Yahoo!ニュースで29日のTRILLの記事、
1円と5円と10円はお断り?お賽銭への“注意書き”に「これは知らなかった」「確かにその通り」
を見つけました。
SNSでは「銀行の硬貨入金に手数料がかかることを理由に、お賽銭に使う硬貨を指定する張り紙がされていた」という投稿が注目を集めています。
こうした張り紙は一カ所に限らず、各地で見られるようです。
このような「1円、5円、10円硬貨」の使用を制限している神社、お寺の事情は、
銀行によっては、硬貨の枚数に応じて手数料が発生します。例えば、ゆうちょ銀行では硬貨501枚を窓口で入金する場合、1,100円の手数料がかかります。そのため、1円玉で510円分入金したとしても、手数料の方が上回ってしまう計算になります。
こういった事情から、神社やお寺の中には、
電子決済でのお賽銭を受け付けているところもあり、PayPayの公式サイトでも利用方法や対応している場所が案内されています。
と報じています。
折角お賽銭を入れてもらっても銀行に持ち込むと手数料の方が高くなるので赤字になります。そのため、お賽銭の硬貨に制限を設けているということです。税金はかからないとはいえ赤字は困るので理解はできます。
これに対してSNSの意見も様々なようです。「迷惑がかかっていたとは思わなかった」、「小銭は入れないようにしないと」、「気持ちの問題ではないか」、「入れたくなくなる」など。
様々な意見が出るのは当然だとしても神社やお寺のせいではありません。「インフレ」が原因です。「インフレ」をお金から見ると、モノやサービスに対して「お金の価値が下がっている」ことになります。お金を入金する「サービス」の価値が上がってしまい、硬貨で入金するお金の額を超えてしまったということです。銀行が儲けるところがなくなってきたので、経費が掛かる硬貨の取り扱いにも手数料を徴収することにしたと言うことです。
入金作業にも経費が掛かるので手数料を取ろうという姿勢は間違ってはいないです。そうであれば、紙幣の場合でも手数料を取ってもおかしくないことになります。しかし、取ってはいません。紙幣まで取ってしまうと入金、預金が集まらなくなるからだと思います。紙幣でも経費はかかるので、銀行の判断として紙幣の場合は取らないとしているだけです。
経済は素人ですが、今後もインフレは続いていくでしょう。政府も日銀もそのような政策をしています。今後もますますお金の価値は下がっていきます。遠い将来、硬貨や紙幣がどのような種類になっているのかはわかりませんが、入金する千円札にも手数料が取られるようにならないとも限りません。硬貨や紙幣を「モノ」と考えて、それを集める経費が集める「モノ」よりも高くなるようになれば、手数料徴収となるのは当然の流れです。
ところで、お賽銭の世界も電子決済、PayPayやクレジットカードの波が入って来ています。少額決済の世界にも進出しています。一方、銀行は、子銭、硬貨の取り扱いに手数料をとることで距離を取り始めています。「モノ」としての硬貨や紙幣を集めると考えた場合、硬貨でなく高額紙幣を集める方が効率が良い、利益が出ることになるので硬貨を切り捨てるのは当然の行動です。切り捨てた硬貨の世界、マーケットに電子決済が入って来ているという形になります。そして、同時に電子決済、PayPayなどの電子マネーへの給与振り込みが行われるようになりました。今後、銀行が行っていた業務の世界に電子決済が広がっていく可能性が出てきています。
クレイトン・M・クリステンセン、マイケル・ライナー著「イノベーションへの解」という本があります。この中で「ローエンド型破壊」を『本来のバリューネットワークのローエンドにいる、最も収益性が低く、ニーズを過度に満たされた、つまり「過保護にされた」顧客を攻略するもの』と説明しています。低価格で利益が薄いマーケットを攻略することです。例えば、アメリカのデパートに対するディスカウント小売業者です。ディスカウント小売業者は、顧客が使い方をよく知っていて、かつ、全国的なブランドの耐久消費財、ペンキ、金物類、台所用品、スポーツ用品などを取り扱ったことで、デパートの顧客を奪いました。一方、デパートはこれらの取り扱いを減らして、利鞘の厚い化粧品や最新ファッションの衣料品に注力していきます。利益率が悪い商品を切り捨て、利益率が良い商品を増やすことで利益も大きくなります。論理的にも正しい選択です。しかし、利益の増加も一時的なもので、その後ディスカウント小売業者に利益率の良い商品にも浸食されていったと言います。
銀行も将来このような結果にならないとも限りませんね。どうなるでしょうか。