勇者はドラゴンに負けた。
しろあです。
前回はこちら。
ドラゴンに負けた勇者。
さて村はどうなる?? 意外な展開が待っています。
ではどうぞ。
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◇536年 6の月 ドラゴン観光のはじまり
勇者一行の痛ましい敗北は、村にとって大きな衝撃であった。
村を捨てるという意見も出たが、多くの者が離れたがらなかった。
贄を捧げ続けることで安全に生活できるならばそれでよい。
村を離れる決断をしたものも、家族が残るというと折れ、
結局はひとりも村を出るものはいなかった。
春が巡り、夏がやってきた。
535年はドラゴンは村の損失にしかならぬ厄災であったが、
536年は奇妙にドラゴンと共存する村として知られるようになった。
そのため、ドラゴン観光に訪れるものが現れるようになった。
ドラゴンの被害で亡くなった者の家屋はそのままになっていたが、
そんな旅人への宿として利用することになった。
旅人がやってくると、お金が入るようになった。
宿、食事、そしてドラゴン見学の案内。
はじめは任意の謝礼、厄災への募金として受け取っていたが、
市の意見もあり、ある程度宿賃や料理代などは決まった額を定めることにした。
定めることで市は観光事業を立ち上げ、近隣の市へドラゴン観光の旅行計画を販売はじめた。
そして6の月を迎え、奇妙なことに、ドラゴンがやってきたとき以上に村は
経済的に潤うようになったのである。