しらさぎ二郎のお仕事遍歴 その7 大阪 | しらさぎ二郎のブログ

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写真、しらさぎ家のお料理、マンガ。この分野を中心に楽しくてタメになるブログを目指します。

 

 

 

今日のお花:山茶花

 

 

寒さが厳しくなる今の時期、東京では山茶花が随所に咲き始めています。

 

 

 

 

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シンガポールのあと、西日本の販売責任者として、思いがけず大阪に赴任することになりました。大阪は勤務するのも初めて、生活も初めてです。東京にいる子供たち2人(といっても成人していましたが)をそのまま東京に置いて、家内と二人で赴任しました。

 

住居は地下鉄御堂筋線の緑地公園駅のすぐ近くの会社保有のマンション。オフィスは堂島。

 

 

 

 

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[大阪でのお仕事]

 

 

 

キラキラ役割期待と対応

 

大阪での販売の品目は主に銅、亜鉛、貴金属などの非鉄地金、硫酸、それに金属の圧延加工製品など。加えて西日本での非鉄スクラップの調達も担当範囲です。全体の販売は東京本社が取りまとめますが、大阪の役割は主に西日本の顧客・流通対応です。個別の重要なお客様への対応、有力な問屋さんへの対応などですが、大阪はオーナー企業の多く、なかなか組織的な対応というわけにはいきません。

 

郷に入れば郷に従え、という諺がありますが、勢いゴルフ、宴席などを通して懇親を深め、取引先の人たちと親しくなり、その人たちをよく知ることが第一歩です。その上でポリシーを鮮明に打ち出してしっかりした関係を再構築していくこと。値段で競争するのではなく、付加価値を高めて顧客との間で win-win の関係を作っていくこと。そのための材料と役者は十分揃っていると判断しました。

 

大阪の土地柄や大阪商人の気質も東京とは大違いです。お店も一見さんとお馴染みさんとをしっかり区別するのと同様、お客様にお馴染みさんと認めてもらうことが必須です。海外で大きな戦略を踏まえてロジカルに積み上げてきたアプローチとも異なります。大阪を知らない私にどこまでできるか、不安はありましたが、相手は訳のわからない外国人ではなく言葉の通じる同じ日本人。誠意をもってやれば道は開ける筈です。幸い部下にはローカルな事情に詳しい優秀な営業マンが揃っていて、ずいぶん私の力になってくれました。・・・考えてみれば大阪のことを知らないのはほとんど私だけだったので、まずは私が部下やわが社のネットワークをうまく使って新しい環境に入り込んで行けばいいということだったのだと思います。

 

 

 

 

キラキラゴルフ

 

着任早々すでに前任者の時にアレンジしてあった顧客とのゴルフを主催しなければならず、そのため法人会員の名義書き換えをすぐに進める必要が出てきました。大阪の名門コース、「茨木カンツリー倶楽部」です。ところがすでに手続きを進めているにもかかわらず高額の名義書換料がネックになって、本社の決裁がなかなか下りません。予想以上の時間がかかりましたが渋る社長をなんとか説得してセーフ。

 

次に私のゴルフの腕前のチェック。シンガポールから会社に届いたゴルフクラブセットをゴルフのセミプロ級の部下が開けてチェック。「こんなドライバー見たことあらへんわ。」と言われました。それもその筈、シンガポールで買った中古クラブでしたから…。茨木のメンバーになるには実技の試験がある、ということで、この部下から厳しい指導を何度か受け、実技試験に臨みましたが、おかげでなんとかパス。ホッとしました。(後でいろいろ聞くところによると、倶楽部側でチェックしたいことは、私の腕ではなく、刺青がないかどうかをチェックするんだとか…。一緒に回った役員さん、そういえばプレー後の風呂も一緒でしたね。)

 

 

 

茨木カンツリー倶楽部(西コース)

 

(写真はネットからお借りしました。)

 

 

 

