ひとつ足りないもの | 小説の書き方教えます

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現役プロの小説家「子竜 螢」が、文学賞受賞へと導きます  KEI SHIRYU 

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今回は、物足りない作品になる理由です。




何ヶ月もかけて苦労して書き上げた達成感は格別

なものですよね。


小説を書いてみた人にしかわからない味わえない

充実感なのですが、日を置いて読み返してみます

と、物足りなさを感じることが多いのではないで

しょうか。




物足りなさは感じるけれど、何が足りないのかわか

らない場合が多いでしょうね。


それはズバリ、強烈に打ち出すテーマです。




テーマとは、人間というもののどのような部分をクロー

ズアップするかということちであり、ただ単にストーリー

を追いかけただけの作品では、感動も何もありません。


強烈なテーマがまず前面にあって、物語の進行ととも

に深く掘り下げられてゆく。


そういう作品こそが万人に涙を誘い、感動を与えるも

のなのです。




たとえば、赤ちゃんのときに取り違えられた主人公は

飲んだくれの父親のもとで苦労し、成人するとともに

一念発起して板前修業に励むとします。


一方、本当の子供は超金持ちの家で育ち、わがまま

一杯に育ったとしましょう。


やがて、金持ちの息子は、板前修業から独立して開い

た割烹料理店へ現われます。




こういうストーリーは面白い。最後にどうなるのかとワク

ワクしませんか。


なぜ面白いかというと、赤ちゃんの取り違えというアイディ

アかぜ面白いのではなく、人間は環境によって育くまれ、

逆境だからこそ大成するという真理があるからです。


突き詰めて言いますと、どのような環境で育とうとも平等

と申せますし、一方では本人の責任ではないどうしようも

ない不条理をも抱えているのが人間だということです。




こうしたテーマを掘り下げる必要は、文学に限ったことで

はなく、エンタメ系の作品でも必須と考えてください。


面白いストーリーのアイディアなんて無限に湧いてくる

ものではありません。


まずは掘り下げたいテーマを考え、それを描きやすい

ストーリーを考えるのが正しい順序です。


文章力もありそれなりのストーリーなのに、なぜか第一次

選考すら通らない人は、テーマの掘り下げ不足ですね。


人間とは何か。


多分に哲学的な問いですが、そこからスタートされると

良いと思いますよ。