朽ちないサクラ | 知らずに死ねぬ程のものではない

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元映画暴食家最近はロコドルイベント通いがメインで、カメコのはしくれ。引退しても渡辺麻友推し。映画は時々観ている。最近は小説に挑戦している。

今日、T・ジョイ東広島で『朽ちないサクラ』を観た。

 

 

 

役所広司と松坂桃李主演で映画化された「孤狼の血」の柚月裕子による同名警察小説を映画化した作品である。

 

女子大生ストーカー殺害事件をめぐる警察の不祥事が新聞によって暴かれた。数日後、新聞記者・津村千佳が変死体で発見された。愛知県警に広報職員として勤務する森口泉は、千佳の死に衝撃を受けた。

 

泉にとって千佳は幼少の頃からの親友であった。だが例の暴露記事に千佳が関わったのでは泉は疑ったため、気まずい形で別れ、これが結果的に千佳との最期になった。

 

親友を疑った負い目を抱えながら泉は、上司の富樫と警察学校時代の同期だった磯川の協力を得ながら千佳の死の謎を追う内、かつてテロ事件を起こしたカルト教団が浮上し、やがて警察の闇にも触れて行く。

 

まあ、最近の刑事モノにはありがちなハナシで新鮮味はないのだが、泉役に扮した杉咲花による緻密な名演技のおかげで本作のクオリティが底上げされているなと思った。これは『市子』(2023)の時と同じだな。特に富樫役の安田顕とのクライマックスでの二人芝居が圧巻であった。

 

本作のキーパーソンとなった千佳役を演じたのは、現在も公開中の『辰巳』の葵役だった森田想。葵とは雰囲気が違っていたけど、腹を括った役柄という点では共通していた。

 

本作を撮ったのは、現在公開中の『帰ってきた あぶない刑事』の原廣利(ひろと)監督。これが劇場用長篇2作目である。実は『あぶない刑事』のTVシリーズ演出を手がけ、『べっぴんの町』(1989)や『夜逃げ屋本舗』シリーズ等で知られる原隆仁監督の御子息である。同じ刑事モノでも荒唐無稽なアクションエンターテイメントの後にシリアスなハードボイルドミステリーとは随分な振り幅であるが、両作に共通しているのは映像がカッコイイことだな。本作はちょっと暗めで少し青みがかった映像がハードボイルドしててよかったな。この辺は撮影監督も経験した原監督ならではのこだわりだろうか。

 

そして原監が描くヒロインがまたイイ。本作の泉役の杉咲花の真実を追う時のまっすぐで芯の強い眼差しが印象深かった。前作『帰ってきた あぶない刑事』でも土屋太鳳が演じた彩夏は颯爽とハーレーにまたがって登場し、あのタカ&ユージと行動を共にして、時には身体を張った立ち回りも披露していた。ラストのハーレーに乗って去って行く姿がカッコ良くて、タカ&ユージ思い切りお株を奪われていたな。実は隠れヒロイン映画なのではと思ったりする。

 

原作には「月下のサクラ」という続編が存在している。杉咲花の森口泉がまた観たいなと個人的に思うのだが、まず本作がヒットするのが一番だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Ameba映画部