ある寒村のドラゴン退治#12  ◇537年 1の月 宵超しの祭と不穏な仮説 | 白鴉(shiroa)のビバラムービー

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ようやく書き上げました。

 

しろあです。

 

『ある寒村のドラゴン退治』、ようやく脱稿しました。

全部で42話分です。だからあと30回続くわけですね。

ある程度反射神経で書いていて、読み返してなかったりしたので、

今、読み返しながら細かなミスを修正してます。

すでにブログでアップした分にもミスがありますが……まぁいいでしょう。

 

ではでは、前回はこちらです。

今回は村の祭りの再開という喜ばしい話と、次なる苦難の予感。

ではどうぞ。

 

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◇537年 1の月 宵超しの祭と不穏な仮説

大晦日、3年ぶりとなる宵超しの祭が行われた。
この日は1年間の感謝を土地の神に捧げる。
村人は春までの貯えを残すと、基本的にはそれ以外の財を祭壇へ捧げるのである。
その捧げものは年を越すと村の者で平等に分け与えられる。

小さな村とはいえ貧富の差はある。
富めるものは施しを与え、貧しきものは布施を受ける。
小さな村だからこそ助け合う精神が大切であるこの祭りは、
村の者の哲学の中心と言えるやもしれない。

しかし年が明けて7の日を過ぎた時、悲報が届いた。
竜の穴の近く、ドラゴンを捜索していた若者の足が見つかったのだ。
体は持ち去られたか、食われたか。
被害者が出たことでドラゴンの捜索は一度打ち切られることとなった。
そして村の顔役が集まり、会議が行われた。

そこへ監視役のひとりがやってきて、考えを述べた。

 足は竜の穴の近くで見つかった。
 昼間、もう一匹のドラゴンは竜の穴近くにいるのではないかと仮定する。
 ではドラゴンは何をしているのか。
 竜の穴の奥、卵を温め守っているのではないか。

この仮説はその場にいるものを、絶望と恐怖に陥れた。
もしそれが本当だとしたら、ドラゴンは繁殖していくだろう。
今はなんとか2匹分の贄を準備し、村を維持する力はあるが、
今後3匹、4匹と増えた時、時期に限界は訪れるだろう。
そうなれば、村は破綻する。
維持しているどころか、土地を去る決心をしなければならない。

この最悪の状況を避ける為にも、卵が本当に存在するのか、
それを確かめねばならない。

決死の捜索隊は、竜の穴周辺に基地を設け、
竜の穴へのドラゴンの出入りを確認することとなった。
そして必ず二人一組で行動することとし、
有事の際には指笛を用い、村へ伝えられるようにしたのである。