前回記事は,なぜ奈良盆地のJRと近鉄とが まるで違う路線配置になっているのか,長年の謎が解消できた話でした.
あの記事では『奈良でJRに乗ることはほとんどない』と書きましたが,それで思い出したことがあります.
なにしろ ぞるばは 古墳に興奮するタイプなので,関西にいた頃は,奈良で古墳発掘説明会があると聞けば必ず参加していました. その際には 奈良までは近鉄で行くものの,実際に古墳のあるところに行くのは 奈良でJR桜井線(=現在の「まほろば」線)に乗り換えることがほとんどでした.
なぜそうなるのか? 奈良盆地内の移動は断然近鉄の方が便利なのに?
それは明らかです.
奈良の古墳の「最寄り駅」は,JRの駅だから
つまり奈良の古墳(茶色)のあるところには ほぼ必ずJR(青)が通っているのです. 実際 奈良の古墳の分布図を見るとこうです.
盆地のど真ん中にある古墳は少なく
古墳に関して言えば 近鉄はあまり役に立たないのです.
特に盆地東側の古墳の密集ぶりは目をひきますが, その密集地帯に沿うように 盆地東側を走るJR桜井線はこれら古墳のどこに行くにも便利でした(本数は少ないですけどね).JR桜井線は,まるで古墳見学するために敷設したんじゃないかと思えるほどです.
なぜ一致するのか
前回記事にも書いたように,奈良のJR(当時は国鉄)線を 盆地を取り囲むように鉄道を敷いたのは,『奈良駅から出発してなるべく水平になるように』が理由でした.当時の蒸気機関車は 非力だったので,上り下りをできるだけ避けたのです.その結果,奈良のJR線は,海抜標高で40~50mのところだけを選んで走るようになったのです.
だとすれば,古墳が作られた場所も同じ理由で選定されたのではないか,つまり盆地の低部をやや見下ろす 海抜40~50mにどうしても作らねばならない 何か必然的な理由があったのではないか.
同じ理由だから 同じようなところにある,こう考えられないのでしょうか. ではなぜ古墳は『平地から少し上の 小高いところ』に造る必要があったのでしょう?
探求は続く