声を上げる。 | 文武両道を目指す14歳、悪性リンパ腫になる Part2

文武両道を目指す14歳、悪性リンパ腫になる Part2

高等支援学校3年生の娘と、高校1年生の息子の母です。
勉強にサッカーに大忙しの息子がR4.3月、13歳の時に
悪性リンパ腫(Tリンパ芽球性リンパ腫)と診断されました。
8ヶ月の入院治療を終えて、いまは外来で維持相の治療中です。

小児慢性特定疾病医療の更新時期がきた。

 

保健所から送られてきた書類の中にアンケートがあった。日常の困りごとを記入する欄がある。

 

いま一番気になっているのは、息子の教育支援のことだ。体調が悪い中でほかの生徒と一緒に高校受験ができるのか。そもそも欠席続きで、希望の高校を受験できるのか。高校に入学しても、闘病中で体調不良のため出席日数が足りなくて、留年・退学する子どもたちも多いと聞く。

 

そして経済面。小慢のお陰で医療費はずいぶん抑えられているが、遠方の病院に通うための交通費が大変なことになっている。

 

この二つを記入して郵送しようと思ったけれど、少し考えた。限られたスペースに記入するだけでは、こちらの思いを伝えるには足りない。どちらも保健所の管轄ではないのかもしれないが、直接声を届けた方がいいのではないか。

 

重い病気を抱える家族の事情は、なかなか他の人には理解できないだろう。中でもAYA世代の患者は少数。だからこそ支援が必要だし、切実だということだけはぜひ理解してもらいたい。まず声を上げなければ。

 

アンケートとは別に、意見をまとめた用紙を手に担当部署の窓口に行った。アンケートの件でお話がしたいと言うと、保健師さんが来てくれた。

 

まず交通費のこと。我が家ではひと月にこれくらいかかっている、体調によっては通院が増えてこれくらいになるという具体的な金額をお話しした。

 

「えっ、こんなにかかるんですね。」「実は、以前から交通費の件は要望がでていたんです。」「具体的にこれぐらいかかるというお話をいただけると、市民の声として政策に反映しやすいんですよ。」「ぜひ患者側の意見として取り入れさせて下さい。」ということで、何だかいい方向に進みそうな印象。

 

そして教育支援のこと。対象者が少ないからなのか、役所に相談をする機会がないからなのか、保健師さんもあまり情報をお持ちではないようだった。それでも、こういうケースがあったとか、

こういう工夫はどうだろうとか、いろいろな話をすることができた。

 

「小児がんは、長く生きられる時代になっています。つらい闘病を乗り越えた先の将来が闘病のせいで狭くなっているとしたら、あまりにも理不尽です。」

 

「病気だから特別扱いをしてほしいのではないんです。ほかの子どもたちと同じスタートラインに立てるような支援をしてほしい。それが合理的配慮だと思うんです。」

 

そんな話をした。

 

保健師さんは熱心に話を聞いてくれ、教育関係の部署に連絡をとって情報収集をしてくれることになった。今すぐに何かが起こるわけではないにしても、まずはこんな声があるということを分かってもらえれば、と思う。

 

いま私にできることは、息子の環境を整えることと、これから先の道筋を分かりやすくしておくこと。その為に、動けることはやってみよう。