大阪の問屋の社長さんたちはオーナー社長が多く、考え方ははっきりしています。ゴルフ場は大事な仕事場で、1週間のうち半分以上をゴルフ場で「過ごす」人もいます。だから土曜日、日曜日はゴルフは原則しません。「なんで値段の高い日にゴルフせにゃならんのや。わしは平日しかゴルフはせん。日曜日は家庭サービスの日や。」この考え方、考えようによってはリーズナブルですが、東京ではなかなか理解してもらえませんねえ。

 

 

 

 

キラキラ宴席

 

大阪支社の管轄するお客様はやはり大阪の会社が多いので、北新地や南などでよくご接待させてもらいました。

 

それ以外に東は富山から西は沖縄まで、随分と広がっています。特に北九州に顧客が多く、年に何度か、九州の顧客巡りをする必要がありました。福岡から入って大分、熊本と顧客を回り、受注動向などを直接聞き取ります。その後席を変えてお酒を飲みながら少し突っ込んだ実情を聞かせてもらうのですが、回を重ねるに連れて相手方との距離が縮まってくるのは嬉しいものです。

 

大阪の大事なお客様とはときには京都のお茶屋さんを使うこともあります。このような時のために普段使わないお茶屋さんもキープしておかねばなりません。バブルの頃の名残だとは思いますが、私が赴任した当時はまだそのためにお茶屋さんに盆暮れの付け届けをするようなこともやっていたのを覚えています。

 

 

舞妓さんと一緒

 

コメントは差し控えさせていただきます。

 

 

キラキラWin-Winの関係

 

例えば硫酸のような規格品や新たに作り込んだ高品質の材料を販売する場合、力を発揮してくれるのは問屋さんです。メーカーの直販では、規格品だと品質での差別化が難しく、また高品質の新しい金属材料などは顧客の評価までたどり着くのが大変です。その結果お値段の勝負になってしまいがちです。お値段の勝負は大阪のように「要はなんぼで売ってくれるんや?」という世界では即効性はあるのですが、競争も激しい中、売り手にとって長続きさせることは難しいものです。

 

そのような時に、顧客企業に入り込んでいる実力のある問屋さんを起用することが肝要になってきます。製品の販売に力を発揮している問屋さんから持ち込まれる話は顧客も無視することはできません。検討を開始してくれればチャンスが拓けてきます。まあ、ごく当たり前のことですけどね…。でも良い結果を出してくれた問屋さんには手厚く報いることによって、顧客との関係の一層の強化を図っていくことができます。

 

営業対購買、という構図からいつも始まるわけですが、ここから一歩進めて顧客の技術者や開発者と話ができるようにすることも大事にな戦略の一つです。そのためにはこちら側も必要に応じて工場や開発部署から技術者を引っ張り出して、より多様な関係を作り上げていくことを通して、お互いにとってプラスになる方向性が見えてくると思います。

 

 

 

 

 

キラキラスクラップ業者とのお付き合い

 

北九州には非鉄スクラップを手広く取り扱っている会社がいくつかあります。社長さんたちは一代で会社を築いた人も多く、お金持ちです。そのうちの一人と親しくおつきあいさせてもらいました。いつも口癖のように、「自分の命には限りがある。生きている間にゴルフは何回できるか。年100回として5年で500回。1回のゴルフに10万円使っても5千万円使うのが精一杯じゃ。あとはうまいもんを食べても使い切らん。だから今日はオレの奢りだ。」と言ってたのが思い出されます。そのくせ大阪の泊まりはいいホテルを予約しようとすると、そんな贅沢なもんはいらん、と言って1泊数千円のビジネスホテルに泊まるのが常でした。

 

娘婿の公認会計士さんに跡を継がせようとしましたが、結局娘婿がスクラップ屋の仕事に馴染めずに北九州から飛び出してしまいました。おそらく税務対応で意見が割れて、修復できなかったのだろうと思います。

 

この社長さん、その後社長職を独身のお嬢さんに譲り、自分は会長職にとどまって頑張っておられましたが、何年か後に80歳前後で亡くなられました。ご冥福をお祈りします。結局どこまで使い切ることができたか、お聞きしてみたかったところです。でも亡き後の体制が固まっていなかったために、会社内部では事業の継続を巡って随分と揉め事が尾を引いたようにも聞きました。

 

 

 

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[大阪での生活あれこれ]

 

 

