人間万事塞翁が馬(随筆)【27】浅草名所七福神、結願 | 遊行聖の寺社巡り三昧                            Yugyohijiri no Jishameguri Zanmai

浅草名所七福神は、「あさくさなどころしちふくじん」と読むそうです。

江戸時代後期の『江戸名所図会』(えどめいしょずえ)を知る人であれば、「あさくさめいしょしちふくじん」と自信を以って読んでしまうに違いありません。

2024年5月12日、私と美月は坂東三十三観音の浅草寺、関東三十六不動尊の寿不動尊を巡るために浅草へ遊行に出掛けました。

その前夜、美月が「浅草には浅草名所(などころ)七福神もあるよ」と言うので、「そりゃ名所(めいしょ)だろう」と私が若干威圧的に訂正したところから話は始まります。

上野から浅草へ歩く途上、たまたま七福神に参加する矢先稲荷神社に立ち寄ると、案内パンフにはご丁寧に「名所(などころ)」と仮名を振っているではありませんか。

こうなると、日頃から四天王に踏まれている邪鬼美月ですから、その足を掬って転ばせてやった高揚感から、「浅草などころ七福神をやるよ!!」と宣言・命令したわけです。

四国八十八ヶ所巡礼でも、順打ち・逆打ちと何度も深く巡る人もいれば、四国だけに拘らず西国・坂東・秩父百観音へとジャンルを広げて行く人もいます。

私は前者であり、美月は後者なのかもしれません。

じっくりと坂東三十三観音と関東三十六不動尊を巡るつもりだったのですが、「などころ」で敗北を喫した以上、美月の言うことを聞かないわけにはいかなくなりました。

その後、5月18日は鷲神社・吉原神社・橋場不動尊・石浜神社を巡り、6月8日には浅草寺・浅草神社・待乳山聖天・今戸神社と計九寺社を参詣しました。

ちなみに、七福神なのに九寺社であるのは、「九は数のきわみ、一は変じて七、七変じて九と為す。九は鳩でありあつまる意味をもち、また、天地の至数、易では陽を表す」という古事に由来しているそうです。

(浅草名所七福神パンフレットより)

きっかけはどうあれ結願することが出来ました。

御朱印の文字の美しさは七福神蒐集史上、最高ではないかと思います。

そしてオマケでミニ絵馬蒐集も無事コンプリートすることが出来ました。

そんな中で一番美月に感謝しなければならないことは、半ば強引に浅草名所七福神へ背中を押してくれたおかげで、たくさんの発見を二人で共有出来たことだと思います。

結願は今戸神社だったのですが、その授与品所の江戸っ子早口姐さん(奥様?)が、私と美月の参詣記念写真を撮ってくれたことが至福の思い出になりました。

これからも邪鬼美月の提案はしっかりと受け入れて行きたいと反省しています。