豪快な幻想小説?! 酒精中毒の幻か、海坊主の正体は!『海坊主』吉田健一 | 白鴉(shiroa)のビバラムービー

白鴉(shiroa)のビバラムービー

~~映画生誕100周年に灼かれたバカの映画遍歴
& アマチュア作家 平塚白鴉のおバカで役立つブログ

百年文庫『客』より。

 

しろあです。

 

ちょっと面白い組み合わせかな、と思う巻です。

なかなかインパクトのある作品がいきなり登場! ではコピペ!

 

     --//--      --//--      --//--      --//--


百年文庫『客』より。
 

吉田健一さんの『海坊主』。

ちなみに吉田健一さんは吉田茂の息子さんだそうです。
 

いつもの飲み屋に行くと、ガタイの大きい男が入ってきた。

大量に食べ、飲む男。

話をしたきっかけでその後も梯子をして一緒に飲むことに。

あまりに豪快な食べっぷりで自分も呑まれてしまうのではと思っていると、「人間は食べないよ」とこぼす。
 

川のほとりを歩いていると男の形がサッと変わりそのまま水にドボン。

消えていった男は一体何者だったのだろう?
 

というお話しです。
深酔いによる幻か、夢か。幻想的な物語でした。

 

     --//--      --//--      --//--      --//--

 

『世にも奇妙な物語』に登場しそうな、

 

 へ? で、結局なんだったの?!

 

という変なおち、読後感の作品です。

 

しかしながら、飲み屋を流すサラリーマンの心理、そこで出会い意気投合するところなど、

ファンタジーだけでは切り捨てられないリアリティがあり、かなり面白く読めます。

それだけにこの大男の正体を考察する面白さもあり、

 

 妖怪だったのか、沼の主のような大鯰の変化か、はたまたなにかの比喩なのか。

 

考えるとなかなか奥深く味わい深い好短編であるといえましょう。