冒頭をどう書くか | 小説の書き方教えます

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当ブログは小説の書き方について述べている

ものですが、小説を書く人も書かない人にも、

か参考になればと考えております。


今回は、冒頭の書き方についてです。




小説の冒頭は立ち読みなどでもっとも目に触れる

部分だけに、プロも神経を使います。


「静」の場面と「動」の場面でいうと、絶対に「動」

の場面から入るべきですね。


読者にとって状況が何ひとつわからなくても、アクション

の意味がやがて明らかになると、意外に納得してくれる

ものなのです。


何者かの追跡から逃げていたのか、あるいは逆に追跡

していたのか。誰かを守るためだったのか、などなど、

冒頭のアクションシーンが終了したときには、読者は

すっかりストーリーの中へ組み込まれているのです。




間違っても「静」の場面から入ってはなりません。


司馬遼太郎さんなどはそういうパターンが多いのですが

それで最後まで読ませるのですから、司馬さんほどの

力量があってこそと考えてください。




もっとも悪い冒頭とは、ストーリーが始まる以前に、状況

の解説をしてしまうことですね。それが長いほど、読者は

本を閉じてしまいます。


解説など必要ありません。解説を書かないと読者がわから

ないと思うのは、読者の読解力をバカにしている証拠です。


登場人物の発言や行動で、状況は自然とわかるものですし

わかるような言動をさせなくてはならないのです。




今回のことでも、練習は非常に効果を発揮してくれます。


いきなりのアクションシーンをいくつか書いてみましょう。

その後の落ち着いた場面まで書きますと、冒頭らしく

なってきます。


たとえば、誰かに襲われそうになっている女性を助ける。

女性が礼を述べるときの会話で、双方の名前や職業な

どが判明し、どこへ何しに行く途中だったのかもわかる。

おまけに、正義感たっぷりの主人公で、格闘技を少し

やっていたことなどなど、解説しなくてもわかるのです。




反対に、解説してから格闘シーンに入ったら、どうなる

のでしょうか。


空手5段柔道3段の主人公が、あまりに都合よく、難儀

している女性と出会ったことになってしまいます。そういう

印象が読者には強くなってしまうという意味です。




なので、あなたの作品の冒頭にある状況解説の部分は

思い切って削除してください。


そして、その次の場面で、解説部分で述べていた情報

を盛り込んでください。


多分、プロが書いたのではないかというほどの作品に

変貌することでしょう。