春惜しむグラスの縁を指なぞり
春惜しむ手紙の結び書き了へて
静魚
令和六年五月のSHIROKANE句会のご報告です。 参加は静魚先生、結女さん、夜空さん、分水嶺さん、綺羅里さん、美歩さん、旅男さん、鳥子さん、悠悠さん、桃兎の10名。 毬さん、走流さん、地平線さん、知花さんからの投句を含め、全九十八句の中から、先生の特選、選と参加者それぞれの特選を清書順にご紹介いたします♪
今月の兼題
[春惜しむ 惜春]
[長閑(のどか) のどけさ、のどけし、駘蕩(たいとう)]
他当季雑詠
[河内静魚 特選]※全八句 ◎は特選中の特選です♪
アルバムの時を手繰りて春惜しむ 毬
夏隣出窓をノックしたる風 走流
◎結女句
惜春やゆつくり上る明治坂 夜空
羽衣のやうなおかきや春惜しむ 桃兎
丸刈りを飛び出してゐるつつじかな 分水嶺
雛の日の酢のやはらかきちらし寿司 美歩
結女句
[河内静魚 選]※全十八句
寂しくも独りがよくて春の宵 毬
高気圧の笑顔連れ来る夏隣 走流
春惜しむ無音の雨の一日かな 毬
惜春や背を押されて行くやうに 旅男
春愁をシャッター音にとじ込めし 美歩
夏隣ときをり銀の光降る 桃兎
惜春や海辺まで押す車椅子 分水嶺
のどけさや東海道で真鶴へ 悠悠
春雷や旅を見守る道祖神 地平線
軽口に笑ひさざめく花水木 夜空
亀鳴くや聞こえしふりの生返事 旅男
山吹の黄の浮びけり日照雨 旅男
種案山子万葉人が見えてくる 鳥子
うす塩の菜めしおむすび春惜しむ 桃兎
結女句
鳥の声聴き分けながら春惜しむ 悠悠
春惜しむ草の匂ひのスニーカー 毬
聞き慣れし妻の呼ぶ声桃の花 旅男
[結女 特選]
惜春やひと駅前に降りたちぬ 夜空
[鳥子 特選]
今治に着く
出迎へのバリーさんゐる駅のどか 走流
[分水嶺 特選]
天秤の揺れて平らや長閑なる 桃兎
[悠悠 特選]
花吹雪夢の中まで降り注ぐ 夜空
[綺羅里 特選]
山吹の黄の浮びけり日照雨 旅男
[桃兎 特選]
結女句
[旅男 特選]
鳥の声聴き分けながら春惜しむ 悠悠
[夜空 特選]
春惜しむ草の匂ひのスニーカー 毬
[美歩 特選]
春惜しむ手紙の結び書き了へて 静魚
以上でした♪
次回、2024年6月の句会の兼題です。
[梔子の花(くちなしのはな) 梔子(くちなし)、花梔子(はなくちなし)、山梔子(くちなし)]
雨の降りそうな夜、どこからともなく清楚な匂いがただよう。アカネ科の常緑低木で一〜三メートルくらい。葉は光沢のある長楕円形で革質、梢に白色六弁の花を咲かせ、形が盃に似ているので梔子の字が当てられた。和名のくちなしは実が熟しても口を開かないところからつけられた。咲き始めは純白だが黄変して散る。本州中南部から四国・九州にかけて野生も見られる。実からは黄色の染料がとれ、乾燥させた山梔子は解熱剤として用いられる。
[晶子忌]
五月二十九日。歌人与謝野晶子の忌日。本名しよう。明治十一年(1878)、大阪堺市に生まれる。与謝野鉄幹に嫁し、夫とともに「明星」派浪漫主義運動を推進した。歌集に『小扇』『舞姫』『佐保姫』など。源氏物語訳書の『新源氏物語』も「与謝野源氏」と呼ばれ、読み継がれている。昭和十七年(1942)没。六十三歳
(「合本現代俳句歳時記」角川春樹編 より)
月の夜を経し山梔子は月色に 永井東門居
●次回:2024年6月1日土曜日 13:00〜 会場:白金いきいきプラザ(白金高輪駅 徒歩7分) 3F-C室
●兼題で四句、当季雑詠で三句、の計七句お持ちください。