SHIROKANE句会83[二月]啼き声の数の中より冬鷗  静魚 | SHIROKANE句会

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 風花や一点見つむマリアの眼

 

 春待つや浅き呼吸を二回して

 

 春待つやきれいな風に声かけて

 

 早梅や濁音まろき京女

 

 春待てり化粧しづかに落としつつ

 

                      静魚



 令和六年二月、節分の日のSHIROKANE句会のご報告です。 参加は静魚先生、夜空さん、走流さん、分水嶺さん、地平線さん、陶青子さん、綺羅里さん、美歩さん、知花さん、むらさきさん、鳥子さん、桃兎の12名。 毬さんからの投句を含め、全九十一句の中から、先生の特選、選と参加者それぞれの特選を清書順にご紹介いたします♪ 

 

 

今月の兼題

[春待つ 春を待つ、待春]

[早梅 早咲きの梅、梅早し]

 他当季雑詠

 

 

 

 

 

 

 

 

 [河内静魚 特選]※全六句 ◎は特選中の特選です♪

 

 日脚伸ぶ三つ子のやうな老婆達       夜空

 

 早梅やあかるき風のとほりくる       地平線

 

◎遺されし春手袋の長き指          桃兎

 

 春待つやあはきとろみのスロー・ジン    桃兎

 

 節分や羽織にひとつ遊び紋         桃兎

 

 早梅や咲きて物音軽くなり         綺羅里 



[河内静魚 選]※全十一句
 

 春スキー空色のウェア白く照り       むらさき

 

 待春やチェロのくびれの艶めかし      毬

 

 早梅や微笑むときのかたゑくぼ       走流

 

 眼裏に早梅の朱をとどめ置く        夜空

 

 梅早し彼はクラスの人気者         むらさき

 

 あちこちの土膨らみて春を待つ       鳥子

 

 人形に鼻筋一つ寒灯            走流

 

 春を待つ芝の芽吹きの暖かし        知花

 

 待春の想ひ一つに句座弾む         夜空

 

 私には私の生き方梅早し          鳥子

 

 早梅やほつとかほだす奈良ことば      走流

 

 

[分水嶺・夜空 特選]

 風花や一点見つむマリアの眼        静魚

 

[美歩 特選]

 早梅やバギーに眠る双生児         陶青子

 

[走流 特選]

 春待つやきれいな風に声かけて       静魚

 

[桃兎 特選]

 待春やチェロのくびれの艶めかし      毬

 

[陶青子 特選]

 眼裏に早梅の朱をとどめ置く        夜空

 

[綺羅里 特選]

 啼き声の数の中より冬鷗          静魚

 

[地平線 特選]

 春待つや左右のてのひらゆるく組み     走流 

 

[鳥子 特選]

 人形に鼻筋一つ寒灯            走流

 

[知花 特選]

 蕗味噌や出来を喜び酒深し         むらさき

 

[むらさき 特選]

 早梅や花なき枝のショコラ色        桃兎

 

 

以上でした♪

 

 

次回、2024年3月の句会の兼題です。

 

[春夕べ 春の暮、春の夕(ゆうべ)] ※「合本現代俳句歳時記」では「春の暮」が見出し季語になっています。

 暮には、時刻と、時候の両義があるが、近代になっての春の暮は、春の夕暮のほうに重点が置かれはじめた。春の宵と差がないが、春の宵のもつ浪漫的雰囲気は薄い。

 (「合本現代俳句歳時記」角川春樹編 より)

 

[霞草 群撫子、花糸撫子]

 コーカサス地方原産のナデシコ科の一年草。切花用として広く栽培されている。茎の高さ約三〇〜五〇センチ。茎は円柱形で直立し、上方で再三、二又分岐して枝を広げる。葉は皮針形で対生し、先が長く尖り、基部は浅い心臓形。

 三、四月ごろ白く小さな花を細い枝にいっぱいつける。カスミ草は俗称で、群撫子が正しい名。花柄が糸のようなので、花糸撫子ともいう。シソ科のホトケノザを、一名カスミ草というが、本種とはまったく別の植物である。

 (新訂「現代俳句歳事記/石田波郷・志摩芳次郎編」主婦と生活社 より)

 

 

 しろがねのやがてむらさき春の暮   草間時彦

 

 

 

●次回:2024年3月2日土曜日 13:00〜  会場:白金台いきいきプラザ(白金台駅1番出口向い) 2F-B室

●兼題で四句、当季雑詠で三句、の計七句お持ちください。