先日、日本テレビのニュースで、『日本テレビの取材に、石油元売り各社が加盟する石油連盟の鈴木専務理事が、「備蓄放出と代替調達だけでなく、需要抑制策が必要になってくる」として、政府に迅速な対応を求めた』という記事を見ました。23日の日テレNEWSの記事「石油連盟専務理事「早いタイミングで需要抑制策の検討を」政府に迅速な対応求める」では、
石油連盟・鈴木英夫専務理事
「中東に原油を依存している国で需要抑制策をとっていないのは日本だけ。いくら備蓄が長いといってもなくなりますから、できるだけ早いタイミングで(需要)抑制策も検討していただきたい」
政府は、ホルムズ海峡の封鎖を受け、石油備蓄の放出に加えて、アメリカなどから原油の代替調達を進めていますが、石油連盟の鈴木専務理事は、「代替調達などで100%まかなうのは非常に難しい」とした上で、「安定供給をできるだけ長く持続するために、一定程度の需要抑制策が必要だ」と述べました。
と報じています。
例年の日本の需要を賄うことができないので「需要抑制策」が必要だということです。
ところが、7日に高市首相は、
『国内の石油について、備蓄放出や代替調達で「年を越えて供給を確保できるメドがついた」と明らかにした』
と7日の読売新聞の記事「国内の石油「年を越えて供給を確保できるメドついた」…高市首相、今後節約を求める可能性「排除しない」」が報じていました。来年年明けまで、8、9カ月は問題ないと受け取れます。しかし、やはり問題があるのか、24日のアゴラの記事、
石油連盟が節約を呼びかけたら経産省が「石油は足りている」と口止め
では経済産業省から石油連盟に口止めがあったこと、それがSNSで話題になっているそうです。
ところで、問題の原因のアメリカとイランの問題ですが、パキスタンの仲介で直接対話の方向で努力していますがなかなか実現しません。
BBC 2026年4月26日: トランプ氏、特使のパキスタン派遣を中止 イランとの協議めぐり
CNN 2026年4月27日: イラン外相、パキスタンからロシアへ出発 米との対面協議への期待薄れる中
イランはアメリカと直接対話するつもりはないような行動をとっています。そのため、アメリカも派遣取りやめという形になりました。昨年6月22日のイラン核施設攻撃、今年2月28日からのイラン大規模攻撃の前にアメリカはイランと交渉、会議をしていました。平和的に解決する方向で進んでいたにもかかわらずどちらも武力行使を行いました。トランプ大統領流のディール、力で圧力をかけて交渉を有利に運ぼうとの考えだったと思います。
しかし、これは逆効果だったようでイランは余計に頑なになってしまったようです。何しろ交渉している途中で「攻撃」されるわけですから。普通の人だったら交渉の意味がないと考えますよね。だから、イランは「直接対話」するつもりがないということでしょう。とはいえ、世界一の大国アメリカとまともに戦うと負けるのは確実でしょうから戦いたくないのも本音だと思います。直接アメリカの艦船、基地を攻撃しても効果がないので、周辺のアメリカの同盟国の石油関連施設、浄水処理施設を攻撃しています。そして、ホルムズ海峡の実質封鎖です。しかし、この攻撃、処置は周辺国の反感を買うだけです。イランはアメリカ、イスラエルだけでなく周辺国とも交戦することになる危険が増えることになり、得にならないばかりか困った方向に向かっていることになります。イランにとっては不利な方向です。
アメリカがイランへの大規模攻撃を行った理由は色々言われていますが、11月の中間選挙で共和党が勝利したいためだということもその一つです。戦争は国民の愛国心を呼び起こします。それを使って共和党支持を増やす、特にキリスト教福音派に受けがいいと考えて実行したのでしょう。ところが戦費が増大し、石油高騰のために物価が上昇して支持率が低下しています。共和党の議員からも反対意見が出てきています。このまま戦争激化の方向に進むと国内の反感が増える可能性が高くなるでしょう。そのためか、トランプ大統領は強気の姿勢を崩してはいませんが、攻撃再開の脅しをかけますが結局は停戦期間の延長を続けています。
結局どちらも国民に弱腰の姿勢を見せるわけにはいかない状態です。しかし、交戦を激化すると泥沼になる可能性が高いのでそうするわけにもいかないというところではないかと思います。イランとしてはこのままの停戦状態で進むことがかなり良い方向でしょう。トランプ大統領としてはもう一段の大規模攻撃、地上攻撃に進むと泥沼になる可能性があります。アフガニスタンやイラクの二の前になる可能性があります。また、そのために議会に予算請求が必要になるという話もあるのでこれも一つの障害です。中間選挙までは何もできないのではないかと思います。トランプ大横領は、大統領権限で法の穴をつく方法を探しているのかもしれませんね。トランプ関税のように。とはいえ、中間選挙まではそれほど強気の行動もとれないのではないでしょうか。
素人の考えなのでアメリカとイランの問題は今後どうなるかはわかりません。しかし、すぐに解決することはないと思います。中間選挙が一つのマイルストーンでしょうがその後も続きそうです。ということは、来年頭に石油不足が解決していることはないと考えた方がよいと思います。この前に解決していれば「良かったね」で済みますが、解決していなければその時に対応する必要が出てきます。対応策を検討するのが遅れれば遅れるほど有効な対応策は減っていきます。対応策を実施する期間が減るわけですから有効であってもその効果が出るまでに時間が必要です。そういう意味で石油連盟専務理事の需要抑制策の検討要請は当然だと思えるのですが。しかし、全てのエネルギーや材料の根幹の石油の「需要抑制」をすることは経済を冷やす効果があります。ここ2年のコメ不足の比ではないでしょう。しかし、「積極財政」、「成長投資」、「強い経済」を掲げる高市政権にとっては反対の政策になるので検討すら無理なのでしょうね。来年、「困ったな」とならなければよいのですが。