元三大師関連寺院(一)【9】佐野厄除け大師(栃木県佐野市)No.3 | 遊行聖の寺社巡り三昧                            Yugyohijiri no Jishameguri Zanmai

さて前回は、寺院の観光地化について嘆きましたが、奈良和尚様よりコメントを頂戴して、同様に感じられている方がおられることに力づけられました。

奈良和尚様、有難うございました。

元三大師護符(角・鬼・豆)蒐集を始めた2022年、「以前に参詣した佐野厄除け大師は何大師を祀っているのだろうか?」と疑問が生じました。

南関東においては、幼い頃から初詣のCM投稿量で刷り込まれた「三大厄除大師」は、川崎大師・西新井大師・佐野厄除け大師であると勝手に思って来ました。

しかし仏教を勉強し始めて、川崎と西新井が真言宗の弘法大師であり、佐野厄除け大師は天台宗の元三大師を祀っている寺院と知って吃驚しました。

そもそも還暦に至るまで、川崎大師駅がある京急電鉄ファンでありながら、「お大師様」が誰であるのか全く意識もせず生きて来たことを恥ずかしく思いました。

そもそも大師号を天皇から宣下された僧侶は、伝教大師最澄・慈覚大師円仁から始まり、大正11年の立正大師日蓮に至る25名だけとなります。

後日詳しく研究しますが、私が信心する元三大師良源は、大師がつかない「慈恵」のみの宣下であり、哀しいことに大師号詐称疑惑があるとされています。

(比叡山延暦寺蔵 重文 慈恵大師坐像)

朝廷のうっかり「大師」つけ忘れミスと信じたいところです。

それはさておき、佐野厄除け大師が公言する「関東の三大師」とは何処の寺院を指すのでしょうか?

調べてみると、「関東厄除け三大師」と称する場合は、川崎大師と西新井大師、千葉県香取市の観福寺を指し、真言宗弘法大師(空海)を以って「お大師様」とするようです。

また「関東の三大師」と称する場合は、佐野厄除け大師、前橋市の青柳大師、川越大師喜多院を指し、天台宗元三慈恵大師良源を以って「お大師様」とするようです。

つまり宗派によって「関東の三大厄除大師」は異なることになります。

しかし天台宗だけ考えてみても、関東には深大寺、拝島大師、上野寛永寺など超有名な元三大師寺院があり、誰が「三大師」を定めたのか疑わしく感じられてしまいます。

2022年6月4日に美月と再訪した佐野厄除け大師に話を戻しましょう。

「関東の三大師」と自称しておきながら、近隣の足利厄除大師や寺岡山元三大師と比較すると圧倒的に授与品は少なく、敢えて異形の角大師を隠している印象を受けました。

角大師の護符については大小2種類がありました。

そしてビニール製のカード式貼り札があり、これは大変可愛らしい角大師となっています。

またストラップはお姿入りの美しいブルーで、茨城県常総市にある安楽寺(赤)と色違いの授与品であると考えられます。

善悪含めて佐野厄除け大師について書いてきましたが、授与品を頂戴した際の紙袋には大変立派なことが記されていました。

是非、このような信心が実現できる寺院となって頂けることを期待して筆を置くことにします。