私と美月がスタンプラリーする日蓮宗では、人気で混雑する寺院などほとんど無く、観光地のような佐野厄除け大師とのギャップに驚いてしまいました。
人気寺院の佐野厄除け大師では、混雑を避けるために省力化されており、お御籤や絵馬なども自販機で売られていました。
更には、厄除が叶ったお礼参りですら、「御礼受付」と書かれた自販機にお金を入れるシステムになっていました。
そして様々な奉納料を示す看板ばかりが目につきます。
中華料理店か居酒屋の壁に貼られたメニュー表を思わせる金銭の洪水に、私も美月もここが寺院であることを忘れてしまいそうになりました。
お地蔵さんを磨く「たわし」でさえ、奉納料400円と書かれた大きな看板を掲示して販売しています。
テレビCMにつられて観光気分で訪れるならば気にならないのでしょうが、この寺院に真摯な信心を以って参詣する人はどう思うでしょうか?
信心が叶ったお礼ですら自販機にお金を入れて有難いと思うでしょうか?
同じように初詣のCMを流している大きな寺社、成田山新勝寺や川崎大師、そして有名神社であっても自販機に向かって手を合わせることはありません。
最近では川崎大師の赤札もそうですが、どんなに行列を作っても、僧侶か巫女さんがFACE TO FACEで対応してくれるから有難いと感じるのだと思います。
これが寺院かと私と美月は暗澹たる気持ちになりました。
そんなモヤモヤを救ってくれたのが、佐野厄除け大師の対面に鎮座する時宗の涅槃寺でした。
門前の一遍上人像以外は一切看板も装飾もない質実剛健たる寺院でした。
昨今、人集めに執着する寺院が多いご時世ですが、さすが捨て聖と称された一遍上人の寺院であると感心しました。
その堂々たる信仰心・不動心に頭が下がる思いでした。
無論、何のために寺社を参詣するかは人それぞれです。
坂東三十三観音巡礼をしていると、観音菩薩に手を合わせて熱心に納経している参拝者をよく見かけます。
是非、そのような信心を無にすることがない寺院であって欲しいと思います。
ところが・・佐野厄除け大師は天台宗の寺院で、角大師の護符があると聞いて2022年6月に再訪せざるを得なくなってしまったのです。