませんから、リアル感には
乏しいですよね。
そこで、手足を縛られた主人公と壁ひとつ隔てた道
から、下校途中の女子高生たちの日常会話と笑い声
が聞こえてきたならどうでしょうか。
主人公が置かれている立場を、グッと身近に感じな
いでしょうか。
そして、自由な身と囚われの身とのギャップも同時に
描けるのです。
虚構ばかりであってはなりません。
身近などこにでもあるような状況を織り交ぜることで
あなたの作品は恐ろしいほどに輝きを増すのです。