以前5月16日のブログでニューカレドニアの暴動について書きました。
マクロン大統領が訪問して火消しに躍起になっていましたが、その後どのメディアも取り上げない状態でした。どうなったのか気になっていたところ、ロイターが以下の記事を出しました。

ニューカレドニアで再び暴動、独立派指導者の身柄引き渡しに抗議

「独立運動指導者クリスチャン・テイン氏らが(5月の暴動の)暴力行為をあおったとの検察が主張」
「収監されていたテイン氏ら関係者7人の身柄が6月22日夜にフランスに引き渡された」

ことに抗議して、6月24日に

「独立派は警察車両を燃やし、道路を封鎖した」
「町役場に放火」

と、首都ヌメアのフランス高等弁務官事務所が明らかにした。
また、現地の市議会によると、

「消防車両が銃撃を受けた可能性があり」
「一部の学校が休校となった」

とのことです。また暴動になったということです。

マクロン大統領が収拾したのではなかったのでしょうか。このロイターの記事以外には情報を見つけることができませんでした。欧米の政府に忖度する日本のメディアには期待できないのは当然です。しかしAFPなんかが報道するべきだと思いますが。ロイターはイギリス系だからでしょうか。日本は横においても欧米のメディアは弱いものにも目を配ってくれるものだと思っていましたが、そんなことはないようです。

5月の暴動を扇動したかどうかはよくわかりませんが、憎しみの連鎖が原因で発生しているのですから引き渡すのはいかがなものかと考えます。他に手がなかったのでしょうか。


ニューカレドニアの植民地の歴史に関して記事を見つけました。

仏領ニューカレドニアの差別と血に濡れた独立運動

3ページありますが、簡単なもので、そして正しいのかどうかは不明の記事ですが、植民地によくある経緯です。

「ニューカレドニアがフランス領になったのは、1853年」
「1931年のパリでの植民地博覧会にあわせた「人間動物園」では111人のカナック(ニューカレドニアの先住民)が「展示」された」
「パリにつくと檻に入れられ「本物の人喰い人種」だとされ、生肉を食べさせられた」
「もちろん、人喰いではない」
「フランス領になった後、カナックは激しく抵抗、虐殺もあった」
「そのためにもっとも粗暴で未開だとされ」
「19世紀末に確立された人種のヒエラルキーでは、ポリネシア人よりも低くみられ、カナックは最低にランク」

「ニューカレドニアには、世界第4位といわれるニッケル鉱山があり」
「第2次大戦後、戦後復興と経済成長の中で脚光を浴びた」
「フランス本土からはもちろん、インドシナやアルジェリアの独立で追い出され、行き場のなくなった引揚者もいて、かえって入植者は増えた」

資源があるから、植民地だからということで本国フランスなどからの入植者が増えたということです。その結果、
「1970年代にカナックはニューカレドニアの総人口の過半数を割り」
「2014年の国勢調査では39.05% 、ヨーロッパ人は27.24 %」

となりました。先住民「カナック」の土地に住む人の多くはカナック以外の民族になったということです。
このように、

「植民地には、宗主国の人(およびそれにうまく取り入って支配層になる現地有力者)と一般先住民との間の差別構造がある」

そして、
「よほどの事情がない限り支配層、アッパークラスになれるから来る(入植する)」
「一度住みだせばそこが生活の場であり、必死で守り続ける」

ために、入植者が支配層、先住民が被支配層の構造を形作ります。この現象はどこの植民地でも同じですね。

このような積み重なった怨念が抗議行動になっています。確かに現象としては「暴動」ですが、単にそう表現していいのでしょうか。そこには暴動を起こした側への「非難」が含まれていると感じますが。


そして、この記事の中で、2018年11月4日のフランスからの独立の是非を問う住民投票で独立が否決された後のある独立反対派の会合で、

「「明日の朝起きてもまだフランス人でいられる」と喜ぶ混血の住民」
「だが後ろにいるのは白人ばかり」
「この会の会長も白人」(カナック族は肌は黒い)

の内容を国営テレビが放映していたそうです。この喜んだ「混血の住民」はきっと「支配層」か、「支配層」に近い、関係がある人に違いありません。だからこそ「喜ぶ」ことができるのです。そうやって「支配層」は「被支配層」を分断します。
そして「正直拍子抜け」だったニュースなのに、この独立反対派の映像を放映したのが「国営テレビ」なのです。明らかに意図を感じます。民主主義の母国「フランス」であってもです。

これを考えると「民主主義」という言葉はそのまま信じてはいけないということを感じます。言葉ではなく、その意味、内容をじっくり吟味する必要がありますね。