さて、いよいよ関東における元三大師信仰の大寺院、東京都調布市にある深大寺について綴っていきたいと思います。
私見ですが、関東三大元三大師寺院と問われれば、上野寛永寺、日光輪王寺、そして調布深大寺を挙げるのが常道でしょう。
五大で追加するならば、川越喜多院、拝島大師が入選すると思っています。
817年、伝教大師最澄は、弟子の第三代天台座主となる円仁(下野国生まれ、慈覚大師)を連れて東国巡遊をしており、関東には古くからの天台宗寺院が現存しています。
深大寺は859年に法相宗から天台宗へ改宗して、鎌倉時代より元三大師を祀っていることから、関東でもその頃から元三大師信仰が成立していたものと考えられます。
東京都では浅草寺に次ぐ古刹であり、隣接する神代植物公園、深大寺蕎麦、最近では漫画家水木しげるの第二の故郷と言うことで観光客は今も絶えることがありません。
私が最初に深大寺を訪れたのは2021年11月13日で、親友が205年ぶりに公開される鬼大師像を見たい言い出したことがきっかけです。
当時、私は「合掌の証」という日蓮宗寺院のスタンプラリーをやっており、天台宗寺院には何の興味もありませんでした。
しかし執拗に行きたがる親友を放っておくわけにもいかず、仕方なくジョーカーなる馬鹿者が放火した京王線に乗って厭々ながら調布を訪れたのです。
ところが調布駅の構内に大好きな大映の大魔神が・・調布に大映の撮影所があったとは全く知りませんでした。
昭和生まれの怪獣映画好きには鬼大師よりも大魔神に惹かれてしまいます。
大魔神三部作は大映京都撮影所で制作された作品ですが、その素晴らしい調布駅大魔神パネルの出来栄えを見れば、おそらく誰でもこのポーズで写真を撮るに違いありません。
大魔神の他、ガメラ、ギャオス、ギロンなどのパネルもあり、大満足してもう帰りたいと思いましたが、親友は鬼大師像に固執してそれを許してくれませんでした。
仕方なく駅から深大寺まで歩きました。
鬼大師どころか元三大師すら知らない当時、人出が多く混雑するのを鬱陶しく感じながら適当に寺内をぶらぶらしました。
そもそも宝物などは専門知識が無ければわからないと愚痴を言いながら、物珍しさだけで集まった野次馬が列を成す宝物館にやっとのことで入館しました。
そこで初めて鬼大師像と対面しました。
2m近い元三大師像の胎内仏で、205年ぶりの御開帳と言うことで、どんなものかと思えばわけがわからない小さな彫像でした。
秘仏と言いながらも、「何これ?」が正直な第一印象でした。
しかしよく見ると、鬼であって人間のような怖さと微笑ましさが同居する不思議な彫像に驚きました。
寺院の秘仏であれば、如来か菩薩か明王か天部であるはずなのに、これは一体何者なのかとわくわくするような興味が湧いて来たのです。