人々は物語に飢えている | 小説の書き方教えます

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現役プロの小説家「子竜 螢」が、文学賞受賞へと導きます  KEI SHIRYU 

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今回は、魅力的なストーリーについてです。




幼い頃、母親がよく寝物語をしてくれました。


なかなか寝付かない子へ、眠りに誘う意味があった

のでしょうけれど、反って興奮してしまい、続きをせ

がんだこともありましたね。


親しい友人と顔を合わせたとき、何か面白い話は

ないの、とつい言ってしまうことが多いです。


つまり、人間は幼い頃から老人になってまで、物語

に飢えているのでしょう。




何か面白い話は、には別の意味もありまして、他人

の不幸は蜜の味的な要素が多分に含まれています。


魅力的なストーリーとは、まさしく主人公の不幸から

始まらなくてはならなのです。


イケメンで親が大企業の社長などという主人公では

読者からの共感は得られません。




仮に、親に捨てられて施設で育った人物を主人公と

した場合でも、読者からの共感はそれだけでは得ら

れないでしょう。


主人公に何らかの向上心が存在し、行動に移さない

限り、読者は共感するよりも自分の生活レベルとの

比較において満足するだけで終わります。




前向きに生きる主人公に、読者は感動します。


踏まれても蹴られても前を向く。ときには過去に涙

する場面も入れながら、それでも現状打破のため

に生きようとする。


もちろん、アウトローになったり人を騙したり犠牲に

しての成功には、読者は付いてゆけません。




多くのアマ中作品を拝見して思うことは、踏まれても

蹴られても、が足りないのです。


物語のスタート時点よりもひどい状態に主人公を

追い込んだ作品は、今まで見たことがありませんね。


なぜか主人公を可愛がりすぎます。


可愛い子には旅をさせよ。若いときの苦労は買って

でもせよ、が日本人の共感を呼び寄せるのです。




かつて、NHKの朝ドラで「おしん」が大流行しました。

東南アジアの諸国でも放映されるようになり、正月

番組として、またNHKが放映しているほどです。


こういう日本人的な苦労話こそ、読者の共感を得る

最大の要素です。「カーネーション」も「ゲゲゲの女房」

もそうでしたね。


現代的なところでは、「梅ちゃん先生」や「純と愛」も

そうなのでしょう。


苦労を重ねた上での立身出世こそが、日本人の心

に響きます。


客足が鈍ってきたとき、劇団が決まって「忠臣蔵」か

「坂田三吉」を上演するのは、苦労や困難の末に

目的を達成するという日本人の心に訴えて客足を

戻そうとしているのです。




あなたが日本人で読者も日本人である限り、作品か

日本人的な要素を排除してはなりません。


理屈理論よりも、何かを大切にしたいという感情で

動いたのが日本人なのです。




もしもあなたが若い世代であるのなら、合理主義的

な作品を書いてはいないか、と見つめなおすことを

オススメしましょう。


鬱病の友人が自殺したから涙する主人公ではなく、

生きる希望を友人に与え続ける主人公でなくては

なりませんし、そんな程度の友情は、ただの知人

の関係でしかないことを理解してください。


きっと、名作を残せるだろうと思います。