海底に光る真珠や晶子の忌
くちなしの罪問ふやうな甘き香よ
大ジョッキ傾けビール横長に
噴水やずつとずうつと好きなひと
静魚
令和六年六月のSHIROKANE句会のご報告です。 参加は静魚先生、走流さん、分水嶺さん、地平線さん、陶青子さん、綺羅里さん、美歩さん、火水さん、知花さん、旅男さん、むらさきさん、鳥子さん、桃兎の13名。 毬さん、夜空さんからの投句を含め、全百二句の中から、先生の特選、選と参加者それぞれの特選を清書順にご紹介いたします♪
今月の兼題
[梔子の花(くちなしのはな) 梔子(くちなし)、花梔子(はなくちなし)、山梔子(くちなし)]
[晶子忌]
他当季雑詠
[河内静魚 特選]※全六句 ◎は特選中の特選です♪
◎思ふまま花を生けたし晶子の忌 地平線
晶子忌の誰も心に火種持つ 走流
香水や鏡に映る別の顔 毬
晶子忌や硝子の皿に浮かぶバラ 火水
梔子の香りて夜の崩れゆく 毬
見て楽し食して楽しやなの鮎 むらさき
[河内静魚 選]※全十六句
蛍狩遠き思い出たぐり寄せ むらさき
くちなしや憂ひしことの薄らいで 桃兎
相馬野馬追
大地揺れ空に吸はれし馬蹄かな 夜空
十薬や叢に打つ句読点 陶青子
仰ぎ見し晴れ間の快や晶子の忌 むらさき
闇に咲く花火のやうに晶子の忌 むらさき
夏兆すエナジードリンク一ケース 走流
晶子忌や愛さなければ愛されぬ 桃兎
梔子の白に潜みし裏の顔 毬
くちなしや胸に落ちたる思ひあり 陶青子
意志強き母の髪型晶子の忌 毬
梔子の花水色の雨吸ひし 綺羅里
晶子の忌フォルテッシモを奏ず弦 陶青子
新緑の眼裏までの近さなり 美歩
なつかしきことのうすらか額の花 桃兎
情熱と文の人なり晶子の忌 美歩
[陶青子 特選]
運針の遅き手許や晶子の忌 桃兎
[美歩 特選]
しなやかなものに声あり夏兆す 走流
[走流・桃兎 特選]
くちなし剪る心に鍵をかけたき日 静魚
[むらさき 特選]
月ありて雲のたなびく初夏の夜 綺羅里
[火水 特選]
水指のふたの黒塗り薄暑光 美歩
[地平線 特選]
意志強き母の髪型晶子の忌 毬
[分水嶺・鳥子 特選]
噴水やずつとずうつと好きなひと 静魚
[知花 特選]
愛あれば地球は狭し晶子の忌 分水嶺
[旅男・綺羅里 特選]
新緑の眼裏までの近さなり 美歩
以上でした♪
次回、2024年7月の句会の兼題です。
[夏座敷]
湿気の多い夏に備えて日本の家屋は間口を広くとり、風通しよく造られている。梅雨が上がり日ざしが強くなると、障子や襖を取り払って簾をつり、葭屏風で仕切られた座敷に籐筵を敷いて涼しい雰囲気を作る。行水で汗を流し、水を打った庭に目を遣りながら聞く虫の音は涼味満点。冷房が完備された現代では忘れられた風情だが、夏の風流として味わってみたい。
[夕立(ゆふだち) ゆだち、よだち、白雨、夕立晴、驟雨、夕立雲]
夏の強い日ざしにより発生した対流性の雲から降る局地的な大雨をいい、雷を伴い、主として午後に降るので夕立という。また「夕立つ」と動詞に用いると、雨だけでなく、波・風・雲などが夕方にわかに起こり立つことにも用いる。「立つ」とは、自然界の動きがはっきり目に見えること、「顕(た)つ)」の意。「夕立」と名詞に使ったときは、雨または雨を起こす雲で、「暮立(ゆふだち)の雨落(ふ)るごとに春日野の尾花が上の白露念(おも)ほゆ 作者不詳」(『万葉集』)と、詠まれている。
(「合本現代俳句歳時記」角川春樹編 より)
鏡中に西日射し入る夕立あと 山口誓子
●次回:2024年7月6日土曜日 13:00〜 会場:白金台いきいきプラザ(白金台駅 1番出口向かい) 2F-B室
●兼題で四句、当季雑詠で三句、の計七句お持ちください。