先月開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)はネットフリックスが独占配信しました。このことで、「スポーツ大会の放送のあり方を考える有識者会議を設立する」ことになったとテレビ、新聞などが報じていました。24日の読売新聞の記事「人気高いスポーツ放送のあり方議論、有識者会議設立へ…ネットの独占配信増加巡り」によると、

スポーツ中継のインターネット配信を巡り、政府が、人気の高いスポーツ大会の放送のあり方を考える有識者会議を設立することが23日、わかった。国民が手軽に視聴し、スポーツに親しめる環境を検討する。

関係者によると、有識者会議は、スポーツ庁と総務省が早ければ5月に設け、スポーツ界や放送界の関係者らで議論する。

英国などでは、五輪やWBCのような人気イベントは公益性が高いなどとして、国民が無料で視聴できる「ユニバーサル・アクセス権」を法律で定めている。

ということです。
「公益性が高い」スポーツ、イベントは「ユニバーサル・アクセス権」で守られるべきだということでしょう。

24日のテレ朝NEWSの記事「WBC独占配信に「今後配慮を」 文科大臣が主催者に書簡」は、

松本文科大臣は24日の閣議後会見で「国民のスポーツを見る機会について心配の声をいただいておりました」と述べました。
また、WBCや東京五輪の主催者に対して書簡を送り、より多くの国民が大会を見ることができるよう今後の配慮を求めた


と報じました。


25日のCNNの記事サッカーW杯決勝のチケット、3.7億円で転売では、

FIFAワールドカップ2026のチケットの転売について
7月19日に米ニュージャージー州のメットライフ・スタジアムで行われる決勝戦、ゴール裏の席が4枚、しかも全員並んで座れるチケットが
1枚229万9998.85ドル(約3億6500万円)の値が付いている。4枚合わせると900万ドルを超える。
カテゴリー1のこれらの席は下層スタンド最上段、ゴール裏で、出口の一つの近くに位置している。

その2列前の席は1万6000ドル強で、よりピッチに近い席は2万4000ドル以上でそれぞれ転売されている。

と報じました。
これらの転売チケットは「国際サッカー連盟(FIFA)のマーケットプレイスで販売されている」と言います。このマーケットプレースは、「人々がチケットを転売できる公式プラットフォーム」だそうです。

転売前の正式販売はというと、

FIFAは先週、決勝戦の公式チケットを公式サイトで1万990ドルで新たに発売した

そうです。
FIFAは、

「FIFAの価格戦略は各試合の市場需要を反映し、幅広い価格帯とカテゴリーを網羅している」
「チケットは段階的に販売されており、最も手頃な価格帯のカテゴリー4に加え、決勝戦を含む各試合につき、参加チームを通じて60米ドルのチケットが最低1000枚ずつ販売されている」

とCNNに語ったそうです。
また、「自分たちを非営利団体とし、得られた収益はサッカーの発展を支援するために再投資される」と語ったそうです。

1ドル160円だとすると60ドルは「9,600円」です。これだと手ごろな価格でしょう。席の場所にもよるでしょうが安いと言ってもおかしくないです。転売時の価格は桁が違うので問題外です。通常販売時の1万990ドルだと「約176万円」になります。こうなるとお金持ちのイベントですね。


そういえば、オリンピックが商業主義に変貌したのは1984年のロサンゼルスオリンピックからだと言われています。最近では若者に人気がある競技、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン、スノーボードなどが新競技に加わっています。このような新競技は、観客数の増加、放映権ビジネスに影響するからでしょう。サッカーは世界的な人スポーツで、すでに商業主義に陥っているのですが、今年の北米大会から新たな流れが起こるかもしれないですね。


日本ではスポーツ庁が2015年に設置されました。国民の健康増進という目的もありますが、それよりは国際競技力の向上、スポーツ産業の活性化(企業への支援?)、トップアスリート支援に力を入れていると私には見えます。毎回のオリンピックでは「メダルをX個獲得した」ことを目標にし、それのみが話題になっていますから。それに乗っかっている国民側にも問題があるのでしょうが。こう考えるとFIFAとどう違いがあるのでしょうか。スポーツ庁は国家予算がありますが、それがないFIFAはビジネスから利益を得ているだけです。


FIFAワールドカップの話はテレビの放映権の話ではないです。そのため、視聴する権利、ユニバーサル・アクセス権とは直接関係ないのかもしれませんが、スポーツ、イベントを観戦する、観る権利という意味では同じだと思います。結局はユニバーサル・アクセス権と「利益を得る権利」との争いです。自由主義経済、資本主義経済の現状では「利益を得る権利」が優勢になると思います。どこまでの利益が許されるかの話になるだけですから。最終的には誰がその基準を判断するかになります。ワールドカップだとFIFAですね。WBCの場合は放映権なので総務省が行政処分などで影響力を示そうとしているのでしょう。しかし、視聴できなかった国民の意見というよりは、放映権を取得できなかったテレビ局側からの圧力が大きな原因だと思えてなりません。国民の場合だとネットフリックスと契約して有料で視聴すれば視聴はできたわけですから。1試合1万ドルというようなとんでもない金額ではないですから視聴できました。結局ビジネスの話だと思えてなりません。そこで国が出てくる意味があるのでしょうか。いつもは、自由主義経済だ、資本主義経済だと主張しているのに。

企業が暴利を求めすぎると消費者側の支払い能力を上回ってしまい購買できなくなるので、企業は儲けることができなくなります。そのために、企業はとんでもない暴利を求めることはできなくなるはずです。それまで待てないという話は別になりますが。それよりは中間層がなくなって、購買することができる富裕層と、全く購買できない貧困層に完全に分離してしまうことになる可能性はあります。こうなることは心配ですね。