人間万事塞翁が馬(随筆)【17】高額医療費に悩む。 | 遊行聖の寺社巡り三昧                            Yugyohijiri no Jishameguri Zanmai

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元三慈恵大師(角・鬼・豆)関連グッズと良源研究、オモシロ絵馬、仏像鑑賞、日蓮大聖人像、一遍上人像、キリスト看板、自作官能小説、随筆等々、蒐集したコレクションを常設展示します。当ブログは『豆々朗師のオモシロ寺社巡り』のリメイク版になります。

仏の浄土へ逝く前に、私は現世において奪衣婆に身包み剝がされようとしています。

プロフにも書きましたが、50歳で食道癌を発症して以降、6度にわたる内視鏡手術(ESD)のお蔭で今も重症に至らず経過観察を続けています。

また還暦(本厄)の年に前立腺癌(腫瘍マーカーPSAが11)が見つかり、前立腺も含めた全摘出手術を受けて以来、毎月泌尿器科の主治医の許へ通院しています。

前立腺摘出手術後、主要マーカーPSAは1年半ほど0だったのですが、再び悪化する兆候を見せており、先日抗ホルモン剤による薬剤治療を見直すこととなりました。

前立腺癌は男性ホルモンをエサにして増殖するため、それを遮断して羽柴秀吉が指揮した鳥取城の「飢え殺し」さながらのホルモン抑制治療が有効とされています。

さてそれまでは半年に一度の注射剤リュープリンと経口薬ビカルタミド錠の併用で来ましたが、主治医からビカルタミド錠からニュベクオ錠に処方変更すると告げられました。

このニュベクオ錠(バイエル薬品)、ホルモン療法としては新しい薬で、調剤薬局で支払する際、自己負担が80,000円/月と領収証に書かれていたので吃驚しました。

主治医からは「少し薬剤代が嵩む」と伝えられていたのですが、それまで服用していたビカルタミド錠がジェネリックで2,000円/月であったのと比べるととんでもない高額です。

薬価は1錠2,311円で1日4錠9,244円、一ヶ月277,320円、3割自己負担として83,196円、約80,000円となります。

早速、高額医療費制度を調べましたが、私の現在の年収から考えると、③に該当して僅かに制度の枠にひっかかる程度です。

ざっと概算すると、1-3回(月)はひっかからないとして80,000円×3、以降は44,400円×9、年間合計640,000円の自己負担になります。

これは私の手取り年収の15%ほどに相当します。

目の前が真っ暗になりました。

手術等の一時金であれば負担感はありませんが、死ぬまで毎日飲まなければならない薬であるとすれば、この先の年金生活まで考えた場合大きな負担に他なりません。

「死んでもいいからジェネリックに戻して下さい」と主治医に縋る患者がいても不思議ではありません。

高額医療費制度は大変有難い制度ですが、「豊かな短命」と「質素な長寿」と、どちらを生前に選ぶのかと閻魔様に問い詰められているような心持ちになりました。

勿論、企業の健保組合には手厚い補償がありますし、税務上の医療費控除もあるのでこれが全てとは言えません。

しかし医療の進歩によって先進的な薬剤費が高騰することは、より長く生きるためにも金銭的な保障による格差が生じることを意味しています。

地獄の沙汰も金次第なのでしょうか?

最善の治療を平等に授与出来ない時代が既にやって来ているのです。

薬師如来様、今こそ出番です。

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