「ここに君がいたらなあ…」と思っていたよ。 | 文武両道を目指す14歳、悪性リンパ腫になる Part2

文武両道を目指す14歳、悪性リンパ腫になる Part2

高等支援学校3年生の娘と、高校1年生の息子の母です。
勉強にサッカーに大忙しの息子がR4.3月、13歳の時に
悪性リンパ腫(Tリンパ芽球性リンパ腫)と診断されました。
8ヶ月の入院治療を終えて、いまは外来で維持相の治療中です。

息子、クラブチームを辞めることにした。

 

保育園の頃からチームに所属している息子、JチームのU-18がどれほどハードなものかはよく分かっている。医学部に入るための勉強とクラブチームの活動は、自分には両立できないと判断したようだ。

 

事前に電話で退団することはお話しし、監督にご挨拶するため久しぶりにグラウンドへ行った。

 

「おお!息子、久しぶりだな!背が伸びたんじゃないか?体調はどうだ?」

 

監督は普段通り、気さくに声をかけてくれた。

 

息子は、長い入院生活の中で医師を目指したいと思ったこと、そのために勉強に力を入れたいから退団を決めたことを、自分の言葉で話した。

 

監督は頷きながら聞いてくれ、私たちの顔をみながら話し出した。

 

「こんなことを言うと一番悔しいのは息子くんだろうけれど…試合中コーチと二人で『こんな時に息子がいてくれたらなあ』と話す場面が何度もあったよ。」

 

「うちのチームのボランチは、やっぱり息子だったな。」

「私たちは何もしてあげられなくて…申し訳ない。」

監督の目には涙が浮かんでいた。

 

 

あの頃、上手な子が揃い、他のチームからも上を目指して移籍してくる子がいる中で、息子は苦戦していた。悔しい思いをたくさんする中で自分のプレーを掴みはじめ、ようやくレギュラーに定着してきた矢先に病気でチームを離れた。

 

自分だけが置いていかれるように感じていただろう。でも、戻ってきて欲しい、君がいてくれたらなあ、と監督が言ってくれたことは、これからの息子にとって大きな力になるような気がした。

 

 

 

高校の部活でサッカーを続けるつもりだと話すと監督は

「いきなり部活できついようなら、うちのU-15の練習に顔出してもいいぞ。少しずつ体慣らしすればいい。」

「小学生たちの練習を手伝いながら動いてみたらどうだ。」

などと言ってくれた。

 

そして、息子の顔をしっかり見て言った。

「どんな形でもいいから、いつでもチームに帰っておいで。医師になってチームドクターになるのもいいなあ。子どもができたら下部組織に入れてくれてもいい。縁はずっと続いているよ。」

 

息子、いいチームといい監督に恵まれて幸せだったね。一区切りつけて、ここからまた前に進んでいこう。