朝のシャツに袖を通すときのひんやり感
これを味わっているうちは
まだ春は来ない
夕べの雨でぬれた傘を庭に広げて
切り取られた黒い影が今の時刻
乾ききったシクラメンの鉢に水をやると
しゅうしゅうと音を立てて吸い込む
世界がいっせいに雨に濡れるときには
一体だれがこの「しゅうしゅう」を出しているんだろう
夜のシャツをハンガーにかけると
くっきりした一日が浮かび上がる
袖の折り返しにさえも今日の僕が居た
朝のシャツに袖を通すときのひんやり感
これを味わっているうちは
まだ春は来ない
夕べの雨でぬれた傘を庭に広げて
切り取られた黒い影が今の時刻
乾ききったシクラメンの鉢に水をやると
しゅうしゅうと音を立てて吸い込む
世界がいっせいに雨に濡れるときには
一体だれがこの「しゅうしゅう」を出しているんだろう
夜のシャツをハンガーにかけると
くっきりした一日が浮かび上がる
袖の折り返しにさえも今日の僕が居た
毎年春になると、公園の沈丁花の香りがお風呂場に立ち込める。
この香りはいつでも、涙を誘うから嫌い。
甘酸っぱい思い出や孤独を引き連れてやってくる。
それでも、なぜか今日も一輪、花を手折って水差しに生けている。