146. 意外だった送別 | アラフィフで転職した秘書の秘書裏(表も)話

アラフィフで転職した秘書の秘書裏(表も)話

アラフィフで転職成功した秘書が、長年の秘書生活の、いろいろなお話をしたいと思います

結局私は3週間ほど休むことができた。

、が、結局マニュアルは後任者の為にだけ作り、もちろん同僚に「チェック」なぞしてもらわず、

辞めた人の部屋も片付けなかった。

そして、同僚とは、必要最低限の業務関係以外、口をきくこともなかった。

周りには辞めることは特に言わなかったのだが、社長の次の次に気に食わないと思っていた(126に出てくる腹黒30代AS)が、どこかから聞きつけたようで、

「辞められると聞きました。今までの御礼をしたいのでお食事でもいかがですか」

というメールが送られてきた!

同僚に冷たい対応をされている中、まさかの人からの、まさかの誘いだったが、今までさんざん嫌な思いをしてきたので気が進まず、とりあえず、

「ありがとうございます。お気持ちは大変嬉しいです。OOさんもお忙しいと思いますので、お気持ちだけいただきます。お気遣いありがとうございます」

と返信した。が、

「大丈夫です。いつなら大丈夫ですか?出社最終日でよろしいですか?」

と頑張るので、結局、有給に入る前の最終日に、ということになった。

さて、最終日。

まだ、引継ぎに出社する日が1日あるにしても、同僚からも、周りからも、何もない。

ランチタイムが近づき、さて、ASとランチか、でも今日で最後だから、などと思っていたら、何も言ってこず、なんと、ディナーだった・・・

ディナーはきつい、さすがにきつい。

でも、

「18時頃会社出ましょう」

とメールがきたら、さすがに断れなかった。

18時、誰にも辞める挨拶はせず、普通に「お先に失礼します」と会社を出た。

ビルの下でASと待ち合わせると、なんとタクシーに乗るではないか・・・

ビルの中か、隣のビルで、ささっとディナー(、というより普通の食事?)のつもりだったのに、彼はいったいどこへ行こうというのだ・・・。

着いた先は、銀座の素敵なイタリアン。

きちんと予約もしてあり、高いコースも頼んであり、ドリンクも、きちんと私に合わせてくれる。

この人ときちんと話したこと、そういえばなかったなーと思いつつ、意外に話しも弾み、お料理もお酒もすごく美味しく、本当に予想外に楽しい時間だった。

会社の愚痴も不思議と出なかったし、楽しい話しかなかったのが本当に意外だった。

彼が、私が辞めることを残念に思ってくれていることも、今まですごく感謝してくれていたことも、意外だった。

ディナーに来なければわからなかったことだ。

来てよかった、と思った。

会計は、年上の私が払おうと思っていたのに、トイレに行っている間に彼が払ってしまっていた。

小さいお子さんもいることだし、美味しそうな焼き菓子のセットでも御礼に渡そう、そう思い、心からの御礼を述べて別れた。

10年以上秘書をした社長からも、10年仲良くしていた同僚からも、何の誘いもない(恐らくこの後もないだろう)中、あんなに嫌っていた若者から、こんな送別をされてしまった。

私は人を見る目がなかったのかなーと少し反省した。