SHIROKANE句会84[三月]お台場はいまクレヨン画春夕べ  静魚 | SHIROKANE句会

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 古来より変らぬ愛のセリフ春

 

 あたたかや銀座の裏の隅田川

 

 好きになることは簡単霞草

 

 日のひかりみな夜へ帰す春夕べ

 

 山門を下りる頃より春しぐれ

                      静魚



 令和六年三月のSHIROKANE句会のご報告です。 参加は静魚先生、夜空さん、走流さん、分水嶺さん、地平線さん、陶青子さん、綺羅里さん、美歩さん、知花さん、旅男さん、むらさきさん、鳥子さん、桃兎の13名。 毬さんからの投句を含め、全九十八句の中から、先生の特選、選と参加者それぞれの特選を清書順にご紹介いたします♪ 

 

 

今月の兼題

[春夕べ 春の暮、春の夕(ゆうべ)]

[霞草 群撫子、花糸撫子]

 他当季雑詠

 

 

 

 

 

 

 

 

 [河内静魚 特選]※全七句 ◎は特選中の特選です♪

 

◎永き日や箪笥ひと棹空にして        夜空

 

 寒月や磨きこまれしカウンター       美歩

 

 小澤征爾逝く

 あたたかや「ボクの音楽武者修行」     桃兎

 

 霞草抱きて白き日曜日           毬

 

 カーテンの丸くまとはる春夕べ       知花

 

 春宵やシェリーの琥珀とろけゆく      走流

 

 寒月やオンザロックの音透けて       美歩

 


[河内静魚 選]※全十三句
 

 石段を踏み外したり冬夕焼         美歩

 

 逝く人も逢ふ人もあり春の宵        陶青子

 

 春夕べローストオニオンの甘き       走流

 

 花嫁に降り注ぐ愛かすみ草         鳥子

 

 霞草掴んでみれば消えにけり        綺羅里

 

 保育園迎へ待つ子や春夕べ         旅男

 

 絵のやうな字配りの文うららけし      桃兎

 

 つつましき陽の中にあり蕗の薹       走流

 

 脇役の光るドラマや霞草          分水嶺

 

 式の後思ひあふれしかすみ草        知花

 

 でこぼこの心溶けゆく春夕べ        毬

 

 シクラメン鉢より溢るハートの葉      夜空

 

 クラリネットの軽き響やクロッカス     地平線

 

 

[鳥子 特選]

 宙に舞ふワルツのごとし霞草        むらさき

 

[旅男 特選]

 お台場はいまクレヨン画春夕べ       静魚

 

[桃兎 特選]

 永き日や箪笥ひと棹空にして        夜空

 

[走流 特選]

 春夕べ余韻ばかりの空あふれ        むらさき

 

[綺羅里 特選]

 扉閉づ音のしてをり春ゆふべ        桃兎

 

[美歩 特選]

 春の宵ふはりふはりと紗のかかる      夜空

 

[むらさき 特選]

 霞草抱きて白き日曜日           毬

 

[知花 特選]

 セロファンの中は窮屈霞草         毬

 

[分水嶺・地平線 特選]

 日のひかりみな夜へ帰す春夕べ       静魚

 

[夜空 特選]

 子の声の柔らかになり春夕べ        鳥子

 

[陶青子 特選]

 山門を下りる頃より春しぐれ        静魚

 

 

以上でした♪

 

 

次回、2024年4月の句会の兼題です。

 

 

[春の月 春月、春月夜、春満月] 

 一般に春の月といえば、もっぱら朧月のイメージが強いが、春の月が、朧月と別に季語として立てられているのは、朧に包まれた月に限らない、すべての春の月を指しているということである。春の月の中でも、とくに満月は全体に橙色をたたえてぽってりとした重量感がある。春の月には秋の月のような透明なさやけさがない代わりに、ほのぼのとした親しみとあたたかい艶がある。

 

[シネラリア サイネリア、白妙菊、富貴菊、蕗菊、蕗桜]

 キク科の多年草でアフリカ原産。栽培されて四、五月ごろ野菊に似た紫・赤・白・絞りなどの花を開く。病人の見舞の際「シ」の音を避けて「サイネリア」と呼ぶ。

 

 (「合本現代俳句歳時記」角川春樹編 より)

 

  蹴あげたる鞠のごとくに春の月   富安風生

 

 

 

●次回:2024年4月6日土曜日 13:00〜  会場:白金台いきいきプラザ(白金台駅1番出口向い) 2F-B室

●兼題で四句、当季雑詠で三句、の計七句お持ちください。