万引き家族。 | 知らずに死ねぬ程のものではない

知らずに死ねぬ程のものではない

元映画暴食家最近はロコドルイベント通いがメインで、カメコのはしくれ。引退しても渡辺麻友推し。映画は時々観ている。最近は小説に挑戦している。

昨日、109シネマズ広島で是枝裕和監督『万引き家族』を観た。

 

これはカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞した話題作だ。因みに日本映画がカンヌを制したのは『地獄門』(1954年)、『影武者』(1980年)、『楢山節考』(1983年)、『うなぎ』(1997年)に続き5度目だ。

 

是枝監督は撮る映画はさることながら、時に言動も物議を醸すことがある。

 

僕は是枝監督の作風はちょっと苦手だし考え方に同意出来ないことがあるが、反骨心と物申す姿勢はイマのメディアに欠けているものだ。

 

観もせずタイトルだけで万引きを肯定しているとヌカす頭の悪い輩が後を立たないが、この映画を観た限り、あれに万引きを肯定している要素はこれぽっちも感じられなかった。社会の底辺で暮らす家族がもがきながら日常を過ごす様を描きながら、同時に日本で起きている諸問題を提起していて、敢えてモヤッとした余韻を残す。『誰も知らない』でもそうだったな。

 

佐々木みゆ演じるワケあり幼女が印象深い。あの家族と過ごしている時が一番無邪気な表情をしていて微笑ましかった。それだけにラストの幼女の姿がとても切なかった。まるで希望をあてどなく探し求めているかのようなぼんやりとした視線であった。是枝監督は幼女を通して日本の未来を一体どうするつもりなのかと、時の政府に対して問いかけていることは明白だ。だから安倍首相は、この映画のカンヌ受賞についてスルーを決めたのだろう。

 

これは観るべき作品だと思う。