仏像を訪ねて(一)【4】迦陵頻伽と共鳴鳥No.5 | 遊行聖の寺社巡り三昧                            Yugyohijiri no Jishameguri Zanmai

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元三慈恵大師(角・鬼・豆)関連グッズと良源研究、オモシロ絵馬、仏像鑑賞、日蓮大聖人像、一遍上人像、キリスト看板、自作官能小説、随筆等々、蒐集したコレクションを常設展示します。当ブログは『豆々朗師のオモシロ寺社巡り』のリメイク版になります。

さてここまで双頭の共鳴鳥を書いてくると、どうしても欧州における「双頭の鷲」の由来を避けては通れません。

「双頭の鷲」の起源は紀元前(ヒッタイト王国)に遡るとされるのですが、確実なところとしてはローマ帝国やハプスブルク家の紋章として使用されていました。

ローマ帝国が東西に分裂した際、東西ローマ帝国への統治権を具現化したものとして継承されて来たようです。

よって現代においても、ローマ帝国の継承者を自負するロシア連邦の国章として使われています。

「双頭の鷲」が生物として実在するかは調べていませんが、人形(ひとがた)における双頭は最近まで数多くの事例が残されています。

江戸川乱歩の長編『孤島の鬼』(1930年)をご存知でしょうか?

語り辛い内容から今では取り上げられることも少なくなりましたが、錚々たる文筆家が大乱歩の最高傑作と称賛する作品です。

清朝時代の伝記小説集『虞初新誌』をモチーフにしており、紀州の孤島で見世物に売るための不具者を人為的に造っているという恐ろしい内容です。

この小説が私のマージナル(境界)嗜好の原典なのですが、特に作中作である「人外境便り」の出来映えには驚嘆せざるを得ませんでした。

シャム双生児と言われる幼い結合双生児の日記です。

画像にある臀部側面の傷跡が人工的に接合された男女を切り離したことを示しており、この女性は最終的には主人公と結ばれて幸せになるのですが・・是非ご一読下さい。

このような結合双生児は古来より記録が残っており、私の蔵書である『フリークス』(レスリー・フィードラー著)にも多くの写真が掲載されています。

中でもデイジー&ヴァイオレット・ヒルトン姉妹は、その美しさ故に、サイドショーや見世物・映画で有名になり、それぞれが夫を持って結婚生活もしました。

ところが晩年は人気も凋落して、スーパーのレジで会計と袋詰めを同時にしていたと言われています。

(『デイジー&ヴァイオレット・ヒルトン姉妹』でサイトを検索して下さい)

しかしながらこれらは双体癒着結合であり、共鳴鳥の一体双頭とは全く違うと考えて良いでしょう。

ところが調べて行くと、共鳴鳥とほぼ近いトッチ兄弟の存在に突き当たりました。

(『トッチ兄弟』でサイトを検索して下さい)

彼らは生後1ヶ月から見世物としてサイドショーに出演し、「双頭の少年」或いは「合体兄弟トッチ」などと宣伝されました。

有名なアメリカの小説家マーク・トウェインが、彼等のポスターに触発されて『まぬけのウィルソンとかの異形の双生児』を書いたほど人気があったようです。

共鳴鳥・・つまり人間の心が昇華した神仏は異形を愛するのではないでしょうか?

それは三面であり、十一面であり、千手観音にしても、全て異形であるからです。

凡人ではない異形の神仏だからこそ、人々は心を委ねることが出来るのかもしれません。