キラキラ緑地公園のマンション

 

梅田から地下鉄御堂筋線で15分くらいで緑地公園駅です。この駅から歩いてすぐのところにあるマンション。名前はなんとグランドマンションと言います。シンガポールの友人たちに新しい大阪の住所を教える時に、「Grand Mansion」と書くと「ワオー!」という反応があるので、とても気が引けました。というのも、シンガポールの人たちの感覚では、Mansionという言葉自体、大邸宅というイメージがあるのですが、これにさらに Grandがつくとこれは凄い、ビバリーヒルズにある大邸宅のようなところに住むのか、と思ってしまうわけです。

 

でもとても便利で住みよいところでした。すぐ近くに服部緑地公園があって素晴らしいお散歩コースです。

 

 

緑地公園のマンション

 

(写真はネットからお借りしました。)

 

 

 

キラキラ梅田のデパ地下

 

梅田の地下街、特に阪神デパートの地下街は食材や食品の品揃えが豊富でモノも良く、買い物には便利なところです。近くの黒門市場に行けばさらになんでも揃いましたが、特にお野菜が新鮮で種類も豊富でした。シンガポールでいろいろ探し回って結局代用品で我慢したことが多かったことを思うと、まるで天国です。

 

シンガポールでは売り場で何か探しても見つからないので店員さんに聞くと、素っ気なくアゴでしゃくって「あっちにあるよ」、で終わりましたが、そこは大阪、店員さんがその品物がある場所まで自分で案内してくれ、さらに「お客様がこの品物をお探しですよ。」とその売り場の人に引き継いでくれます。なんと素晴らしい対応!さすが大阪です。

 

 

阪神のデパ地下

 

(写真はネットからお借りしました。

 

 

 

キラキラ天神祭

 

7月末は天神祭です。

天神橋から大きな平底の見物船が出ており、我々も取引先の方からご招待いただきました。お弁当を肴にビールをいただきながら大川を2時間ほど時間をかけてゆっくり上り下りします。花火が真上に見えます。途中たくさんの他の見物船とすれ違うたびに、「大阪締め」で挨拶を交わします。これがまたなかなか風情があって面白い。「うちまひょ、ポーン、ポン、もひとつせ、ポーン、ポン、祝うて三度、ポポンのポン。」

 

 

天神祭

 

(写真はネットからお借りしました。)

 

 

 

 

キラキラ旅行

 

大阪は関西の中心地だけあって、どこに旅行に出るにもとても近くて便利なところです。京都、奈良、伊勢志摩、出雲、徳島など、お休みを利用して随分小旅行を楽しむことができました。

 

このころはまだ写真には興味がなく、ほとんど撮ったものがなくてアップできないのが残念です。

 

 

 

京都の休日

 

 

 

 

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キラキラきつねうどん

 

大阪で美味しかったのは「きつねうどん」です。薄味でダシが効いていてとても美味です。どのお店で注文してもあまりハズレはありません。

 

うどん屋さんで「たぬき」を注文すると油揚げがのった「きつねそば」が出てくるのにはびっくりしました。大阪ではどのカウンターにも揚げ玉が置いてありますが、東京でいう「たぬきうどん」を食べたい時は、素うどんを注文してこの揚げ玉を入れればよいのです。

 

 

大阪を懐かしんで今日は関西風きつねうどんを作ってもらいました。(もっともわが家のうどんは家内の母親が徳島出身なので、いつも関西風の薄味ですが…。)

 

 

きつねうどん

 

 

 

 

 

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残念なことにいろいろ事情があって、大阪滞在はわずか1年半と、とても短いものになってしまいました。仕事の上でも、また個人的にも親しくお付き合いできる人が増えてきたところでしたので、心残りでしたが、仕方がありません。ゴルフの腕も今ひとつ伸びませんでした。

 

でも大阪で仕事ができたのは、私にとって大変貴重な財産になりました。また大阪でたくさんの素晴らしい人たちとお付き合いすることができ、さらには国内の「異文化」も体験することができました。ありがたいことです。

 

大阪から今度は5年ぶりに東京に戻ることになりました。

 

 

 

 

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ご訪問ありがとうございました。