アメリカには戦争権限法という法律があるそうです。今回のアメリカ、イスラエルがイランを攻撃した戦争の期限が5月1日だったそうです。1日のロイターの記事『米政権「イランとの敵対行為終結」、戦争権限法の期限巡り』によると、
1973年の戦争権限法は軍事行動について、60日以内に、1)終了させるか、2)議会の承認を求めるか、3)軍の安全のため「やむを得ない軍事上の必要性」を理由に30日間の延長を求めるかーーのいずれかを行うよう大統領に義務付けている。
イランとの戦争は、イスラエルと米国が2月28日に実施した空爆で始まった。トランプ氏は48時間後に議会へ正式に通告し、5月1日が60日間の期限となっている。
ということです。終戦の可能性もあったということのようです。
多くのメディアで先月末から報じています。1日のNHK AMラジオのNHKジャーナルでも取り上げていました。この中で解説委員が「トランプ大統領は今回のイラン戦争を『戦争』と呼ばずに『軍事作戦』と呼び戦争だと認めていない。同じようなことをロシアのプーチン大統領がウクライナ戦争で言っている」と説明していました。
そこで、調べてみました。2026年3月30日のハフポストの記事『トランプ、イラン戦争を“戦争”と呼ばない理由を明かす。「違憲行為を認めたようなもの」との批判も』では、
3月27日にフロリダ州で開催された「未来投資イニシアティブ・プライオリティ・サミット」の基調講演の中で「私は戦争を始めた」と何度も「戦争」と言いながら、
「もちろん世間はそれを戦争と呼びます。しかし私は軍事衝突と呼ぶ」と自らの言葉を訂正。「それには法的な理由がある」と述べた。
「私は、我々は戦争をしていると言いましたが、これは軍事作戦と言った方がいいかもしれません」と再び言い直した。
「私が“軍事”と言うのは、軍事作戦であれば何の承認も必要ないからです。戦争となると本来は議会の承認を得なければいけない。ですから私は軍事作戦と呼ぶのです」
とトランプ大統領が「軍事作戦」と呼ぶ理由を説明したそうです。「戦争」だと議会の承認が必要だから「戦争ではない」ということのようです。
一方、2022年3月3日のBBCの記事『ウクライナとの「戦争」と言わないロシア国営メディア 信じる国民と信じない国民』によると、
「戦争」や「侵攻」「侵略」という言葉を使わず、平和実現のための武力行使、「特別軍事作戦」
だというのがロシア政府の公式見解だそうです。そして、このロシア政府の公式見解を信じている人もいるし、信じられなくなった人もいます。
同じようにアメリカでもイラン戦争に反対の意見が多くなっているようですが、賛成の意見も多いことは確かなようです。
同じようなことを日本が戦前の「志那事変」で行っています。ウィキペディアの「志那事変」によると、
1941年(昭和16年)12月までは、双方とも宣戦布告や最後通牒を行わなかった。日本側はアメリカの中立法による全面的な対日貿易禁止を恐れ、中国側はアメリカからの援助停止を恐れたためとされる。
と説明しています。
日本も当時の中華民国も宣戦布告していませんし、軍事衝突だというスタンスです。
政府、為政者というものは自分の勝手な理屈を作って戦争を行います。戦争の理由もつくり出しています。アメリカ、イスラエル、イランも、ロシア、ウクライナも、日本、中華民国もです。
これは何も「国」に限りません。いじめや、セクハラ、パワハラなどのハラスメントなども共通点があると思います。いじめの場合は「ふざけていただけ」、「からかっただけ」、「冗談だった」などという言い訳をよく聞きます。セクハラだと、「スキンシップの範囲」、「コミュニケーションの範囲」、「親しみを込めただけ」、「冗談だった」など。パワハラだと「指導のつもりだった」、「成長を期待していた」、「熱心さのためだった」など。このように人は自分を「言葉」、「名称」などで正当化します。「言葉」で「重大さ」を軽減しています。言い訳、理屈を作って悪いことだ、犯罪だと認めないのです。
トランプ大統領も「戦争」という言葉を使用しないことで「重大さ」を軽減し、法律に違反していないことを強調しています。結局、大統領も同じ人間だということです。政治をするのは人間なので当然なのかもしれません。私もこのようなずるいところもあるし、同じことをしてしまうこともあります。そういう意味では非難できないです。しかし、世界一の大国の大統領なのですからもっとしっかりしてほしいと願ってはいけないものでしょうか。その前にそのような人物を大統領にした国民を非難すべきなのか。難しい問題ですね。
アメリカでは正式の宣戦布告の権限は連邦議会にあるそうです。ところが、歴代の政権は、戦争権限法の60日間の期限を利用して議会の承認なしに戦争を始めていたとNHKジャーナルの解説委員が説明していました。今回のトランプ大統領だけではなかったわけです。この法律がいいように利用されてきたことになります。根本的な問題だったようです。「立っている者は親でも使え」の精神ですね。
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