6月20日に告示された東京都知事選(7月7日投開票)は

「立候補者は過去最多の56人」

になりました。
県議会議員、市議会議員の定数よりも多い人数です。定員と候補者数は関係ないですが、今年は異常ですが前回2020年は22人が立候補しました。私には、この時点でも「異常」なものを感じました。「泡沫候補」と言われる人たちが多すぎます。こういう「泡沫候補」の立候補を事前に防ぐ意味で「供託金」を取ることにしたはずです。ところが、東京都知事選挙に関しては抑止効果がなくなったということでしょう。

その結果が「56人」です。そのため、選挙ポスターの掲示板の枠が足りなくなりました。

「都の選挙管理委員会が都内1万4000か所余りに設けた選挙ポスターの掲示板の枠は最大48人分」
「届け出順49番以降の候補にクリアファイルを支給してポスターを貼ってもらい、それを掲示板の下端か、環境上それが困難な場合は右や左の端、または上端の、外側に掲示する形に画びょうなどで固定してもらう」


という異例の対応になりました。「対応しておく必要があった」という話もありますが、法政大学大学院・白鳥浩教授は、

「売名やビジネス目的で立候補した人が多数いることも大きな要因のひとつだ。公職選挙法はSNSで広告収入があることなどを想定して、つくられていない。選挙期間中のSNSの広告収益を止めてもらったり、ポスター掲示板や政見放送の、営利目的の利用を禁止したり、ルールづくりを行うことが必要だ」

と指摘しています。
昭和の昔の国政選挙では「選挙一回で家が一軒建つ」という嘘か本当かわからないような話を聞いたことがありますが、令和の選挙の商売ですね。どちらにも問題があります。選挙を商売にするべきではないと思います。「選挙を身近にした」というプラスの面があるのかもしれませんが、選挙を商売にする行為は禁止すべきです。
欧米ではこの辺りはどうなっているのでしょうか。

そして、5月19日のブログに書いた「つばさの党」の黒川敦彦代表も立候補しています。

「衆院東京15区補欠選挙を巡る公選法違反(自由妨害)容疑で逮捕」
「警察署の留置施設」に勾留

されているのにです。裁判もまだなので立候補できるのでしょう。明らかに当選でなく、SNSなどの利益を目指してますよね。

「逮捕されないよう活動する」

とおっしゃっていますし。選挙活動で商売をしますという意味でしょう。



その上、クリアファイル対応以外にもポスターでも問題が発生しているようです。

候補者と無関係のポスター、有料サイトに誘導のQRコード…東京都知事選挙で苦情殺到

都知事選ポスター問題「規制を」 有権者困惑、選管に苦情殺到

都知事選 選挙ポスターに苦情や疑問など1000件以上 異例の事態

同一ポスターが掲示板埋める N国党の活動影響か

選挙ポスター掲示板に、

「候補者と無関係なポスターが大量に貼られている」
「QRコードで有料サイトに誘導するポスター」
「ほぼ全裸の女性の姿を大きく写したポスター」
「さまざまな人物の画像とともに、デザインの同じピンク色のポスターがずらり」
「半分ほどの枠が同一のポスターで埋め尽くされている」

など。
総務省は、

「ポスターで他の候補者の選挙運動をすることや、虚偽があった場合は処罰の対象」
「内容を直接制限する規定はなく、事前のチェックもない」

ということです。つまり、現状禁止できないとことです。こちらも対応が必要だと考えますが。


このような騒動を見ていると、選挙も「ビジネス」だということです。日本人が、選挙を音楽コンサート、音楽イベント、スポーツイベントと見なしているという感じを受けます。イベントで利益を得ることが第一なのです。逆に言うと「選挙の結果」を気にしていない。ということは、「選挙の結果」である「政治」に期待していない。期待することができない。その上で、「イベント」で集金できるチャンスならフルに利用してやろうという考えがうかがえます。
「選挙は民主主義の根幹」とかいう原則、建前などどうでもいいんです。自分さえよければ、自分だけ得をすれば、自分だけ損をしなければいい。自由主義市場原理の究極の結果ではないかと、思います。

日本の、日本人の品性がなくなっていることだけは確かです。嘆かわしいことですが。