童話に描かれるオオカミと史実について②『赤ずきん』、ペローとグリムの違いについて | 白鴉(shiroa)のビバラムービー

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アンデルセンとグリムが有名ですが、ペローもおさえておきたいところです。

 

しろあです。

 

西洋の童話をまとめたものとして『アンデルセン童話』、『グリム童話』が有名です。

細かなことを説明すると本題が進まないのでここではアンデルセンについては割愛しますが、

興味のある方は私の過去の記事を検索いただければと思います。

 

『グリム童話』はドイツの学者、グリム兄弟が民間伝承を集めまとめた童話集です。

その中にはフランスから流れて来た作品もあり、そのひとつが有名な『赤ずきん』です。

フランスの童話集としてはシャルル・ペローの『過ぎし昔の物語ならびに教訓』があります。

フランスの童話をまとめた作家としてペローは有名なのですが、

意外にもあまり知られていませんね。

 

有名なところとして、ディズニーが映画化した『シンデレラ』。

この作品はペローの『シンデレラ(灰かぶり)』が原作となっております。

グリム童話の中にも『灰かぶり』はありますが、大筋は同じものの細かな点で違いがみられます。

その辺を比べるのも面白いですよ。

ちなみに『灰かぶり』のルーツをたどると、意外にも中世の東洋にあるということも分かっています。

 

グリムとペローのどちらの童話集にも登場する物語は他にもあり、そのひとつが『赤ずきん』です。

この両者の相違はすこぶる面白いですよ。

 

グリム版はいわゆる一般的に知られるもの。

 

 おばあちゃんの家にパンと葡萄酒を届ける赤ずきん。

 途中でオオカミと出会って、目的を教える。

 オオカミはおばあちゃんと共に、赤ずきんも食べようと画策、

 先回りしてまずおばあちゃんをまず食べる。

 そこにやってきた赤ずきんを食べたオオカミは、

 そこですやすや眠っているが、

 通りがかりの狩人がオオカミの腹を裂き助けてくれる。

 

という流れ。

最後に狩人が助けてくれる、助かってよかったね。という話なんですけど、

実は類話にはたくましい赤ずきんは自らの手で撃退する筋のものも存在します。

他人の手を借りず、自らの知恵と勇気で撃退するところは

『ヘンゼルとグレーテル』にも似た、”自力でなんとかする”、”苦難を知恵と勇気で乗り越える”

という良い童話のお手本。私は結構このパターンの『赤ずきん』は好きです。

 

さて、ペローの『赤ずきん』はどうでしょう?

実は

 

 赤ずきんもオオカミに食べられておしまい

 

というバッドエンドです。

ペローはそこで最後に教訓を語ります。

 

 若い娘よ。男はみんなオオカミだから気をつけなさい。

 

『赤ずきん』のルーツはフランス方面にあるので、もともとはそういう話だったわけですね。

それが語り継がれ、ドイツに辿り着く間にハッピーエンドを誰かが創出したのでしょう。

グリムはそれを耳に入れて、童話集に編纂したということです。

 

ペロー、グリムの違いは、フランスとドイツの違いであり、

より原点に近いものと、脚色されたものの違いでした。

 

こういう観点で童話をみていくと、ひとつの作品も実に興味深いものであると思いませんか?

次回はさらに違う角度から見てみましょう。