風花や一点見つむマリアの眼
春待つや浅き呼吸を二回して
春待つやきれいな風に声かけて
早梅や濁音まろき京女
春待てり化粧しづかに落としつつ
静魚
令和六年二月、節分の日のSHIROKANE句会のご報告です。 参加は静魚先生、夜空さん、走流さん、分水嶺さん、地平線さん、陶青子さん、綺羅里さん、美歩さん、知花さん、むらさきさん、鳥子さん、桃兎の12名。 毬さんからの投句を含め、全九十一句の中から、先生の特選、選と参加者それぞれの特選を清書順にご紹介いたします♪
今月の兼題
[春待つ 春を待つ、待春]
[早梅 早咲きの梅、梅早し]
他当季雑詠
[河内静魚 特選]※全六句 ◎は特選中の特選です♪
日脚伸ぶ三つ子のやうな老婆達 夜空
早梅やあかるき風のとほりくる 地平線
◎遺されし春手袋の長き指 桃兎
春待つやあはきとろみのスロー・ジン 桃兎
節分や羽織にひとつ遊び紋 桃兎
早梅や咲きて物音軽くなり 綺羅里
[河内静魚 選]※全十一句
春スキー空色のウェア白く照り むらさき
待春やチェロのくびれの艶めかし 毬
早梅や微笑むときのかたゑくぼ 走流
眼裏に早梅の朱をとどめ置く 夜空
梅早し彼はクラスの人気者 むらさき
あちこちの土膨らみて春を待つ 鳥子
人形に鼻筋一つ寒灯 走流
春を待つ芝の芽吹きの暖かし 知花
待春の想ひ一つに句座弾む 夜空
私には私の生き方梅早し 鳥子
早梅やほつとかほだす奈良ことば 走流
[分水嶺・夜空 特選]
風花や一点見つむマリアの眼 静魚
[美歩 特選]
早梅やバギーに眠る双生児 陶青子
[走流 特選]
春待つやきれいな風に声かけて 静魚
[桃兎 特選]
待春やチェロのくびれの艶めかし 毬
[陶青子 特選]
眼裏に早梅の朱をとどめ置く 夜空
[綺羅里 特選]
啼き声の数の中より冬鷗 静魚
[地平線 特選]
春待つや左右のてのひらゆるく組み 走流
[鳥子 特選]
人形に鼻筋一つ寒灯 走流
[知花 特選]
蕗味噌や出来を喜び酒深し むらさき
[むらさき 特選]
早梅や花なき枝のショコラ色 桃兎
以上でした♪
次回、2024年3月の句会の兼題です。
[春夕べ 春の暮、春の夕(ゆうべ)] ※「合本現代俳句歳時記」では「春の暮」が見出し季語になっています。
暮には、時刻と、時候の両義があるが、近代になっての春の暮は、春の夕暮のほうに重点が置かれはじめた。春の宵と差がないが、春の宵のもつ浪漫的雰囲気は薄い。
(「合本現代俳句歳時記」角川春樹編 より)
[霞草 群撫子、花糸撫子]
コーカサス地方原産のナデシコ科の一年草。切花用として広く栽培されている。茎の高さ約三〇〜五〇センチ。茎は円柱形で直立し、上方で再三、二又分岐して枝を広げる。葉は皮針形で対生し、先が長く尖り、基部は浅い心臓形。
三、四月ごろ白く小さな花を細い枝にいっぱいつける。カスミ草は俗称で、群撫子が正しい名。花柄が糸のようなので、花糸撫子ともいう。シソ科のホトケノザを、一名カスミ草というが、本種とはまったく別の植物である。
(新訂「現代俳句歳事記/石田波郷・志摩芳次郎編」主婦と生活社 より)
しろがねのやがてむらさき春の暮 草間時彦
●次回:2024年3月2日土曜日 13:00〜 会場:白金台いきいきプラザ(白金台駅1番出口向い) 2F-B室
●兼題で四句、当季雑詠で三句、の計七句お持ちください。